中国が米追加関税に対抗措置 輸出管理と農産品関税を発表
中国が米追加関税に対抗措置 輸出管理と農産品関税を発表
米国政府がフェンタニル問題を理由に、中国からの全輸入品に追加関税を課す方針を示したことに対し、中国が対抗措置を発表しました。WTO提訴と米企業への規制強化、米国産農産品への追加関税など、米中関係に新たな緊張が生まれています。
この記事のポイント
- 米国はフェンタニル問題を理由に、中国からの全輸入品に追加10%関税を決定
- 中国はWTO提訴と、米企業への輸出規制・信頼できないエンティティ指定で対抗
- 米国産農産物などに最大15%の追加関税を予告し、米中の貿易摩擦が一段と激化
背景:フェンタニルを名目とした米国の追加関税
今回の対抗措置は、米国の追加関税決定が発端です。米国政府は、中国からの全ての輸入品に一律10%の追加関税を課すと発表し、その理由として米国内で深刻化する合成麻薬フェンタニル問題を挙げました。
この最新の関税引き上げは、2025年2月1日に発表された10%の追加関税に続くもので、中国側は不当な措置だとして強く反発しています。
対抗措置1:WTO提訴と輸出管理リスト
中国商務省の報道官は、世界貿易機関の紛争解決メカニズムに基づき、今回の米国による追加関税について正式に提訴したことを明らかにしました。中国は、多国間ルールの枠組みの中で対応する姿勢を打ち出しています。
同時に、中国は米国の企業15社を輸出管理リストに追加しました。リードスなどが含まれ、これらの企業は軍民両用、つまり軍事と民生の両方に使われ得る品目を中国から調達することが原則として禁止されます。すでに進行中の輸出契約も停止されることになり、例外的に輸出が必要な場合は商務省の許可が必要となります。
対抗措置2:信頼できないエンティティ指定
さらに中国は、TCOMをはじめとする米企業10社を信頼できないエンティティリストに追加しました。このリストに入った企業は、中国との輸出入取引や新規投資が禁止されるなど、事業活動に大きな制約が課されます。
2025年2月4日付で、米バイオ企業イルミナも同リストに加えられました。これにより、イルミナは中国向けに遺伝子シーケンサーなどの遺伝子解析装置を輸出することが制限されます。
対抗措置3:米農産品などへの追加関税
関税面でも中国は具体的な対抗措置を示しました。国務院関税税則委員会によると、中国は2025年3月10日から、米国からの一部輸入品に追加関税を課すと発表しました。
- 鶏肉、小麦、トウモロコシ、綿花に15%の追加関税
- ソルガム、大豆、豚肉、牛肉、水産物、果物、野菜、乳製品に10%の追加関税
これらの追加関税は、すでに課されている関税に上乗せされます。一方で、保税制度や免税措置といった既存の優遇措置は維持されるとしています。
また、3月10日より前に出港し、3月10日から4月12日の間に中国に到着する貨物については、追加関税の対象外とする経過措置も設けられました。物流の混乱を一定程度抑える狙いがあるとみられます。
外交当局の反応:責任転嫁では問題は解決しない
中国外交部の林剣報道官は記者会見で、今回の関税引き上げは中国の正当な権益を守るための必要な対応だと強調しました。
フェンタニル問題について林報道官は、問題の根源は米国内にあり、中国は人道的な立場から米国を支援してきたと説明しました。そのうえで、米国が責任を中国に転嫁し、関税を圧力やゆすりの手段として用いていると批判しました。
林報道官は、中国は威圧やいじめを恐れないと述べ、米国が関税など対立的な手段で緊張をエスカレートさせるのであれば、中国も応じて必要な措置を取ると牽制しました。同時に、相互の尊重に基づく対話と協力に戻るよう米国に呼びかけました。
米中関係と世界経済への含意
今回の対抗措置は、貿易問題と麻薬対策という安全保障上の懸念が絡み合うかたちで、2025年の米中関係が一段と複雑になっていることを示しています。
追加関税や輸出規制の応酬は、企業にとってサプライチェーンの見直しやコスト増といった不確実性をもたらします。とくに農産物やハイテク機器は、日常生活や産業活動に直結する分野であり、その影響は米国と中国だけでなく、第三国の市場にも波及する可能性があります。
一方で、中国がWTOの枠組みを通じて対応している点は、多国間ルールを活用しながら自国の立場を主張しているともいえます。圧力の応酬が続くなかで、米中双方が対話のチャンネルを維持できるかどうかが、今後の国際経済の安定にとって重要な焦点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








