EUが2000億ユーロのAI投資イニシアチブ「InvestAI」を発表
欧州連合(EU)は、人工知能(AI)への投資を加速する新たなイニシアチブ「InvestAI」を発表しました。総額2000億ユーロを動員し、AI開発と産業への導入を一気に押し上げる狙いがあります。
2000億ユーロ規模の「InvestAI」とは
InvestAIは、EU域内のAI投資を活性化するために設計された包括的な枠組みです。フォンデアライエン欧州委員長は、火曜日に開かれたAIアクション・サミットで「AIを善と成長のための力にしたい」と強調し、欧州独自のアプローチを「開放性、協力、優れた人材に基づくもの」と説明しました。
今回示された主なポイントは次の通りです。
- 総額2000億ユーロを動員し、AI関連の投資を加速
- うち200億ユーロをAIギガファクトリー向けの基金として確保
- 大規模で複雑なAIモデルを訓練するためのインフラを整備
AIギガファクトリーと次世代チップ10万個
InvestAIの柱の一つが、AIギガファクトリーと呼ばれる大規模な計算インフラの整備です。声明によると、このギガファクトリー向け基金は、次世代AIチップおよそ10万個を備えた施設を支えるもので、現在の約4倍の規模に当たるとされています。
こうしたギガファクトリーは、生成AIなどの巨大なAIモデルを継続的に訓練するために欠かせない基盤です。計算資源を研究機関や企業が共有しやすくすることで、スタートアップや中堅企業も高度なAI技術にアクセスしやすくなる可能性があります。
AIファクトリーはすでに始動、さらに拡大へ
欧州委員会は昨年12月、最初の7カ所のAIファクトリーをすでに発表しています。今回の発表では、近くさらに5カ所を追加で公表する予定であることも明らかにされました。
AIファクトリーは、研究開発と実証実験のハブとして機能し、企業や研究者がAIモデルを試し、ビジネスや行政サービスへの応用を検証する場となることが期待されています。
欧州AI研究評議会と「Apply AI」イニシアチブ
InvestAIはハードウェアへの投資だけでなく、研究と社会実装をつなぐ仕組みづくりも含んでいます。欧州委員会は、AIや関連テクノロジーの研究資源を束ねる「欧州AI研究評議会」を設立する計画です。
さらに、AIを医療、製造業、公共サービスなどの主要分野で活用することを後押しする「Apply AI」イニシアチブを、年内に立ち上げる方針も示されました。AIを「作る」だけでなく、「使いこなす」ための環境整備に重点を置く姿勢がうかがえます。
なぜこのEUのAI投資が重要なのか
今回のInvestAIは、AIをめぐる国際的な競争と協力の両面で重要な意味を持ちます。巨大な計算資源と研究ネットワークを整えることで、欧州発のAI技術やサービスが生まれやすい土壌が整い、域内企業やスタートアップの選択肢も広がります。
同時に、欧州はこれまでプライバシー保護や倫理を重視したデジタル政策を打ち出してきました。InvestAIを通じて、そうした価値観を保ちながらAIの実装をどう加速させるかは、今後の国際的な議論にも影響を与えそうです。
日本の読者が押さえておきたい視点
日本を含むアジアの国々にとっても、EUのAI投資戦略は他人事ではありません。公的資金で大規模な計算インフラを整え、研究と産業への適用を一体で進めようとするEUの動きは、自国のAI戦略を考える際の重要な比較材料となります。
今後、InvestAIがどのように実行され、具体的な成果や課題が見えてくるのか。日本の政策担当者や企業、研究者にとっても、フォローしておきたい国際ニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








