トランプ米大統領、高関税をカナダ・メキシコに警告 東京の経済学者が読む「米国一国主義」 video poster
最近、米国のトランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に高い関税を課すと警告し、同盟関係よりも「米国のレバレッジ」を優先する姿勢を示したと、東京の経済学者が指摘しています。この動きは、国際ニュースとして世界の貿易秩序にどんな意味を持つのでしょうか。
トランプ米大統領、同盟国に高関税を示唆
東京のNational Graduate Institute for Policy Studies(国立の政策研究大学院)で経済学を教えるXing Yuqing教授は、中国の国際メディアCGTNのインタビューに応じ、トランプ米大統領の貿易姿勢についてコメントしました。
同教授によると、トランプ大統領はカナダとメキシコからの輸入品に対し、それぞれ高い関税を課す可能性を示し、圧力をかけています。米国は世界最大の経済規模を持つことから、トランプ氏は米国がすべての貿易相手国に対して条件を決めるだけの「レバレッジ(交渉力)」を持っていると考えている、と伝えています。
米国は世界最大の経済大国であり、すべての貿易相手に対して条件を決めるレバレッジを持っているとトランプ氏は考えている。その結果、同盟との関係さえ顧みず、世界の中でアメリカだけの状態を目指している。
──Xing Yuqing教授(東京・National Graduate Institute for Policy Studies)、CGTNのインタビューより
「アメリカを一国だけにしたい」発言の意味
Xing教授は、トランプ大統領の姿勢を「アメリカを世界の中で一国だけの存在にしようとする動き」と捉えています。ここには、同盟国との長期的な関係よりも、短期的な交渉力と取引条件の有利さを優先する発想が見えてきます。
言い換えれば、カナダやメキシコのような近い同盟国に対しても、対等なパートナーというより、米国市場に依存する相手として扱い、高関税をちらつかせながら譲歩を迫るスタイルだと見ることができます。
経済大国の「レバレッジ」発想とは
Xing教授が指摘するように、「米国は世界最大の経済規模を持つ」という前提は、トランプ氏の交渉スタイルの中核にあります。その発想を整理すると、次のような構図が浮かび上がります。
- 米国市場は巨大であり、カナダやメキシコを含む貿易相手国にとって不可欠な輸出先になっている。
- そのため、米国が高関税を持ち出せば、相手国は自国経済への打撃を避けるために条件を受け入れざるを得ないと見込んでいる。
- こうした前提に立ち、米国側が一方的に有利な取引条件を設定しようとする。
このように、経済規模を背景にしたレバレッジの行使は、短期的には交渉で優位に立つ手段になり得ます。一方で、それがどこまで許容されるのか、どの時点で反発や対抗措置を招くのかは、各国の政治・世論の反応に左右されます。
高関税がもたらし得るリスク
高関税を交渉カードに使う手法は、分かりやすく強硬なアプローチですが、国際経済や同盟関係にとってはさまざまなリスクもはらんでいます。一般的には、次のような影響が懸念されます。
- 同盟国との信頼低下
同盟関係にあるカナダやメキシコに対しても高関税をちらつかせることは、「安全保障面ではパートナーでも、経済では容赦なく圧力をかける」というメッセージとして受け取られかねません。 - 企業の不確実性の増大
関税が突然引き上げられる可能性が高まると、企業は投資計画やサプライチェーン(供給網)の見直しを迫られます。長期的なビジネス判断が難しくなり、コストの増加にもつながります。 - 自国経済への跳ね返り
輸入品に高関税がかかれば、そのコストの一部は最終的に自国の消費者や企業が負担することになります。物価上昇や企業収益の圧迫という形で、米国内にも影響が及ぶ可能性があります。
国際ニュースとしての読み方:日本・アジアへの示唆
今回のXing教授のコメントは、トランプ米大統領の対外経済政策が、「関税率を何パーセントにするか」という技術的な話にとどまらず、「世界の中でアメリカをどう位置づけるか」という発想と結びついていることを示しています。
カナダやメキシコのような近隣の同盟国に対しても、高関税という強い圧力を辞さない姿勢が確認されるなら、今後、他の貿易相手国との関係でも同様のアプローチが取られる可能性があります。
日本やアジアの読者にとって重要なのは、次のような問いを持てるかどうかです。
- 最大の経済大国が、自国中心の交渉スタイルを強めたとき、世界の貿易ルールはどう変わるのか。
- 同盟国同士の経済関係においても、高関税による圧力が「新しい標準」になっていくのか。
- その変化は、日本やアジアの企業・消費者にどのような形で影響してくるのか。
国際ニュースを追ううえで、関税や貿易赤字といった数字だけでなく、「誰がどのようなレバレッジを行使しようとしているのか」に目を向けることで、政策の背景にある発想が見えやすくなります。トランプ大統領の高関税発言と、Xing教授の「アメリカを一国だけにしようとしている」という指摘は、その視点を与えてくれる一例といえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








