グローバルサウスはグローバリゼーションを作り替えられるか video poster
アメリカの関税政策が世界経済に影を落とす中、ブラジルの研究者が、グローバルサウスが主導してより経済的・社会的に包摂的な世界秩序を築く必要性を訴えました。国際ニュースとしても、日本の読者にとっても無関係ではないテーマです。
ブラジル人研究者が示す危機感
サンパウロ州立大学で国際政治経済学を教えるマルコス・コルデイロ・ピレス教授は、最近の中国の国際メディアCGTNのインタビューで、現在のグローバリゼーションの在り方に疑問を投げかけました。
ピレス氏によると、アメリカによる関税は世界経済の不確実性を高めており、それに応える形で、グローバルサウスの国々がより経済的・社会的に包摂的な世界秩序を自ら構想し、形作っていく必要があるといいます。
グローバルサウスとは何か
グローバルサウスという言葉は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどを中心とした新興国や途上国を広く指す概念として使われています。単に地理的な南北だけでなく、歴史的な不平等や経済発展の格差といった文脈も含んだ言葉です。
2025年現在、これらの国々は世界の人口と成長の大きな部分を占めており、貿易や投資、技術協力などを通じて国際秩序への影響力を高めています。その意味で、グローバルサウスがグローバリゼーションの方向性をどう捉えるかは、国際ニュースの重要な論点になっています。
米国の関税が投げかける問い
ピレス氏が指摘するように、アメリカの関税政策は、自由貿易を前提としてきたこれまでのグローバリゼーションの枠組みに揺さぶりをかけています。関税は特定の国や産業への圧力となるだけでなく、サプライチェーン(供給網)全体に波及し、グローバルサウスの国々にも影響が及びます。
この状況は、次のような問いを各国に突きつけています。
- 一国の関税政策に世界経済がどこまで左右されるべきなのか
- より多くの国と地域が意思決定に参加できる仕組みは可能なのか
- 貿易のルールは、経済成長だけでなく社会的な公正さも反映できるのか
ピレス氏は、こうした問いに答える主体として、グローバルサウスの役割を強調しています。
より包摂的な世界秩序とは
ピレス氏が述べた「より経済的・社会的に包摂的な世界秩序」とは、具体的にどのような方向性を意味しているのでしょうか。インタビューの断片から読み取れるのは、次のようなイメージです。
- 経済的包摂: 貿易や投資の利益が、ごく一部の国や企業だけでなく、より多くの国と人々に行き渡る仕組みを重視すること
- 社会的包摂: 経済成長の数字だけでなく、雇用、教育、医療、環境といった社会的な側面も、国際協調の重要な目標とみなすこと
- 多極的な協力: 特定の大国ではなく、複数の国と地域が参加しながらルールや制度をつくっていくこと
こうした方向性は、単なる経済ニュースを超えて、国際社会の価値観そのものの再設計につながるテーマでもあります。
グローバルサウス主導のグローバリゼーション
ピレス氏は、アメリカの関税に対抗して単に別のブロックを作るのではなく、グローバルサウスが新しいルールづくりに主体的に関わるべきだと示唆しています。
そのための方向性として、次のような動きが考えられます。
- 南南協力の強化: グローバルサウス同士が、貿易、インフラ、技術、人材育成などで協力を深めること
- 国際機関での発言力向上: 貿易や金融のルールを決める場で、より多くのグローバルサウスの声が反映されるようにすること
- 新しい指標の模索: 国内総生産(GDP)だけでなく、不平等や環境負荷、生活の質といった指標も重視する発想へのシフト
こうした動きは、2025年以降のグローバリゼーションをどのように設計し直すかという、長期的なテーマにつながります。
日本の読者にとっての意味
日本は長く、輸出入や海外投資を通じて世界経済と深く結びついてきました。その日本にとって、グローバルサウスがグローバリゼーションの再設計を目指すという視点は、次のような点で重要です。
- サプライチェーンの多様化: アジアや南米、アフリカとの経済連携のあり方を見直すヒントになる
- ビジネスのリスク管理: 関税や地政学リスクに左右されにくいビジネスモデルを考えるきっかけになる
- 外交・開発協力: 途上国支援やパートナーシップを、より対等で相互利益のある形にアップデートする視点につながる
国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、グローバルサウスの議論はもはや遠い話ではありません。
これからの世界秩序をどう捉えるか
今回のブラジル人研究者の発言は、アメリカの関税政策という具体的な出来事をきっかけにしながら、グローバリゼーションそのものを問い直しています。
2025年の世界は、パンデミック後の回復、多極化する国際関係、環境・格差問題など、多くの課題を抱えています。その中で、グローバルサウスがどのような価値観とルールを提案し、どのように世界秩序をより包摂的なものへと導いていくのかは、今後も注目されるテーマです。
ニュースを追う際には、大国の動きだけでなく、グローバルサウスの視点や提案にも目を向けてみると、国際情勢の見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








