ケンブリッジ経済学者「トランプ関税は中国本土に大打撃与えず」 video poster
米国のトランプ氏が打ち出した対中関税をめぐり、ケンブリッジ大学の経済学者が「中国本土経済への打撃は限定的で、米国経済を大きく押し上げる効果も薄い」との見方を示しました。国際ニュースとして注目される米中関税問題について、その意味をあらためて整理します。
ケンブリッジ大学ホーゲ氏の見立てとは
この見方を示したのは、英国ケンブリッジ大学のアシスタント・プロフェッサーであるヨスタイン・ホーゲ氏です。ホーゲ氏は、米国が課している対中関税について、次の二点を強調しています。
- 中国本土は貿易相手国を多様化しており、米国の関税による経済的な影響は限定されている
- トランプ氏が関税を使う目的は、米国内への「ご褒美」ではなく、交渉を有利に進めるための道具としての側面が強い
つまり、ホーゲ氏は、関税そのものを経済成長のエンジンとしてではなく、「交渉カード」として位置づけている点に注目しています。
なぜ中国本土への影響は限定的なのか
ホーゲ氏が指摘する背景には、中国本土の貿易パートナーが広く分散しているという現状があります。ある一つの国が関税を引き上げても、他の地域との貿易や投資が続いていれば、全体としての打撃は和らぎます。
一般に、貿易相手が多様化している国や地域は、特定の国の政策変更によるリスクに強くなります。ホーゲ氏は、この点を踏まえ、米国の関税だけでは中国本土の成長路線を大きく変える決定打にはなりにくいとみていると考えられます。
関税は、特定の品目や産業にとっては痛手になることがありますが、経済全体で見れば、輸出先のシフトやサプライチェーンの組み替えなどを通じて調整が進むケースも少なくありません。
トランプ氏の関税は「交渉ツール」
ホーゲ氏がもう一つ強調したのは、トランプ氏にとって関税は「交渉ツール」である、という点です。
関税を引き上げると、相手国にとっては輸出がしにくくなり、協議の席につかざるをえない圧力になります。ホーゲ氏は、トランプ氏の関税政策には次のような狙いがあると分析しています。
- 相手国に譲歩を迫るための圧力として関税を使う
- 米国内の一部産業や支持層に対し、「強硬な交渉」をアピールする手段にもなっている
この見方に立てば、関税は「米国経済を直接押し上げるインセンティブ」というより、「政治・外交上の交渉カード」としての性格が強いと言えます。
国際経済と日本への示唆
米国の関税が中国本土に大きな打撃を与えないとすれば、米中経済が完全に分断されるような極端なシナリオは、少なくとも短期的には現実味が薄いとも解釈できます。一方で、関税が交渉ツールとして使われ続ける以上、貿易摩擦が繰り返されるリスクは残ります。
日本を含むアジアの国々にとって、今回のホーゲ氏の指摘は次のような示唆を含んでいます。
- 特定の国や地域への依存を減らし、貿易相手を多様化することが、経済の安定につながる
- 関税や制裁を「交渉ツール」として捉え、短期的なニュースに振り回されず、中長期の視点で取引関係を考える必要がある
日々の国際ニュースでは「関税」や「摩擦」という言葉が強く取り上げられますが、その裏側で進む貿易の多様化や、交渉ツールとしての関税という視点に目を向けることで、米中関係をより立体的に捉えることができます。
これから何を注視すべきか
2025年現在も、米中関係や関税政策をめぐる議論は続いています。ホーゲ氏の分析を踏まえると、今後注目したいポイントは次の通りです。
- 米国が関税をどの程度まで引き上げや維持するのか
- 中国本土がどのように貿易パートナーを拡大・調整していくのか
- 他の国や地域が、関税を含む経済政策をどのように位置づけるのか
関税は一見わかりやすい「強硬策」に見えますが、その実態は複雑で、影響も一様ではありません。今回のケンブリッジ大学の分析は、「関税=一方的な勝ち負け」という単純な図式を超えて、国際経済を考えるきっかけを提供していると言えるでしょう。
スマートフォンでニュースをチェックする私たちにとっても、「どの国が勝ちか負けか」だけでなく、「どの国がどのようにリスクを分散しているのか」「関税はどんな交渉のメッセージなのか」といった視点を持つことが、これからの国際ニュースを読み解くヒントになりそうです。
Reference(s):
Cambridge economist: Trump's tariffs unlikely to hurt China or spur US
cgtn.com







