カナダが米国製品に25%報復関税 300億カナダドル対象の国際ニュース解説
カナダ政府は2025年初め、米国製品約300億カナダドル分に25%の追加関税を課す報復措置を発表しました。トランプ米大統領による対カナダ関税に対抗するこの動きは、両国の経済や私たちの暮らしにどのような影響を与えるのでしょうか。
何が決まったのか:第1弾は300億カナダドル分
カナダは、米国製品約300億カナダドル分を対象に25%の関税を課すと公表しました。この関税は、米国がカナダからの輸入品に対して同率の関税を導入することへの第1弾の報復措置と位置づけられています。
声明によると、この25%関税は2025年2月4日に発効し、同日に始まった米国による対カナダ関税と足並みをそろえる形となりました。
日常生活に身近な品目が対象
第1弾の対象となるのは、工業製品だけではありません。日常生活でよく目にする次のような品目が含まれています。
- オレンジジュースやコーヒー
- ピーナツバターやワイン
- 家電製品
- 化粧品や紙製品など
多くが生活必需品や嗜好品であり、関税分が価格に転嫁されれば、カナダの消費者の負担増につながる可能性があります。
第2弾はさらに大規模に:1,250億カナダドル分を想定
カナダ政府は、今回の300億カナダドル分とは別に、約1,250億カナダドル相当の米国製品に対する追加関税も計画していました。こちらは第2弾の措置として位置づけられ、実施が予定されていました。
自動車、鉄鋼、農産品まで幅広く
第2弾の対象候補として示されたのは、次のような分野です。
- 乗用車、トラック、バスなどの自動車関連
- 鉄鋼やアルミ製品
- 一部の果物や野菜
- 航空宇宙関連製品
- 牛肉、豚肉、乳製品などの農畜産物
この第2弾リストは数日以内に公表するとされ、発動前に21日間のパブリックコメント期間を設ける方針も示されました。企業や業界団体、市民からの意見を踏まえ、最終的な対象品目が調整される可能性があります。
背景:トランプ政権の対カナダ関税への報復
今回のカナダの措置は、トランプ米大統領がカナダからの輸入品の大部分に25%の関税を、エネルギー関連製品に10%の関税を課すと発表したことへの対抗策です。米国側の関税も2025年2月4日に発効しました。
ジャスティン・トルドー首相は、この発表を受けて報復を行う方針を明言し、今回の第1弾・第2弾の関税措置につながりました。
関税だけではない「非関税措置」の可能性
トルドー首相は、関税以外の追加措置も検討しているとしています。その内容として、次のような選択肢が挙げられています。
- 重要鉱物やエネルギー製品の対米輸出に制限をかけること
- 米国企業によるカナダ政府調達への入札を制限または禁止すること
これらが実行されれば、単なる関税の応酬にとどまらず、サプライチェーンやエネルギー安全保障にも波及する可能性があります。
カナダと米国の経済・家計への影響
カナダ商工会議所は、25%関税とそれに対する全面的な報復措置が実行された場合、カナダの実質GDPは2.6%押し下げられ、カナダの1世帯あたり年間1,900カナダドルの負担増につながると試算しています。
また、米国側でも実質GDPが1.6%減少し、1世帯あたり年間1,300ドルのコスト増になると見積もられています。つまり、今回の関税合戦は一方的な勝者を生むというより、両国の家計と企業がともに打撃を受ける「共倒れリスク」をはらんでいると言えます。
関税は最終的に価格に上乗せされやすく、消費者の負担増やインフレ圧力となる可能性が高い一方で、企業側もコスト増とサプライチェーンの見直しを迫られます。
なぜ日本の読者にとって重要か
一見すると米国とカナダの二国間の問題に見えますが、両国はエネルギー、農産物、自動車、航空宇宙など、多くのグローバルなサプライチェーンの中核を担っています。そのため、関税の応酬は世界の物価や企業活動にも波及し得ます。
例えば、北米で調達・生産を行っている日本企業にとっては、コスト構造や工場配置、調達先の見直しを迫られるリスクがあります。また、世界経済全体の成長が鈍化すれば、日本の輸出や投資にも影響が出る可能性があります。
国際ニュースを追う上では、個別の関税率や品目リストだけでなく、それがどのサプライチェーンに影響し、どの国や地域の家計や企業に負担を広げるのかをセットで見る視点が重要になってきます。
これからのポイント:エスカレートか、妥協か
発表当時、専門家や企業関係者が注目していたのは、次のような点でした。
- 第2弾関税がどの範囲と水準で最終決定されるのか
- 非関税措置が実際に導入されるのか
- 両国が交渉による妥協点を見いだせるのか
関税の応酬は政治的メッセージとしては分かりやすい一方で、そのコストは最終的に企業と消費者が負担します。カナダと米国の動きは、保護主義の高まりとグローバル経済の行方を考えるうえで、2025年を象徴するテーマの一つと言えます。
Reference(s):
cgtn.com








