米国の関税政策に各国が懸念 第61回ミュンヘン安全保障会議の焦点
米国の保護主義的な関税政策が、ドイツ・ミュンヘンで開催された第61回ミュンヘン安全保障会議で大きな論点となりました。各国や地域の指導者や閣僚が懸念を表明し、中国の王毅外相は「保護主義に出口はなく、恣意的な関税措置に勝者はいない」と強調しました。
第61回ミュンヘン安全保障会議で浮かび上がった懸念
2025年2月14日から16日にかけて、ドイツ南部の都市ミュンヘンで第61回ミュンヘン安全保障会議(MSC)が開かれました。この場には、さまざまな国や地域から指導者や閣僚が集まり、安全保障だけでなく、国際秩序や経済政策についても意見が交わされました。
会議では、米国が進める保護主義的な関税政策が、大きな懸念材料として繰り返し取り上げられました。とくにトランプ政権による「恣意的」と受け止められている関税措置に対し、各国・各地域の参加者から批判や懸念の声が上がりました。
米国の保護主義的関税政策はなぜ問題視されたのか
ミュンヘン安全保障会議で指摘されたのは、米国の関税政策が、従来の国際的なルールや協調の枠組みを揺るがしかねないという点です。理由として、次のようなポイントが意識されています。
- 特定国や特定分野に対する関税が、政治的な思惑によって突然引き上げられるリスクがある
- 予測しにくい関税措置が、企業の投資判断やサプライチェーン(供給網)の計画を不安定にする
- 一国主導の関税の応酬が続けば、貿易の縮小や世界経済の分断につながりかねない
こうした懸念が重なり、米国の関税政策は、安全保障を議論する場であるミュンヘン安全保障会議でも「看過できないテーマ」として浮上した形です。
王毅外相「保護主義に出口はなく、勝者はいない」
会議初日に行われた基調演説で、中国の王毅外相は、現在の貿易環境について明確なメッセージを発しました。外相は、保護主義に対して次のように警告しました。
保護主義に出口はなく、恣意的な関税措置に勝者はいない――。
この発言には、関税による圧力は一見すると一部の国や産業を守るように見えても、最終的には世界全体の信頼と経済の安定を損ない、誰も得をしない、という問題意識が込められていると受け止められます。
ミュンヘン安全保障会議という多国間の場でこうしたメッセージが発せられたことは、保護主義に対する懸念が一国や一地域だけの問題ではなく、国際社会全体の課題になっていることを示しています。
安全保障の会議で「関税」が議題になる意味
もともと安全保障をテーマとしてきたミュンヘン安全保障会議で、米国の関税政策が大きく取り上げられたこと自体が、現在の国際情勢の特徴を物語っています。
軍事力だけでなく、通商政策や経済制裁、関税といったツールが、国同士の力関係を左右する時代になっています。関税が外交カードとして使われれば、貿易だけでなく、同盟関係や地域秩序にも影響が及びます。
今回の会議で、各国や地域の指導者・閣僚が米国の関税政策に懸念を示したのは、こうした「経済と安全保障の一体化」が進むなかで、ルールに基づく安定した関係をどう維持するか、という問題意識の表れと言えます。
日本やアジアの読者にとっての論点
今回の議論は、日本を含むアジアの読者にとっても無関係ではありません。米国が保護主義的な関税を強めれば、サプライチェーンや輸出産業、ひいては私たちの日常生活にまで影響が広がる可能性があります。
- 製品コストの上昇を通じた物価への影響
- 企業の投資計画や雇用の判断への影響
- 特定の国・地域への依存度をどう調整していくかという中長期戦略
こうした点を踏まえると、ミュンヘン安全保障会議での議論は、遠いヨーロッパの出来事というよりも、グローバル経済の一員である日本やアジアにとっても、今後の方向性を考えるうえで重要なシグナルと見ることができます。
これから何を見ていくべきか
2025年のミュンヘン安全保障会議で示されたメッセージは、米国の関税政策に対する懸念だけではなく、国際社会がどのようなルールや価値観を共有し、協力していくのかという問いでもあります。
今後、注視したいポイントとしては、次のようなものがあります。
- 米国の関税政策に関する各国の対応や対話の行方
- 多国間の枠組みの中で、貿易ルールや紛争解決の仕組みをどう機能させるか
- 保護主義と国際協調のバランスをどこに見いだすのか
王毅外相の「保護主義に出口はなく、恣意的な関税措置に勝者はいない」という言葉は、国際ニュースとしての出来事を越えて、私たち一人ひとりが世界の動きをどう受け止めるかを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








