米国新関税で物価上昇懸念 メキシコ高官が「協定違反」と非難
トランプ米大統領がカナダ、メキシコ、中国からの輸入品に新たな関税を課すと発表し、物価上昇と国際関係の悪化を懸念する声が高まっています。本記事では、とくにメキシコ側の反応と、米国・メキシコ双方の生活や経済への影響を整理します。
米国の新関税で何が起きているのか
今回の関税措置は、トランプ米大統領がカナダ、メキシコ、中国といった主要な貿易相手に対して打ち出したものです。各国の政府関係者やエコノミストは、関税によって米国の輸入コストが上がり、市民の生活がより高くつくようになると警告しています。
さらに、関税引き上げは、すでに緊張が続く米国と各国との貿易関係を一段と悪化させ、協定や同盟にも新たな火種をもたらしかねないと指摘されています。
メキシコ経済相「協定への重大な違反」
メキシコのマルセロ・エブラルド経済相は、ソーシャルメディア「X」への投稿で、トランプ大統領がメキシコ産品に対し25%の関税を課す大統領令を出したことについて、米国・メキシコ・カナダの貿易協定である米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に対する「明白な違反」だと強く批判しました。
エブラルド経済相は、この措置は「米国が自らの足を撃つようなものだ」とも述べ、最終的には米国自身の経済的利益を損なうと警告しています。メキシコだけでなく、米国内の企業や消費者も打撃を受けるという見方です。
「独立以来最も厳しい経済攻撃」モンレアル議員
メキシコのリカルド・モンレアル議員も、今回の関税を「不条理で違法、そして権力の乱用だ」と厳しく非難しました。さらに、この措置を「メキシコの独立以来、最も厳しい経済攻撃の一つ」と表現し、その深刻さを訴えています。
モンレアル議員は、メキシコは自国経済を傷つけ、主権を侵害し、自国の人々に直接的な被害を与える、このような大規模で一方的な決定を受け入れることはできないと述べました。関税は外交交渉ではなく、圧力として使われているという懸念がにじみます。
専門家が懸念する三つの打撃
メキシコ国立自治大学(UNAM)の国際問題専門家、イグナシオ・マルティネス氏は、今回の関税がメキシコ経済にもたらす具体的な打撃を指摘しています。とくに影響が大きいとされるのは、次の三点です。
- 製造業と輸出に依存する中部・北部地域が、対米輸出の減少で深刻な打撃を受ける。
- 米国で働くメキシコ出身者からの送金が減少しやすくなり、南部地域の家計が圧迫される。
- 送金減少によって地域の購買力が弱まり、貧困の悪化を招くおそれがある。
メキシコ経済は、米国向けの輸出と、米国に暮らす人々からの送金に大きく依存してきました。その両方が同時に揺さぶられれば、地域間格差や社会的不安が一気に高まるリスクがあります。
米国の物価と貿易関係へのブーメラン
関税は、最終的には「輸入品にかかる追加の税金」です。企業はコスト増を吸収しきれなければ、価格に上乗せせざるを得ません。その結果、日用品から自動車、電子機器まで、幅広い製品の価格が上昇し、米国の消費者の生活コストを押し上げる可能性があります。
また、関税の応酬が続けば、各国が報復措置を取り、サプライチェーン(供給網)が分断される懸念もあります。カナダ、メキシコ、中国といった主要な貿易相手との関係が緊張すれば、企業は投資や生産計画を立てにくくなり、不確実性が世界経済全体に広がることになります。
なぜこのニュースに注目するべきか
今回の一連の動きは、単なる米国とメキシコの二国間問題にとどまりません。両国は北米の製造業と物流の中核を担っており、その関係が揺らげば、世界中の企業や労働者、そして日本の消費者にも間接的な影響が波及する可能性があります。
同時に、この問題は私たちに次のような問いを投げかけています。
- 関税という手段は、本当に経済と雇用を守ることにつながるのか。
- 短期的な政治的アピールと、長期的な経済の安定のどちらを優先すべきか。
- 国境を越えて結びついたサプライチェーンの時代に、どのようなルールづくりが求められるのか。
ニュースを追うときは、目先の「勝ち負け」だけでなく、生活コスト、雇用、地域格差といった、自分たちの暮らしに直結するポイントからも見ていくことが大切になっています。
Reference(s):
Officials and economists warn of increased costs from US tariffs
cgtn.com








