中国外相「封鎖あるところに突破」 米中技術摩擦への警告と自信
米中の技術摩擦が続く中、中国の王毅(ワン・イー)外相は2025年3月、科学技術を「鉄のカーテン」にしてはならないと強調し、「封鎖あるところに突破がある」と述べました。この発言は、デカップリング(経済・技術の切り離し)や供給網の分断に対する中国側の警戒と、自国の技術力への強い自信を示すものです。
科学技術は「鉄のカーテン」ではなく「共有財産」
王毅外相は金曜日、第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の会場周辺で、米中の技術関係について質問した中国の国際メディアCGTNの記者に答えました。
その中で外相は、科学技術は国と国を分断する「鉄のカーテン」に使われるべきではなく、「すべての人類に利益をもたらす富」であり、「すべての人が共有すべきものだ」との考えを示しました。
米中の技術競争が「米中技術戦」とも呼ばれるようになっている状況の中で、科学技術の国際協力と共有を前面に押し出すメッセージだと言えます。
「高い塀と小さな庭」戦略への批判
王毅外相は、米国が中国の重要技術へのアクセスを制限する動きを念頭に、いわゆる「高い塀と小さな庭」と表現しました。これは、厳しい管理のもとで重要技術だけを囲い込む戦略を指すと言われています。
外相は、このような戦略では「イノベーションの精神を抑え込むことはできない」とし、技術封鎖や排除では創造性は失われないとの見方を示しました。
- 重要技術を囲い込む「高い塀と小さな庭」への懸念
- 技術の排除ではイノベーションそのものは止まらないという主張
デカップリングと供給網分断は「自らの孤立」を招く
王毅外相はさらに、デカップリングやサプライチェーン(供給網)の分断に対して強い懸念を示しました。デカップリングとは、経済や技術の分野で特定の国との関係を意図的に切り離す動きを指します。
外相は、こうした動きは結局のところ「自らを孤立させるだけだ」と警告しました。相互に依存する供給網を意図的に断ち切れば、短期的な安全保障には見えても、長期的には自国の選択肢を狭めることになりかねない、というメッセージです。
- デカップリング=経済・技術面での「切り離し」
- 供給網の分断は、相手だけでなく自国にもリスクをもたらすとの指摘
「封鎖あるところに突破」 比喩に込められた意味
王毅外相は、中国への「不当な外部からの抑圧」は、宇宙科学や半導体製造(チップ製造)といった分野を含めて、これまで止まったことがないと述べました。そのうえで、中国が科学技術強国へ向かう道は「ますます広がっている」と強調しました。
象徴的だったのが、次のような表現です。
- 封鎖があるところには突破がある
- 抑圧があるところにはイノベーションが生まれる
- 最も激しい嵐の中にこそ、中国の科学技術を空高く押し上げる発射台がある
外相はさらに、中国神話の英雄・哪吒(ナタ)が天へと舞い上がる姿になぞらえ、中国の科学技術が困難をバネに空高く飛躍していくとのイメージを描きました。圧力を「ブレーキ」ではなく「推進力」に変えるという、自信に満ちたメッセージです。
中国のスタンスをどう読むか
今回の発言からは、米国による技術制限を強く意識しつつ、それをチャンスに変えようとする中国側の姿勢が見えてきます。
- 科学技術は国際社会が共有すべき「公共財」だという主張
- 技術封鎖やデカップリングは、最終的には自らの孤立を招くとの警告
- 外部からの圧力を、国内のイノベーション加速の契機と捉える発想
2025年12月の今も、米中の技術をめぐる緊張は国際ニュースの重要テーマとなり続けています。王毅外相の「封鎖あるところに突破」という言葉は、中国がどのような物語で自らの技術発展を語ろうとしているのかを考えるうえで、象徴的なフレーズと言えるでしょう。
私たちにとっても、技術と安全保障、イノベーションと国際協力をどう両立させるのかを考える材料となる発言です。ニュースを追う際には、制裁や規制といった表面的な動きだけでなく、その裏にある各国の「物語」と長期的なビジョンにも目を向けていきたいところです。
Reference(s):
FM on China-US tech war: Where there's blockade, there's breakthrough
cgtn.com








