中国のグリーン鉄道はどこまで進んでいる?CRRC会長が語る低炭素戦略 video poster
中国で進むグリーン成長の議論の中で、鉄道が果たす役割があらためて注目されています。2025年の全国両会では、鉄道関連企業であるCRRC集団の孫永才(Sun Yongcai)会長が、低炭素な鉄道輸送の重要性を強調しました。本記事では、その発言を手がかりに、中国の「グリーン鉄道」戦略を日本語で整理します。
全国両会で語られた「グリーン鉄道」
中国の全国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)は、毎年開催される重要な政治イベントです。中国国際テレビ(CGTN)の報道によると、今年の会合で孫会長は、鉄道を低炭素社会づくりの中核インフラとして位置づけ、特に「低炭素鉄道のイノベーション」が中国の持続可能な発展目標を達成するうえで鍵になると述べました。
孫会長のメッセージは、大きく次のような方向性を示していると受け止められます。
- 鉄道はもともと環境負荷が比較的低い交通手段であり、その強みをさらに伸ばすべきだという視点
- 車両やインフラの技術革新によって、走行時のエネルギー消費と排出を一段と減らしていく必要性
- グリーンな鉄道ネットワークの整備が、経済成長と環境保護を両立させる手段になり得るという考え方
なぜ鉄道は「低炭素インフラ」とされるのか
国際ニュースでもしばしば取り上げられるように、鉄道は自動車や航空機に比べて、輸送量あたりの二酸化炭素排出が少ないとされます。理由はシンプルです。
- 一度に多くの人や貨物を運べるため、1人・1トンあたりのエネルギー効率が高い
- 電化路線が多く、電力の低炭素化が進むほど鉄道全体の排出も減らせる
- 都市間・都市圏内の移動を鉄道にシフトすれば、自動車交通による渋滞や排ガスの問題を和らげられる
中国では広大な国土を結ぶ高速鉄道網や都市鉄道の整備が進んでおり、こうしたネットワークがグリーン成長の基盤インフラとして期待されています。孫会長の発言は、その流れをさらに「低炭素」というキーワードで加速させようとするものだと見ることができます。
CRRCが意識する低炭素イノベーションの方向性
CGTNの報道では具体的な技術一覧までは伝えられていませんが、「低炭素鉄道のイノベーション」という言葉から、次のような取り組みが想像されます。
- 車両の軽量化と高効率化:車体の軽量素材の活用や空気抵抗の低減設計などにより、同じ距離を走るのに必要なエネルギーを減らす
- エネルギーの賢い使い方:ブレーキ時のエネルギーを回収して再利用するシステムや、運行ダイヤを最適化して無駄な加減速を減らす制御技術
- 再生可能エネルギーとの連携:風力発電や太陽光発電からの電力を鉄道網に活用し、電化路線全体の排出を抑える試み
- デジタル化による運行最適化:AIやビッグデータを活用して、需要に応じた編成・運行を行い、空席や空荷の走行を減らす
こうした技術は、単なる「環境対策」にとどまらず、長期的には運行コストの削減やサービスの安定化にもつながります。環境と経済を同時に考える視点が、中国の鉄道政策にも色濃く反映されつつあると言えそうです。
中国の持続可能な発展と鉄道の位置づけ
中国は、長期的な脱炭素の目標と、国内外の経済連携をどう両立させるかが問われています。その中で、鉄道網は次のような役割を担うインフラとして語られています。
- 内陸部と沿海部、都市と地方を結びつけ、物流と人の移動を支える基盤
- 自動車依存を抑え、都市の大気環境や交通混雑の改善に寄与する手段
- 周辺国との連結を通じて、地域経済のつながりを広げる可能性を持つ交通ネットワーク
全国両会という場で鉄道のグリーン化が強調されたことは、インフラ整備を単なる「量の拡大」から、「質の転換」へとシフトさせる狙いがあることを示しているとも受け取れます。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本やアジアの読者にとって、中国の「グリーン鉄道」議論は遠い国の話に見えるかもしれません。しかし、いくつかの点で私たち自身の選択ともつながっています。
- 移動手段の選び方:出張や旅行で、距離や時間が許す範囲なら鉄道を優先することは、一人ひとりにできる脱炭素の一歩です。
- 都市と地方の関係:高速鉄道や在来線のネットワークをどう維持・発展させるかは、日本を含む多くの国と地域で共通のテーマになっています。
- インフラ投資の視点:インフラを「経済成長の装置」とだけ見るのか、「環境と暮らしの質を高める仕組み」と見るのかで、優先順位は変わります。
中国の全国両会での議論は、こうした問いを私たちに静かに投げかけています。グローバルな環境・エネルギー問題を考えるうえで、「鉄道」という身近なインフラから話を始めてみるのも、一つの有力なアプローチと言えるでしょう。
これから注目したいポイント
今回の孫会長の発言は、鉄道分野での低炭素イノベーションが今後一段と重視されることを示唆しています。今後のニュースで注目したいポイントをまとめると、次のようになります。
- 中国で新たに導入される省エネ型車両や技術の動向
- 都市鉄道や高速鉄道でのエネルギー効率・運行最適化の取り組み
- 周辺国や地域との鉄道連結と、それが環境負荷に与える影響
国際ニュースを追うとき、「政治」や「外交」だけでなく、「インフラ」と「環境」という視点から中国を見ることで、ニュースの見え方が少し変わってくるかもしれません。newstomo.com では、こうした動きを引き続き日本語でフォローしていきます。
Reference(s):
CRRC Group Chairman stresses benefits of green railway transportation
cgtn.com








