米中貿易戦争の激化、世界市場に打撃とエコノミストが警告 video poster
米中貿易戦争をめぐる緊張が続くなか、GROW Investment Group のチーフエコノミストであるホン・ハオ(Hong Hao)氏が、貿易戦争の悪化が世界の金融市場に深刻な影響を与えると警告しました。本記事では、その発言のポイントと世界市場への意味を整理します。
ホン・ハオ氏「世界市場に非常にネガティブな影響」
ホン氏は、中国と米国の貿易戦争がさらに悪化し、激しさを増した場合、世界の市場に「非常にネガティブな影響」が広がると指摘しました。インタビューは国際ニュース専門チャンネルの CGTN で行われました。
ホン氏によれば、米中貿易戦争のエスカレーションによって、世界の金融市場では次のような変化が起きる可能性があります。
- 各国の債券利回りが上昇する
- インフレ(物価上昇)への期待が高まる
- 株式の評価額(バリュエーション)が切り下がる
さらにホン氏は、為替市場(通貨)、債券市場、そして世界の株式市場全体に、かなり大きな「熱」、つまり強いプレッシャーや緊張がかかることも示唆しました。
何が起きるのか:金利・物価・株価への影響
ホン氏のコメントは、金融市場で何が起きうるのかをコンパクトに示しています。ここでは、それぞれのポイントをもう少しかしこく見ていきます。
1. 債券利回りの上昇:お金の「借り賃」が高くなる
債券利回りとは、政府や企業が発行する債券に投資したときに得られる利息の割合のことです。ホン氏は、米中貿易戦争の悪化が、世界的な債券利回りの上昇につながるとみています。
利回りが上がるということは、裏を返せば「お金を借りるコスト」が上がることを意味します。企業にとっては資金調達が難しくなり、新規投資や設備投資が抑えられやすくなります。その結果、成長期待がしぼみ、株価にマイナスの影響を与える可能性があります。
2. インフレ期待の高まり:将来の物価への不安
ホン氏は、米中貿易戦争のエスカレーションが「インフレ期待」の高まりを招くと指摘しています。インフレ期待とは、人々や市場が「今後、物価がどれくらい上がりそうか」と考える見通しのことです。
貿易摩擦によって関税が引き上げられたり、サプライチェーン(供給網)が混乱したりすると、輸入品や原材料の価格が上がりやすくなります。そうした状況が続くと、市場は「今後も物価が上がりやすい」と見込み、インフレ期待を引き上げる方向に働きます。
インフレ期待が高まれば、中央銀行が金融政策を引き締め気味に運営する必要が出てくる場合もあり、その分だけ市場の不安定要因になりやすくなります。
3. 株式バリュエーションの低下:株が割高と見なされやすく
株式のバリュエーションとは、企業の利益などに対して、株価がどれくらい割高か・割安かをみる指標です。ホン氏は、米中貿易戦争が激化すると、世界の株式バリュエーションが下押しされると見ています。
その背景には、次のようなメカニズムがあります。
- 貿易摩擦を背景に、企業収益への不透明感が増す
- 債券利回りの上昇により、株式よりも債券の相対的な魅力が高まる
- 投資家がリスクを嫌い、安全資産に資金を移す動きが強まりやすい
こうした動きが重なると、株式全体に「割高感」が意識され、株価水準が見直される、つまり下がりやすくなるという構図です。
通貨・債券・株式に広がる「substantial heat」とは
ホン氏は、米中貿易戦争の悪化によって、通貨市場、債券市場、そして世界の金融市場全体に「substantial heat(相当な熱)」がかかるだろうとも述べました。
ここでいう「熱」は、価格変動の大きさや、投資家の緊張感が高まる状態を指すと考えられます。具体的には、次のような状況が想定されます。
- 為替レートが短期間で大きく動くなど、通貨のボラティリティ(変動性)が高まる
- 債券価格と利回りが敏感に上下し、市場の厚みが薄くなる
- 株式市場で売買が偏り、一方向への値動きが強まりやすくなる
このように、ある市場だけでなく「通貨・債券・株式」が連鎖的に揺れることで、世界の金融システム全体にストレスがかかる可能性があります。
なぜこの警告に耳を傾ける必要があるのか
ホン氏は、世界市場に広く関わる投資家・経済の専門家として、米中貿易戦争の行方が持つリスクを重く見ています。米中という世界経済の中核を担う2つの経済大国の関係は、各国の市場や企業活動にとって無視できないテーマです。
とくに、次のような人や組織にとって、今回の指摘は重要な示唆を含んでいると言えるでしょう。
- 海外株式やグローバル債券に投資している個人・機関投資家
- 輸出入に関わる企業や、国際的なサプライチェーンを持つ企業
- 為替リスクを抱える企業や金融機関
米中貿易戦争の動きは、ニュースとして目にするだけでなく、金利、為替、株価を通じて、企業の業績や家計の資産にも間接的に影響しうる要因です。
読者が押さえておきたいポイント
ホン・ハオ氏のコメントから、読者として意識しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 米中貿易戦争の激化は、世界市場にとって「局地的な問題」ではなく、広範な影響を持ちうる
- その影響は、金利(債券利回り)、物価(インフレ期待)、株価(バリュエーション)と、多方面に及ぶ
- 通貨・債券・株式市場全体の変動が大きくなり、リスク資産へのスタンスを見直す必要が生じる可能性がある
国際ニュースや金融市場の動きを追う際には、「米中貿易戦争」というキーワードが、単なる外交問題ではなく、世界のマネーフローや資産価格の動きと直結していることを意識しておくと、ニュースの読み方が変わってきます。
今後も米中関係や貿易政策の変化が伝えられるたびに、ホン氏が指摘したような金利・インフレ期待・株式評価、そして通貨市場への影響をセットで考える視点が、国際ニュースを読み解くうえで重要になりそうです。
Reference(s):
Economist: China-US trade war escalation will hurt global markets
cgtn.com








