トランプ米大統領が鉄鋼・アルミ関税25%に EUなどが一斉反発
トランプ米大統領が鉄鋼・アルミ関税を大幅引き上げ
米国のドナルド・トランプ大統領は月曜日、鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対する関税を一律25%に引き上げる大統領令に署名しました。この国際ニュースは、欧州連合(EU)、カナダ、メキシコなど主要な貿易相手国が一斉に反発し、報復措置を打ち出す構えを見せている点で、世界の貿易秩序に新たな緊張を生んでいます。
何が決まったのか:25%関税と「例外なし」方針
ホワイトハウスによると、新たな鉄鋼・アルミ関税は3月4日に発効し、原則として例外や免除は設けないとしています。トランプ大統領は記者団に対し、「どの国から来たものであっても、すべての国が対象だ」と強調しました。
その一方で、大統領はオーストラリアからの要請については「大いに考慮する」と述べ、米国との間で貿易赤字があることを理由に、鉄鋼関税の適用除外を検討する可能性に言及しています。
「北米基準」の導入:原材料段階から締め付け
トランプ政権は、鉄鋼・アルミ関税とあわせて新たな「北米基準」を導入するとしています。具体的には、
- 輸入される鉄鋼は、北米域内で溶解・鋳造(melted and poured)されたもの
- 輸入されるアルミニウムは、北米域内で精錬・鋳造(smelted and cast)されたもの
といった条件を満たすことを求めます。これは、他国でほとんど加工されていない金属が、既存の関税を迂回する形で米国に流入するのを防ぐ狙いがあるとされています。
対象は原材料だけでなく「下流製品」にも拡大
今回の措置は、鉄鋼やアルミそのものだけでなく、外国製の鉄鋼を使った下流製品にも及びます。ホワイトハウスの担当者によると、対象となるのは、例えば次のような製品です。
- 建築物などに使われる鋼構造物(ファブリケーテッド・ストラクチュラル・スチール)
- アルミ押出材(アルミニウム・エクストルージョン)
- プレストレストコンクリート用の鋼線(スチールストランド)
こうした製品への関税拡大により、自動車、建設、インフラ関連など幅広い産業のコスト増につながる可能性があります。
報復関税と追加措置の示唆
署名式でトランプ大統領は、今回の関税引き上げに続き、今後2日間で「米国製品に関税を課しているすべての国」に対して、報復的な関税措置を発表すると述べました。また、自動車、半導体チップ、医薬品といった分野への追加関税も検討しているとしています。
既にEU、カナダ、メキシコなど主要な貿易相手国は、米国の鉄鋼・アルミ関税に対抗する報復措置を準備しており、関税合戦がさらに拡大する懸念が高まっています。
2018年の関税措置とのつながり
トランプ大統領は2018年の前政権期にも、カナダ、メキシコ、EUからの鉄鋼輸入に25%、アルミ輸入に10%の関税を課すと発表し、当時も激しい反発と報復を招きました。
その際、EU(ブリュッセル)は、米国産のウイスキーやオートバイ、オレンジジュースなどを対象に対抗措置をとりました。翌年にはカナダとメキシコに対する鉄鋼・アルミ関税は撤廃された一方で、EU向け輸入への課税は2021年まで続きました。
シンクタンクのタックス・ファウンデーションによる報告書によれば、こうした関税は米国内の自動車メーカーや炭酸飲料メーカーのコストを押し上げ、その負担は最終的に消費者価格に転嫁されたとされています。
世界貿易への影響とこれからの焦点
今回の鉄鋼・アルミ関税の引き上げと対象拡大は、主要な貿易相手国の報復を呼び込み、世界貿易の不確実性を高める可能性があります。とりわけ、鉄鋼やアルミを多く使用する自動車、建設、飲料などの産業では、価格転嫁や供給網の見直しが求められる場面が増えるかもしれません。
一方で、トランプ政権は、自国産業の保護や貿易赤字の是正を掲げており、関税をてこに各国との交渉を有利に進めたい考えをにじませています。今後、
- EU、カナダ、メキシコがどのような報復措置を実行に移すのか
- オーストラリアなど一部の国に例外措置が認められるのか
- 自動車や半導体、医薬品への追加関税がどこまで拡大するのか
といった点が、国際ニュースとしての大きな焦点となりそうです。
関税は一見、特定の産業を守る「国内向け」の政策に見えますが、その波紋は国境を越え、世界中の企業や消費者に広がります。今回の米国の動きが、今後の貿易ルールや各国の政策選択にどのような影響を与えるのか、注意深く見ていく必要があります。
Reference(s):
Trump raises tariffs on aluminum, steel, sparking widespread outrage
cgtn.com








