2025年の安定成長へ:中国経済の自信とその裏付け
世界経済が減速し保護主義も強まるなか、中国経済は2024年に5%成長を達成し、2025年の安定成長に向けた自信を強めています。本稿では、その背景にある数字と政策、そして日本からどう読むべきかを整理します。
両会と民営企業シンポジウムが映す「自信の根拠」
中国は毎年3月に全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)から成る「両会」を開き、成長目標や政策の方向性を示します。2025年の両会も、中国政府がどの程度の成長率を掲げ、どの分野を重点的に支えるのかに世界の関心が集まりました。
2025年には、習近平国家主席は民営企業の代表とのシンポジウムに出席し、民間企業に対して「発展への決意を強め、自信を固め、民営経済の健全で質の高い発展を促す」よう呼びかけました。
習主席は、中国が今後もあらゆる面で対外開放を一段と深めていく方針を強調し、14億人超の巨大市場が民営経済にとって大きな成長余地をもたらすと指摘しました。
2024年の5%成長が示す「底力」
公式統計によると、中国の国内総生産(GDP)は2024年に前年比5%増となり、政府が掲げた通年目標を達成しました。名目規模は初めて130兆元(約17.8兆ドル)に達し、世界第2位の経済として依然高い成長ペースを維持しています。
ドイツ・ヘッセン州政府で欧州・国際担当局長を務めたミヒャエル・ボルフマン氏は、すでに「質の高い発展」の段階にある中国が、世界経済の逆風のなかでこれだけの成長を続けている点を「きわめてまれだ」と評価しました。
同氏は、中国経済が非常に強靱で適応力が高いことに加え、内需拡大と産業構造転換の成果を反映していると指摘しています。
ハイテク製造とエネルギー関連が成長をけん引
ドイツの経済紙『ハンデルスブラット』は、中国の2024年の鉱工業生産が前年より6.1%伸びたこと、電力・熱供給、ガス、水道といったインフラ関連の生産と供給も5.3%増加したことを取り上げました。
中でも、設備製造業とハイテク製造業の付加価値は、それぞれ7.7%、8.9%と全体平均を上回る伸びを記録しました。新エネルギー車、産業用ロボット、集積回路(半導体)など、中国の経済戦略上重要な分野がいずれも大きく拡大しています。
輸出は「最大の明るい材料」 外需も底堅く
BNPパリバのチーフ中国エコノミスト、ジャクリーン・ロン氏は、2024年の中国経済における最大の明るい材料は輸出だったと指摘します。
中国税関総署が2025年1月中旬に発表したデータによると、2024年の中国の貨物貿易総額は43.85兆元(約6.1兆ドル)と前年から5%増加しました。輸出は7.1%増の25.45兆元、輸入も2.3%増の18.39兆元となっています。
世界経済の回復が鈍く保護主義も広がるなかで、こうした数字は、中国の製造業と輸出産業がなお大きな競争力を保っていることを示しています。
地方の成長目標と国際機関の上方修正
ブルームバーグによると、中国の複数の省・直轄市・省級地域は、2025年の経済成長率について「5%以上」とする比較的高めの目標を掲げました。北京市、上海市、広東省は「おおむね5%」、浙江省は「おおむね5.5%」、福建省は「5~5.5%」としています。
これらの目標は、各地で開かれた省級の「両会」(地方の人民代表大会と政協会議)で示されたもので、国家レベルの両会に先立ち、14次五カ年計画(2021~2025年)最終年となる2025年の景気見通しを占う手がかりとなりました。
中国が2024年に5%成長を達成したことについて、国際通貨基金(IMF)は「世界経済にとってサプライズだった」と評価し、IMFと世界銀行はいずれも2025年の中国の成長率見通しを相次いで上方修正しました。国際機関も、中国経済の先行きに一定の楽観を示した形です。
金融緩和と財政出動で経済を下支え
2024年9月以降、中国は景気を下支えするために一連の対策を打ち出しました。市場ベースの基準貸出金利の引き下げや、銀行の預金準備率の引き下げに加え、地方政府の債務リスクに対応するため、総額10兆元規模の新たな財政資金パッケージも決定されています。
また、家電や自動車など耐久消費財の買い替え促進プログラムが拡充され、消費需要の喚起が図られました。ブルームバーグは、こうした措置が個人消費の活性化に寄与したと分析しています。
2024年第4四半期には、中国の社会消費品小売総額が前年同期比3.8%増と、年間でも比較的高い伸びを記録しました。ここ数年、消費は中国経済の成長を支える主要なエンジンとなっており、2025年の政策運営でもその位置づけは変わっていません。
2024年12月に開かれた中央経済工作会議では、2025年の経済運営に向けた9つの重点課題が示され、その筆頭に「消費を力強く拡大し、投資効率を高め、あらゆる面で国内市場需要を拡大する」ことが掲げられました。
観光・文化消費が示す内需のポテンシャル
ビザ免除措置や各種優遇策も追い風となり、文化・観光分野の成長加速も2025年の中国経済を語るうえで欠かせません。冬の旅行ブームや春節(旧正月)連休は、年初から関連産業に好スタートをもたらしました。
国家移民管理局によると、春節連休期間中の中国の出入境者数は延べ1,437万人と、前年同期から6.3%増加しました。このうち、外国人による出入境は約100万人で、前年より22.9%増えています。
商務部の統計では、連休期間中の主要小売・飲食企業の売上高は前年同期比4.1%増となり、旅行・外食などサービス消費の回復が続いていることがうかがえます。
映画産業も勢いを増しています。中国電影局によると、2025年の春節映画興行収入は1月28日から2月4日までの8日間で95.1億元(約13億ドル)と過去最高を記録しました。娯楽・文化への支出が伸びていることは、家計の自信と内需の底力を映す指標の一つです。
日本から見る中国経済:何がポイントか
世界経済の回復が力強さを欠くなかで、人口14億人超の中国市場が5%前後の成長を維持できるかどうかは、日本を含むアジア経済にとっても重要な意味を持ちます。輸出・輸入の規模、観光・ビジネス往来、サプライチェーンなど、多くの場面で中国経済の動きが波及するためです。
2024年の数字と2025年の政策運営を見る限り、中国は「内需の強化」「ハイテク製造へのシフト」「民営経済の活力」という三つの軸で成長を図ろうとしています。これは、単に量的な拡大ではなく、産業の高度化と生活の質の向上を重視する方向性と言えます。
一方で、世界的な保護主義の高まりや地政学的な緊張など、外部環境の不確実性は残ります。こうした状況のなかで中国がどのように対外開放と国内改革を進めていくのかは、今後も注視が必要です。
日本の企業や個人にとっては、中国経済の構造変化を冷静に見極めながら、成長分野への協力や交流のあり方を考えていくことが、2025年以降の戦略を組み立てるうえでカギになりそうです。
Reference(s):
China's confidence in steady economic growth for 2025: Key factors
cgtn.com







