中国、消費拡大と国内需要テコ入れへ 特別国債と家計支援を軸に
リード:消費が中国経済の「主役」に
中国が2025年の政府活動報告で、消費を経済成長の「主力」と位置づけ、国内需要の拡大に力を入れる方針を示しました。家計所得の底上げから特別国債の発行、休暇制度の見直しまで、多方面から需要を喚起する内容です。本記事では、その主なポイントと狙いをコンパクトに整理します。
中国が「消費主導の成長」を掲げた2025年方針
政府活動報告によると、中国政府は今年、消費を「経済成長をけん引し、安定させる重要な力」と位置づけました。報告は北京で開かれた第14期全国人民代表大会第3回会議の開幕式で、中国の李強首相(国務院総理)が国務院を代表して提出したものです。
その中で、政府は「消費を力強く刺激し、国内需要を拡大する」と明記し、個人消費を中心とした内需のテコ入れを成長戦略の中核に据える姿勢を打ち出しました。
柱1:家計所得を増やし、中・低所得層を重点支援
第一の柱は、家計所得を多方面から引き上げることです。政府活動報告では、特に中・低所得層の収入を増やす方針が強調されています。
- 中・低所得層の所得を「複数のチャネル」を通じて増やす
- 労働者の賃金が安定的に伸びるよう、賃金成長メカニズムを改善する
所得の底上げと賃金制度の見直しによって、「お金を使いたくても使えない」という状況を減らし、安定した消費を支える土台を整える狙いがあるといえます。
柱2:超長期特別国債3000億元で設備・家電を更新
第二の柱は、超長期の特別国債を活用した設備・家電の更新です。中国政府は、3000億元(約413億ドル)規模の超長期特別国債を発行し、老朽化した産業設備や家庭用電化製品の買い替え・更新を支援します。
償還期間の長い特別国債で財源を確保することで、企業の設備投資と家計の耐久消費を同時に後押しし、景気の下支えと産業の高度化を両立させる構図が見えてきます。
柱3:医療・介護・子育て・家事サービスを厚くする
第三の柱は、生活に密接に関わるサービス分野の拡充です。政府は次のような多様なサービスの供給を増やすとしています。
- 医療・ヘルスケアサービス
- 高齢者向けの介護サービス
- 子どもの保育・子育て支援サービス
- 家事代行などの家政サービス
この分野の拡大に向けて、政府は市場参入の条件を緩和し、不必要な規制を減らし、監督・規制の枠組みを最適化するとしています。生活サービスの選択肢が増えれば、家計の支出構造も変化し、サービス消費の比重が高まる可能性があります。
柱4:休暇制度の見直しで観光・文化・スポーツ消費を後押し
第四の柱は、休暇制度の見直しです。政府は、休暇制度を「改善・最適化」することで、人びとが観光や文化、スポーツにより時間とお金を使えるようにする方針です。
観光やエンターテインメント、スポーツ観戦・参加といった分野は、休暇の取りやすさと密接に結びついています。休暇制度の調整によって、国内旅行や文化イベントへの参加などを増やし、関連産業全体の消費を押し上げる狙いがあります。
柱5:免税店政策と「国際消費中心都市」でインバウンド強化
第五の柱は、消費拠点の整備とインバウンド需要の取り込みです。政府活動報告では、次の取り組みが掲げられています。
- 免税店に関する政策を改善し、域外からの消費を惹きつける
- 「国際消費中心都市」の建設を進める
- 県級地域の商業インフラ(商業施設や物流など)を強化する
都市部だけでなく、地方レベルの商業インフラを整備することで、地域間の消費格差を小さくし、国内全体での需要喚起を図る狙いも読み取れます。
柱6:統計強化と消費者保護で「安心して使える」環境に
第六の柱は、制度面からの支えです。政府は、消費の動きをより正確に把握するため、消費統計の体系を整備・強化するとしています。報告では、「全口径の消費統計システム」を改善すると明記されました。
同時に、消費者の権利保護を強化し、「より安全で信頼できる」消費環境を整える方針も示されています。データとルールの両面で基盤を固めることで、家計や企業が安心してお金を使える環境づくりを目指しているといえます。
今回の方針から見える中国経済の方向性
今回の政府活動報告からは、次のようなメッセージが読み取れます。
- 投資や輸出だけでなく、内需、とりわけ個人消費を経済成長のエンジンとして重視していること
- 所得、サービス供給、休暇制度、商業インフラ、消費者保護を「セット」で改革し、消費の量と質の両方を高めようとしていること
- 超長期特別国債を通じて、設備の更新と家計の大口消費を同時に促す二重の効果を狙っていること
今後、これらの政策がどのスピードで実行に移され、実際に家計と企業の行動をどこまで変えていくのかが、2025年の中国経済を読み解くうえで重要なポイントになりそうです。国内外の企業や市場関係者にとっても、消費関連の政策動向とその実績は引き続き注視すべきテーマといえるでしょう。
Reference(s):
China sets out plans to boost consumption, expand domestic demand
cgtn.com








