国際ニュース:米国25%関税で揺れる北米サプライチェーン
米国がカナダ・メキシコからの輸入に最大25%の関税を課す方針を打ち出し、北米の貿易とサプライチェーンに大きな波紋が広がっています。なぜ史上最大規模とされるこの関税が、米国自身も含めた北米経済を揺らすのかを整理します。
米国が打ち出した25%関税とは
トランプ米大統領は2025年初め、カナダとメキシコからの輸入品に一律25%の追加関税を課す方針を確認しました。1カ月の猶予期間を経て、遅くとも2025年3月4日までに発動するとされ、関税はカナダ・メキシコからの輸入918.54 billionドル相当を対象にします。
米国の2024年の輸入総額はほぼ3.3兆ドルとされ、この関税はその27.9%に相当します。1つの関税措置としては、世界貿易史上でも最大級の輸入額に影響が及ぶことになります。
カナダ・メキシコ輸出への深刻な打撃
関税の矛先が向けられているのは、米国に深く依存するカナダとメキシコの輸出です。2024年時点で、カナダの輸出の75%、メキシコの輸出の80%を米国市場が占めていました。ここに一律25%の追加関税がかかれば、価格競争力が急速に失われ、深刻な打撃になるとの見方が出ています。
輸出依存度が高い国ほど、単一市場の変化が雇用や投資、税収に直結します。今回の措置は、カナダとメキシコの成長モデルそのものを揺さぶりかねない規模だと言えます。
米国経済も痛みは避けられない
しかし、この関税は対岸の火事ではなく、米国経済自身にも重い負担となる可能性があります。輸入コストの上昇は企業の仕入れ価格を押し上げ、最終的には消費者物価の上昇、すなわちインフレにつながります。
さらに、カナダとメキシコは報復措置を取る用意があると表明しています。両国向けの米国輸出は、米国の世界全体の輸出市場の約3分の1を占めており、報復関税が発動されれば、米国の輸出産業も大きな打撃を受けると懸念されています。
ゼロ関税で築いた北米サプライチェーンへの衝撃
米国・カナダ・メキシコの3カ国は、地域自由貿易協定USMCAの下で、ゼロ関税を前提としたサプライチェーンを築いてきました。自動車や電子機器、農産品など、多くの製品は国境を何度も行き来しながら生産されています。
こうした中で、特定の国や品目に対し突然25%もの関税が課されれば、企業はサプライチェーンの見直しを迫られます。生産地や調達先の変更、在庫水準の調整、コスト増の販売価格への転嫁などが同時多発的に進み、北米全体のサプライチェーンに深刻な混乱をもたらすとみられます。
エネルギーだけ10%の例外、その理由
今回の措置の中で例外的なのが、石油・ガスの輸入に対する関税です。米国は世界有数の産油・産ガス国であり輸出国でもありますが、それでもなお輸入に大きく依存しており、その主な供給元がカナダです。
2024年、米国は石油・ガスを176.47 billionドル輸入しており、そのうち106.25 billionドル、比率にして60%をカナダからの輸入が占めていました。この依存度の高さがあるため、石油・ガスに限っては25%ではなく10%の関税とされています。
それでも、エネルギー価格がわずかに上昇するだけで、製造業のコストやガソリン価格を通じて、米国内の物価に波及します。また、カナダ側が他地域への輸出転換を進めれば、北米のエネルギー市場の構図そのものが変化する可能性もあります。
北米の関税は世界経済と日本にも波及
北米サプライチェーンの混乱は、米国・カナダ・メキシコにとどまりません。多国籍企業の生産ネットワークは世界中に広がっており、北米でのコスト増や需給の変化は、他地域の投資や雇用、価格にも波及する可能性があります。
日本企業も自動車や部品、素材などで、米国やメキシコを重要な生産・輸出拠点としています。北米向けの関税や報復措置が長期化すれば、日本からの輸出計画やサプライチェーン戦略の見直しを迫られる場面も出てきそうです。
関税でどこまで守れるのか、問い直される通商戦略
輸入品に高い関税をかければ、短期的には国内産業を保護しているように見えます。しかし、USMCAのような自由貿易枠組みの下で3カ国のサプライチェーンが一体化した今、関税は相手国だけでなく自国の企業と消費者も直撃します。
今回の米国の25%関税は、保護主義的な通商政策が、グローバル化した経済の現実とどこまで整合的なのかを改めて問いかける出来事と言えます。北米の動きを注視しつつ、日本やアジアにとって望ましい貿易・投資のあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








