中国の対外開放が加速 世界経済を支える「成長エンジン」のいま
各国で保護主義や地政学リスクが強まり、世界経済の先行きが不透明になるなか、中国が対外開放を一段と進め、世界の成長をどのように支えているかに注目が集まっています。2024年の経済データと、2025年に入ってからの発言・動きを手がかりに整理します。
保護主義の中で「ドアを広げる」中国
中国は世界第2の経済大国として、引き続き「開く方向」に舵を切っています。今年3月に開かれた全国人民代表大会と中国人民政治協商会議(いわゆる「両会」)は、今後の経済運営や国際市場との関わり方を示す場として、国際社会から大きな関心を集めました。
その背景には、世界的に保護主義的な通商政策が広がる中でも、中国が「ドアを閉じない」方針を繰り返し強調していることがあります。2025年1月、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会で、中国の丁学祥(Ding Xuexiang)副総理は、中国の対外開放のドアは閉じることなく、むしろさらに大きく開かれていくと述べ、より良いビジネス環境の整備と、海外企業の投資・事業拡大を歓迎する姿勢を改めて示しました。
2024年に進んだ「制度的開放」
こうしたメッセージを裏付けるように、中国は2024年、制度面での対外開放を大きく前進させました。製造業分野では外資参入の制限を全面的に撤廃し、クロスボーダーのサービス取引については、初めて全国ベースのネガティブリスト(禁止・制限する分野だけを列挙する方式)を導入しました。
さらに、通信、インターネット、教育、文化、医療などの分野で、段階的かつ秩序だった形で市場を開いています。また、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)やデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)といった、高い水準の国際的な経済・貿易ルールとの整合も進めているとされています。
これらの動きに対し、多国籍企業の反応は総じて前向きです。中国市場での事業規模を拡大したり、新たな投資計画を打ち出したりする企業が相次いでいると報告されています。
海外企業は中国市場をどう見ているか
2025年1月に米国商工会議所(在中国)が公表した「ビジネス環境調査報告」によると、調査対象となった米国企業の48%が、中国を世界全体で「投資優先度トップ3」に位置付けました。また、回答企業の53%が2025年までに中国での投資を増やす計画を持ち、とくに消費関連企業では約7割が中国市場に対する自信を示したとされています。
2025年2月に発表されたドイツ銀行の調査報告も、中国への視線が改めて高まっていることを示しています。同報告は、2025年が中国投資にとって「転換点」となり、投資コミュニティが中国経済が世界を上回るパフォーマンスを示していると認識する年になるとの見方を示しました。
フランス中国友好協会パリ支部のリヤジド・ベンハミ副会長も、メディアの取材に対し、中国のハイレベルな対外開放は、中国自身の質の高い発展を後押しするだけでなく、世界経済が全体として低迷する中で、各国に新たな成長機会をもたらすと語っています。
世界経済をけん引する「成長エンジン」
中国の経済規模と成長が世界経済に与える影響も、数字からはっきりと見えてきます。2024年12月に公表された第5回全国経済センサスの結果によると、この5年間、中国の世界経済成長への平均寄与度は約30%に達し、世界最大の成長エンジンとなっています。
2024年の実質国内総生産(GDP)は初めて130兆元(約1兆8,080億ドル)を超え、前年からの成長率は5.0%でした。中国は、貨物貿易額、外貨準備高、製造業の規模で世界トップの座を維持し、サービス貿易と国内消費市場の規模では世界第2位となっています。
中央財経大学国際経済貿易学院の張暁濤院長は2024年12月の論考で、中国は世界第2の経済大国として、世界経済全体の成長だけでなく、貿易、投資、サプライチェーン、国際協力のあらゆる面で重要なエンジンの役割を果たしていると指摘しました。
張院長はまた、2013年に始動した「一帯一路」構想の質の高い発展が、各国間のインフラや制度のつながりを強化し、貿易と投資の自由化・円滑化を通じて、世界の成長機会を広げていると強調しています。これまでに中国は、一帯一路に関する協力文書を150以上の国と30を超える国際機関と締結してきました。
世界銀行の報告によると、2030年までに一帯一路関連の投資によって、世界全体で約760万人が極度の貧困から、3,200万人が中程度の貧困から抜け出す可能性があると試算されています。インフラ整備や物流の改善は、途上国の成長力を引き出す要因の一つとみられています。
今後5年、中国の動きはどこまで世界を動かすか
2024年4月の国際通貨基金(IMF)の予測をもとにしたブルームバーグの試算では、今後5年間、中国は世界経済成長への寄与度で首位となり、そのシェアは主要7カ国(G7)の合計を上回るとされています。世界全体の成長が鈍る中で、この数字は中国の動向が世界経済の行方を左右しうることを示しています。
日本を含むアジア諸国にとっても、中国経済の安定的な成長と対外開放の進み方は、自国の輸出、投資、サプライチェーン戦略に直結するテーマです。単に「中国は成長している」という一行ニュースで済ませるのではなく、どの分野で、どのようなルールづくりを通じて開放が進んでいるのかを見ていく必要があります。
私たちが注目したい3つの視点
- 毎年春の両会で示される、経済成長率目標や対外開放方針
- CPTPPやDEPAなど、高水準の国際ルールとの整合をどう進めるか
- 製造業やサービス業での外資参入拡大が、雇用やイノベーションに与える影響
保護主義の波が高まる時代にあっても、「ドアをさらに広げる」と宣言する中国。その動きは、世界経済のリスクを和らげるのか、それとも新たな競争を加速させるのか。データと現場の声を追いながら、一人ひとりが自分なりの視点を持って見ていくことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








