米国の鉄鋼・アルミ関税に世界が反発 貿易戦争への懸念広がる video poster
米国が鉄鋼とアルミニウムの輸入に高い関税を課す方針を示し、メキシコやカナダ、欧州連合(EU)など世界各地で強い反発が広がりました。貿易戦争への懸念と、企業の現場に何が起きているのかを整理します。
何が決まったのか:鉄鋼・アルミへの高関税
トランプ米大統領は週明けの月曜日、鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する関税を引き上げる宣言に署名しました。アルミニウムについては、関税率を従来の10%から25%へ引き上げる内容です。
新しい措置は、これまで設けられてきた国別の例外や輸入枠の取り決め、さらに両金属を対象とした多数の品目別の関税免除を一括して廃止するものでした。宣言では、これらの関税が2025年3月12日に発効し、カナダ、ブラジル、メキシコ、韓国などから米国に輸入される数百万トン規模の鉄鋼・アルミに適用される予定とされていました。
メキシコ・カナダ・EUが一斉に批判
こうした米国の決定に対し、メキシコ、カナダ、EUは火曜日にそろって抗議の声を上げました。自国からの鉄鋼・アルミ輸出が新たな高関税の対象となる可能性が高く、貿易に深刻な影響が出かねないとみているためです。
メキシコのマルセロ・エブラルド経済相は、この関税決定を「正当化できない」「不公平だ」と強く批判しました。一方で、メキシコとして米国から輸入する鉄鋼やアルミに報復関税を課すかどうかについては、具体的な方針を示していませんでした。
米国内ビジネスにも広がる不安
反発しているのは海外だけではありません。米国内の企業からも、今回の関税見直しによる悪影響を懸念する声が相次ぎました。とりわけ製造業にとって、鉄鋼とアルミは欠かせない基礎素材であり、その価格や供給が変動すれば事業計画全体が揺らぎます。
企業関係者は、次のような点を不安材料として挙げています。
- 関税率や対象国が短期間で変わる可能性があり、中長期の投資計画を立てにくい
- 原材料コストの上昇が、製品価格の値上げや利益率の低下につながる恐れがある
- サプライチェーン全体でコスト増が連鎖し、小規模な企業ほど打撃が大きくなりかねない
高まる「貿易戦争」リスク
トランプ政権による今回の関税強化は、いわゆる貿易戦争への懸念も高めました。各国の政府や企業のリーダーたちは、新政権が今後さらに関税を拡大するのではないかと身構えていると伝えられました。
もし各国が対抗措置として報復関税を次々に打ち出せば、輸入品の価格が世界的に上昇し、企業活動や雇用、消費に悪影響が広がる可能性があります。関税は一国の産業保護には見えても、長期的には世界経済全体の不確実性を高める要因にもなり得ます。
押さえておきたいポイント
- 米国は鉄鋼・アルミ輸入への関税引き上げと、国別・品目別の除外措置の大幅な見直しを決定した
- メキシコ、カナダ、EUが強く反発し、メキシコのエブラルド経済相は決定を「不公平」と批判した
- 米国内の製造業などは、コスト増と先行きの読みにくさから、サプライチェーン全体への影響を警戒している
- 関税合戦がエスカレートすれば、貿易戦争に発展しかねないとの懸念が政財界で共有されている
2025年の今も、各国は自国産業の保護と自由貿易の維持という難しいバランスの中で通商政策を模索しています。今回の米国の鉄鋼・アルミ関税をめぐる動きは、そのバランスをどう取るべきかを考えるうえで、引き続き重要なケーススタディと言えそうです。
Reference(s):
U.S. tariffs on steel, aluminum spark strong backlash across the world
cgtn.com








