中国南東部・長汀県の赤い荒れ地が緑の山へ 生態系回復とエコ経済 video poster
中国南東部の長汀県では、かつて荒れ果てていた赤茶けた山々が、この十数年で果樹が実り、鶏が走り回る緑の山へと生まれ変わりました。生態系の回復と持続可能な開発がどのように結びつくのかを考えるうえで、いま注目したい国際ニュースです。
かつては荒れ果てた赤い山だった長汀県
長汀県はかつて、土壌浸食が進み、山の表面がむき出しになった火を噴くような赤い山とも形容される不毛の土地でした。植生が失われれば雨が降るたびに表土が流され、さらに草木が育ちにくくなる悪循環が続きます。
農業に頼る地域にとって、山が緑を失うことは、暮らしの基盤が崩れることを意味します。一般に土地が痩せれば収穫は減り、地域経済にも大きな影響が出ます。長汀県でも、こうした課題にどう向き合うかが問われていました。
十数年で山を緑に変えた生態系回復の力
転機となったのが、生態系の回復と持続可能な開発を組み合わせた取り組みです。十数年という時間をかけて、荒れていた山々は、緑豊かな頂へと姿を変えていきました。
生態系の回復とは、失われた自然環境を、そこに暮らす生き物や地域社会にとって健全な状態へ近づける試みです。単に木を植えるだけでなく、土壌や水、植生のバランスを整え、長期的に自然が自ら再生できるしくみを取り戻すことが重視されます。
国際メディアの記者であるリンカーン・ハンフリーズ氏は、この長汀県の変化を取材し、生態系の回復と持続可能な開発がどのように結びついたのかを紹介しています。
果樹と放し飼いの鶏が生み出すエコ経済
いま長汀県の山頂には、果実をたわわに実らせた木々が並び、その足元では鶏が放し飼いで歩き回っています。かつては何も育たなかった斜面が、農産物と家きんの両方を生み出す生きた資源となり、地域のエコ経済を支える存在になっています。
一般に、環境を守る取り組みと経済活動を組み合わせたエコ経済には、次のような特徴があります。
- 自然環境を守りながら、安定した収入源を生み出せる
- 単一の作物に依存せず、果樹や家きんなど複数の生産でリスクを分散できる
- 地域のイメージ向上につながり、外部の関心や投資を呼び込みやすくなる
なぜ今、この事例に注目するのか
気候変動や土地の劣化が世界的な課題となるなかで、この長汀県の事例は、自然を回復させながら地域の暮らしを豊かにする道筋があることを示しています。中国南東部の一地方の変化ですが、同じような悩みを抱える多くの国や地域にとって参考になるストーリーです。
私たちが学べる三つの視点
- 時間軸を十数年で考える
環境の回復には時間がかかります。長汀県のように、十数年というスパンで取り組みを続けることで、目に見える成果が現れます。短期的な結果だけでなく、次の世代を見据えた投資が重要です。 - 環境と経済を両立させる発想
果樹と放し飼いの鶏が象徴するのは、自然と生産活動を対立させない発想です。環境を守ることが、地域にとっての新しい収入源や雇用につながる設計が求められます。 - ローカルな成功例を共有する
長汀県の変化は、一見すると一地方の話に見えますが、国際ニュースとして共有されることで、他地域の政策づくりや市民の発想にも影響を与えます。小さな成功例を丁寧に記録し、学び合うことが、持続可能な社会づくりの土台になります。
かつて荒れ果てた山が、十数年で緑の山へと生まれ変わり、エコ経済の拠点にまでなった長汀県。その変化は、自然を諦めずに向き合えば、景色だけでなく地域の未来も変えられることを静かに語りかけています。私たちの身近な土地でも、同じ問いを投げかけてみたくなる事例です。
Reference(s):
cgtn.com








