伸び悩む米国経済とトランプ関税 輝くビッグテック決算の行方
減速する米国GDPと迫るトランプ関税
米国の2024年10〜12月期(第4四半期)の実質GDP成長率は年率2.3%となり、通年では2.8%にとどまりました。いずれも市場予想をわずかに下回り、"景気は堅調だが加速はしていない"という印象を残しています。
こうした数字が公表されたのは、トランプ新政権による新たな関税政策が発動する数日前でした。最初の一手として、米国は最大の貿易相手であり隣国でもあるカナダとメキシコからの輸入品に一律25%の関税を課す方針を打ち出しています。
関税導入をめぐっては、原油輸入を対象に含めるかどうかについて、トランプ氏が発動前夜まで決断を保留していたとされています。どこまでが本気で、どこからが交渉材料なのかが見えにくいという意味で、市場と企業にとっては"裁量の余地"と同時に"不透明感"でもあります。
"関税をめぐる短期の駆け引き"が常態化?
トランプ政権は発足まもない段階から、関税を長期的な貿易戦略だけでなく、短期の圧力手段としても用いる姿勢を示してきました。不法移民の送還問題をめぐりコロンビアと短期間ながらも緊張が高まった場面では、追加関税の可能性をちらつかせることで交渉を有利に運ぼうとする場面が見られました。
このように"素早い関税の脅し"と"制度としての関税政策"が同時に使われると、企業にとっては先を見通しにくくなります。米国内に拠点を置くメーカーだけでなく、米国市場に輸出する海外メーカーも、設備投資やサプライチェーン再編といった長期計画を立てにくくなるからです。
マクロ減速の中で光るビッグテック決算
その一方で、2024年度決算シーズンでは米企業の一部が力強い数字を示しました。なかでも注目を集めたのが、株式市場で"マグニフィセント7"と呼ばれる巨大テクノロジー企業群です。
半導体大手のNvidia、検索・広告のAlphabet、ネット通販大手Amazonはまだ決算を公表していませんが、残る企業の数字が出そろい、その中でも特に目立ったのが交流サイト大手Metaでした。
- Meta:第4四半期の純利益は49%増の208億ドル、売上高は21%増の484億ドルと、いずれも力強い伸びを示しました。
- マイクロソフト:第4四半期の売上高は12%増の696億ドル、純利益は10%増の241億ドルでした。
- アップル:四半期純利益は7%増の363億ドル、売上高は4%増の1,243億ドル。一方で主力のiPhoneの売上高は1%減少し、製品ポートフォリオの変化が意識されました。
- テスラ:第4四半期の純利益は一時的な要因により26億ドルへと減少。売上高は2%増の257億ドルと増収ではあるものの、市場予想を下回りました。
それでも、市場で最も大きな話題となっているのは、引き続き"DeepSeekインパクト"と呼ばれる動きです。個別企業の好調な決算さえもかき消しかねない存在感を持っており、投資家の視線がどこに向いているのかを象徴しています。
分断する米国経済と、これからの視点
2024年の米国を振り返ると、マクロの成長率は2〜3%台にとどまり、トランプ政権の関税政策が企業心理に影を落とす一方、巨大テック企業は過去最高水準の利益をあげています。ひとつの国の中で、"減速する部分"と"加速する部分"がはっきり分かれている構図です。
このギャップは、今後の貿易摩擦やサプライチェーン再編がどこにしわ寄せをもたらすのか、という問いともつながります。関税が実体経済や製造業に与える影響が大きくなるほど、デジタルやプラットフォームを軸にした企業とのコントラストは強まりやすくなります。
元の論考のタイトルには"停滞する欧州"と"勢いづく中国"という対比も掲げられていましたが、ここで見えてくるのは、まず米国自身の内部で進む分断の姿です。世界経済を理解しようとするとき、国同士の比較だけでなく、一国の内部でどのセクターが伸び、どのセクターが立ち止まっているのかに目を向けることが、これまで以上に重要になっているのかもしれません。
2025年以降も、各国の通商政策やテクノロジー分野の動きは、相互に影響を与えながら進んでいきます。数字の良し悪しだけで判断するのではなく、その背後にある政策の揺らぎや企業の戦略を丁寧に追いかけていくことが、ニュースを読み解くうえでの手がかりになりそうです。
Reference(s):
Subpar US, stagnant Europe and surging China as Trump policies beckon
cgtn.com








