台湾当局が中国本土との大学交流を制限 中国側が民進党を批判
台湾の民進党当局が、中国本土(中国)の有力理工系大学との学術交流を禁止し、中国本土側が強く反発しています。国際ニュースとして、両岸関係と教育・研究の行方にどんな影響が出るのかが注目されています。
何が起きたのか:民進党当局が学術交流を禁止
火曜日、中国本土の国務院台湾事務弁公室の報道官・陳斌華(ちん・ひんか)氏が記者会見で、台湾の民主進歩党(民進党)当局を厳しく批判しました。理由は、台湾の大学が中国本土の有力理工系大学と協力することを禁止したためです。
陳氏によると、台湾当局は台湾の大学に対し、中国本土の「一流の理工系大学」との提携や交流を行わないよう求めており、これが台湾の大学の利益を損なっていると指摘しました。陳氏は、この対応は「狭量で傲慢な姿勢」を露呈していると述べています。
禁止対象が広がる:中国本土の有力理工系大学
台湾当局はこれまでに、台湾の教育機関と中国本土の一部大学との交流をすでに禁止していました。その対象には、華僑教育で知られる中国本土の暨南大学(Jinan University)など3校が含まれていたとされています。
今回、台湾の教育当局はこのリストを拡大し、新たに7つの中国本土の大学を学術交流の禁止対象に加えました。その中には、
- 北京航空航天大学(Beihang University)
- 北京理工大学(Beijing Institute of Technology)
といった、世界的にも評価の高い工学系・理工系大学が含まれています。
中国本土側の主張:「軍事だけではなく世界の技術進歩に貢献」
陳氏は、交流禁止の対象となった大学について、「世界的に知られた工学系大学であり、その研究成果は、中国本土だけでなく世界の産業発展と技術進歩に重要な貢献をしてきた」と強調しました。
また、これらの大学は軍事技術だけに特化しているわけではなく、「幅広い分野で成果をあげている」として、台湾当局が安全保障上の懸念を理由に一律に交流を止めるような見方は適切ではないとの認識を示しました。
「教育への政治介入」として民進党を批判
陳氏は、民進党当局が繰り返し、両岸(中国本土と台湾)の教育交流に政治的な介入を行ってきたと指摘しました。
その上で、民進党当局の対応について、次のような問題点を挙げています。
- 台湾の大学・研究機関が、中国本土の教育・研究資源を活用する機会を失っていること
- 学術・教育分野にまで「中国本土に関わるものは何でも反対する」という発想を持ち込んでいること
- 結果として、台湾の高等教育や研究の国際競争力にも悪影響を与えかねないこと
陳氏は、こうした「何でも中国本土に反対する」姿勢は、台湾内部の教育界からも批判を受けていると述べました。
台湾の教育現場からも懸念の声
報道官によれば、台湾の教育セクターからは、民進党当局による交流制限に対して懸念や批判の声が出ているといいます。具体的な名前や組織は挙げられていませんが、
- 学生が海外や中国本土で学ぶ機会が減るのではないか
- 共同研究や教授陣の交流が制限され、研究の幅が狭まるのではないか
といった点が問題視されているとみられます。
学術交流は、政治体制や立場の異なる地域間でも比較的維持されやすい分野とされてきましたが、2025年現在、両岸関係の緊張は教育の現場にも影を落としています。
台湾の学生へのメッセージ:「中国本土の大学は歓迎する」
陳氏は会見の中で、台湾の若者や学生に向けたメッセージも発信しました。
「中国本土の先進的な教育の利便性を、台湾の学生とも分かち合いたい。学問への志を持つ台湾の人びとを、中国本土の大学はいつでも歓迎している」と述べ、中国本土側は引き続き台湾からの留学や研究参加を受け入れる姿勢を示しました。
これは、政治的な対立があっても、人と人との教育・研究交流の窓口は開いたままにしておきたい、というメッセージとも受け取ることができます。
日本の読者にとっての意味:学術交流と政治の距離感
今回の動きは、中国本土と台湾という両岸関係の文脈の中で起きている出来事ですが、日本の読者にとっても考える材料が多いニュースです。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- 学術交流の安全保障化:研究分野、とくに理工系や先端技術分野では、安全保障上の懸念から交流や共同研究が制限される動きが各地で見られます。
- 政治的緊張が教育に与える影響:国・地域間の関係悪化が、留学や共同研究など、若者や研究者の具体的な選択肢に直結するようになっています。
- 「開かれた学問」のあり方:技術流出や安全保障に配慮しつつも、どこまで学問・教育の自由な交流を守るべきかという課題は、日本を含む多くの国と地域に共通するテーマです。
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、今回の中国本土と台湾の学術交流をめぐる動きは、「知識や教育はどこまで政治から距離を保てるのか」という問いを投げかけています。
これからの両岸教育交流はどうなるか
民進党当局による交流制限と、それに対する中国本土側の反発は、今後の両岸の教育・研究協力に長期的な影響を与える可能性があります。
現時点では、
- 制限対象となる大学がさらに拡大するのか
- 台湾の大学や教育関係者がどのような対応・意見表明をしていくのか
- 中国本土側が台湾の学生・研究者を引き続きどのように受け入れていくのか
といった点が、今後の注目ポイントになりそうです。
両岸関係の緊張が続くなかで、教育や学術交流のチャンネルをどのように維持し、どこまで政治と切り離して考えるのか。2025年のアジアと世界を理解するうえで、引き続きフォローすべきテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
Mainland slams DPP's blocking of cross-Straits academic exchanges
cgtn.com








