保護主義の逆風 中国・ドイツが経済協力強化へ
保護主義が強まる中、中国とドイツの政財界が「協力を深める」方向で足並みをそろえました。世界のサプライチェーン(供給網)が再編されつつある今、そのメッセージはどんな意味を持つのでしょうか。
保護主義の高まりに対抗し「協力」を打ち出す中国とドイツ
ドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州の都市シュトゥットガルトで月曜日に開かれた「中国・ドイツ経済貿易協力フォーラム」には、中国とドイツの政府・ビジネス関係者およそ200人が参加しました。
フォーラムのテーマは「グローバルサプライチェーン再構築の文脈における中国・ドイツ経済貿易協力の新たな機会」。主催は中国国際貿易促進委員会(CCPIT)で、参加者の間では「国際協力は弱めるのではなく、むしろ強化すべきだ」という点で一致が見られました。
フォーラムで出た3つのキーメッセージ
1. 企業が求めるのは「開かれた市場」と「公平なルール」
バーデン=ヴュルテンベルク州経済省で戦略や商法、対外経済、欧州を担当するヨハネス・ユング氏は、世界各地でみられる保護主義的な傾向に強い懸念を示しました。国際的に活動する多くの企業の間で、こうした動きへの不安が高まっているといいます。
ユング氏によれば、企業が必要としているのは次のような環境です。
- 開かれた市場
- 公平な貿易関係
- 投資の安全性に対する信頼
さらに、海外で「対等で公正な競争条件」が確保されることが重要だと強調しました。そのためには、政治レベル・民間レベルの双方で、定期的な往来を続けることが相互理解と協力深化の土台になると述べました。
保護主義が目立つ一方で、「経済のグローバル化という大きな流れは逆転しない」との見方も示し、信頼に基づく国際協力の強化を呼びかけました。
2. 中国側:独製品の受け入れと対独投資を拡大へ
中国国際貿易促進委員会(CCPIT)の任鴻斌会長は、ドイツ側と手を携えて貿易協力の潜在力を掘り起こしたい考えを示しました。具体的には、次のような方向性が語られました。
- 自動車や農業機械など、高品質なドイツ製品が中国市場にさらに入りやすくなる機会を提供する
- 産業チェーン・サプライチェーン分野での協力を強化する
- 二国間投資の発展を後押しし、ビジネスにとって良好な環境を整える
- 競争力の高い中国企業によるドイツへの投資を促す
保護主義が広がる中でも、市場を開き、相互投資と産業協力を進めることで「ウィンウィンの結果」を目指す姿勢がにじみます。
3. ドイツ側:保護主義に「ビジネスは抵抗している」
バーデン=ヴュルテンベルク起業家協会の副最高経営責任者(CEO)、ティム・ヴェニゲス氏は、今回のフォーラムを「協力が可能であり、望まれているというポジティブなシグナル」と評価しました。
同協会は、産業からサービス、商業、職人分野まで、50業種・65の団体を束ねる州を代表する経済団体です。ヴェニゲス氏は、中国がドイツ経済にとって最も重要な貿易パートナーの一つであり、双方で投資とビジネスのつながりが深いことを指摘しました。
そして、世界的に経済の「閉鎖」に向かう傾向が見られる一方で、「企業はこうした流れに抵抗している」と述べました。イノベーションを進め、貿易を行い、さまざまな分野でより深い交流を図ることを、ドイツ企業側も中国と共に目指しているといいます。
ジェネテック・インターナショナル・ホールディング社の王暁氏も、グローバルサプライチェーンが大きな変革期を迎えており、それが中国企業とドイツ企業の協力に大きな影響を与えると指摘しました。そのうえで、開放性・寛容性・互恵性にもとづく連携こそが、課題を乗り越え、双方に利益をもたらす最善の道だと述べました。
サプライチェーン再編と中国・ドイツの新たな接点
フランクフルトの中国総領事、黄懿揚氏は、中国が開放的な姿勢によって海外からの投資を引き付けてきた点を強調しました。現在進行中の産業構造の転換や技術革新のプロセスを通じて、より多くのドイツ企業が新たなビジネス機会を享受することへの期待も示しました。
中国国際展示センターグループの林舜傑会長は、7月16日に開幕する予定の第3回中国国際サプライチェーン博覧会について紹介しました。同社は、ドイツのWolqe GmbHやChina Network Baden-Wuerttembergなどのパートナーと、博覧会に向けた意向書や覚書を締結しています。
前回のサプライチェーン博覧会には、ドイツから19社が参加しました。スマート自動車、クリーンエネルギー、先進製造業といった分野の企業で、いずれも世界のサプライチェーンを構成する重要なプレーヤーです。林氏は、彼らの参加自体がサプライチェーンの「相互接続性」を象徴しているとし、次回はさらに多くのドイツ企業が参加すると確信していると述べました。
日本の読者への示唆:分断と連結のあいだで
今回のフォーラムは、中国とドイツという製造業大国が、保護主義の高まりに対して「協力強化」で応じようとしている姿を映し出しました。これは、グローバル経済のなかでサプライチェーン再編が進む2025年現在の流れを考えるうえで、示唆的な動きです。
日本の読者にとって意識しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 保護主義が強まる中でも、企業は市場の開放とルールの安定を強く求めていること
- サプライチェーン再編のなかで、中国とドイツがむしろ協力を深めようとしていること
- スマート自動車、クリーンエネルギー、先進製造業など、将来の成長分野での連携が広がりつつあること
世界の経済秩序が揺れるなかで、誰とどのようにつながり、どんなルールで取引するのかがあらためて問われています。中国とドイツの動きは、その問いに対する一つの答えを示しているのかもしれません。
Reference(s):
China, Germany eye closer cooperation amid rising protectionism
cgtn.com








