南アフリカが中国・インド向けビザ緩和 団体申請で観光客呼び込みへ
南アフリカ内務省が、中国とインドからの旅行者を対象に、選定した旅行会社が団体ビザを一括申請できる新たな仕組みを準備しています。観光客数の拡大と雇用創出をねらうこの動きは、日本語で国際ニュースを追う読者にとっても注目すべきトピックです。
「信頼できる旅行会社」経由で団体ビザを申請
南アフリカ内務省西ケープ州マネージャーのユスフ・サイモンズ氏は、中国とインドからの旅行者について、選定された旅行会社が団体ビザ申請をまとめて行えるようにすると説明しました。具体的には、2月中旬から中国とインドの観光客の団体ビザ申請を受け付ける方針です。
この仕組みは「信頼できる旅行会社制度(Trusted Tour Operator Scheme=TTOS)」と呼ばれ、南アフリカ、インド、中国から合わせて65社の旅行会社が選ばれています。これらの会社が、中国とインドから南アフリカを訪れるツアー客のビザ申請を一括して行うことになります。
サイモンズ氏は「インドと中国の人口は世界の約3分の1を占めており、その一部でも南アフリカに呼び込めれば大きな観光市場になる」として、TTOSの狙いを強調しています。
TTOSの目的:中国・インドからの観光客を増やす
TTOSは昨年発表された制度で、中国とインドからの観光客を増やすことが主な目的とされています。現在、中国からの観光客は全体の1.8%、インドからは3.9%にとどまっており、南アフリカ政府はこの比率を高めたい考えです。
南アフリカ観光省によると、2024年に南アフリカを訪れた中国からの観光客は合計4万1651人で、前年から11.4%増加しました。一方、インドからの観光客は7万5541人と報告されており、こちらは前年から5.3%減少しています。
伸びが見られる中国と、やや落ち込んだインド。両方の市場を取り込み、今後の回復と拡大につなげたいという思惑が透けて見えます。
観光客2人で1つの仕事 経済と雇用への期待
サイモンズ氏はインタビューの中で、「南アフリカを訪れる観光客2人につき1つの仕事が生まれる」という調査結果を紹介しました。観光産業が雇用と地域経済に与える影響の大きさを示す数字です。
TTOSによって中国とインドからの観光客が増えれば、ホテルや飲食業、交通、ガイドなど、幅広い分野で雇用が生まれることが期待されています。内務省は、観光客の増加が南アフリカ経済の成長につながると見込んでいます。
審査期間は3週間から2〜3日に短縮
ビザ手続きそのものも見直されます。これまで南アフリカのビザ申請には、おおよそ3週間ほどかかる場合がありましたが、TTOSの枠組みのもとでは、審査期間が2〜3日に短縮されるとしています。
オンライン申請の要件も簡素化され、必要な手続きが減らされる方向です。実務を担う旅行会社が申請を一括して扱うことで、個々の旅行者にとっては「気づいたらビザが取れている」状態に近づける狙いがあります。
団体旅行と「言語の壁」への対応
サイモンズ氏は、中国とインドからの旅行者の多くが団体旅行を好む傾向があると指摘しています。複数人で一緒に移動・観光するスタイルに合わせて、ビザ申請もグループ単位で行えるようにすることで、手間を減らそうという発想です。
また、中国やインドからの観光客の中には、ビザ申請手続きにおいて言語の壁に直面してきた人も少なくありませんでした。信頼できる旅行会社を通じた申請であれば、必要書類の準備からオンライン入力までを旅行会社側がサポートできるため、こうしたハードルを下げる効果も期待されています。
まずはパイロット段階 今後は旅行会社の拡大も視野
TTOSは現在、パイロット(試行)段階として位置づけられています。内務省は、今後さらに多くの旅行会社を追加し、より多くの観光客を呼び込む体制を整えたい考えです。
サイモンズ氏は、多くの中国およびインドからの観光客が南アフリカ訪問に強い関心を持っているとしたうえで、ビザ取得の障壁を下げることで、その関心を実際の渡航につなげたいとしています。
人口規模が大きく、旅行需要も高い中国とインドをどう取り込むかは、観光立国をめざす多くの国・地域にとって共通のテーマです。南アフリカのTTOSは、その一つのモデルケースとして今後も注目を集めそうです。
Reference(s):
South Africa to ease visa rules for travelers from China, India
cgtn.com








