トランプ米大統領の25%関税に世界各国が対抗措置 EUや中南米も動く
2025年の世界経済は、トランプ米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課す方針を打ち出したことで、新たな緊張局面を迎えています。各国は報復関税や貿易多角化などの対抗措置を取り始めており、世界の貿易地図が静かに書き換わりつつあります。
トランプ米大統領が25%関税を表明
1月21日、ワシントンのホワイトハウスで大統領令に署名する場で、トランプ米大統領はメディアに対し、メキシコとカナダからのすべての輸入品に対し、2月1日から25%の関税を課す方針を明らかにしました。この発表は唐突ではなく、選挙キャンペーンの段階から、当選すればメキシコに懲罰的な関税を課すと繰り返し主張してきた流れの延長線上にあります。
今回の追加関税は、トランプ大統領の根強い「アメリカ・ファースト」路線を象徴するものです。しかし、そのような自国優先の関税政策は、世界貿易秩序にとってだけでなく、米国自身の経済成長にとってもマイナスになりかねないと懸念されています。
メキシコ・カナダは報復を明言
米国の関税方針に対し、主要な貿易相手国は即座に反発しました。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、もし米国がメキシコに対して関税を実際に発動すれば、メキシコも報復措置を取らざるを得ず、それによって二国間貿易が阻害され、双方の経済を傷つけることになると警告しました。
カナダのメラニー・ジョリー外相も、米国があらゆるカナダ産品に25%の関税をかければ、その追加コストは最終的に米国の消費者に転嫁されると強調。カナダとしても報復関税を準備しており、対象として米国産のオレンジジュース、トイレ、特定の鉄鋼製品などを挙げました。
その後、メキシコとカナダは実際に報復関税を発表しています。専門家の間では、こうした関税の応酬が北米の自動車産業や雇用に深刻な打撃を与え、3か国すべての経済成長にとって重しとなる可能性が指摘されています。
世界各国で進む「脱米国依存」戦略
近年、米国が関税措置を繰り返してきたことから、各国の不満と警戒感は高まってきました。その結果、多くの国・地域が、米国市場への過度な依存を減らし、自国の貿易と経済の安全を守るための長期戦略を打ち出しています。
具体的には、次のような方向性が目立ちます。
- 域内市場の統合を進め、域内取引を活性化する
- 第三国・第三地域との自由貿易協定(FTA)を拡大し、新たな輸出市場を開拓する
- サプライチェーン(供給網)を多角化し、特定の国や市場への依存度を下げる
トランプ政権の関税政策だけが唯一の要因ではないものの、今回のような追加関税の表明が、各国にとって「脱米国依存」を急ぐ強い動機となっていることは確かです。
EUの例:メルコスルとの大型協定
米国の伝統的な貿易相手である欧州連合(EU)も、こうした流れの中で独自の戦略を進めています。域内市場の統合を加速させるとともに、他地域との自由貿易協定交渉を急ぎ、貿易相手の多様化を図っています。
その象徴が、南米の地域統合プロセスであるメルコスルとの自由貿易協定です。メルコスルは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイを創設メンバーとする枠組みで、EUとは20年以上前から交渉を続けてきました。
2024年12月、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、この長年の交渉が最終的に妥結したと発表しました。この協定は、7億人を超える市場をカバーする巨大な自由貿易圏を生み出すとされており、発効すれば初年度だけでEUにとって約40億ユーロの関税削減効果が見込まれています。EUにとっては、米国への依存を和らげ、貿易リスクを分散するうえで重要な一歩だと言えます。
読者が押さえておきたい3つの視点
今回の動きを、通勤時間などの短いスキマ時間でニュースを追う読者のみなさんが理解しやすいよう、ポイントを3つに整理します。
- 関税は「交渉カード」だが、ブーメランにもなる
関税は短期的には相手国への圧力になり得ますが、相手の報復関税を招き、自国の輸出産業や消費者がダメージを受けるリスクがあります。メキシコやカナダの事例は、その典型と言えます。 - グローバルな供給網の時代に「一国優先」は難しい
北米の自動車産業のように、生産工程や部品調達が国境をまたいで行われる分野では、一方的な関税強化がサプライチェーン全体のコスト増と競争力低下につながりかねません。 - 世界の貿易地図は静かに書き換わりつつある
EUとメルコスルの協定に象徴されるように、各国・各地域は新たなパートナーを求め、米国以外の市場を開拓する動きを強めています。米国の関税政策は、その流れを後押ししている側面もあります。
日本やアジアの読者にとっても、これは決して遠い世界の話ではありません。どの国・地域と経済関係を深め、どこまで依存するのか。トランプ米大統領の関税方針と、それに対抗する各国の動きは、私たち自身の選択にもつながる重要な問いを投げかけています。
Reference(s):
Countries worldwide deploy countermeasures to offset Trump's tariffs
cgtn.com








