中国本土CPI・PPIが2月に下落 春節シフトと自動車値引きがカギ
中国本土の今年2月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)がともに前年同月比でマイナスとなりました。春節(旧正月)の時期のずれによる「高いベース効果」や、自動車の値引き販売、穏やかな天候が物価を動かしたと分析されています。
2月のCPIは0.7%下落、統計上は「物価安」に
国家統計局(National Bureau of Statistics、NBS)のデータによると、今年2月のCPIは前年同月比で0.7%下落しました。CPIは、家計が購入する商品やサービスの平均的な価格の動きを示す指標で、インフレ(物価上昇)状況を測る主要な物差しとされています。
春節シフトがつくる「高いベース効果」
NBSの統計官、董莉娟(Dong Lijuan)氏は、物価下落の主な要因として、春節休暇の時期のずれとそれに伴う「高いベース効果」を挙げました。昨年の2024年の春節は2月に集中していたため、外食や旅行などのサービス価格、食料品価格が一時的に押し上げられました。
一方、今年は春節休暇が1〜2月にまたがったことで、前年2月の価格水準が高くなり、今年2月との単純比較ではCPIがマイナスになりやすい状況になったとされています。董氏によると、春節時期のずれの影響をならして見ると、CPIは実際には0.1%の小幅な上昇となり、現在の「緩やかな物価回復」の流れは変わっていないといいます。
穏やかな天候が食料価格を安定させる
董氏はまた、今年2月の穏やかな天候もCPIの動きに影響したと指摘しています。寒波や大雨といった極端な気象が少なかったため、生鮮野菜の生育や輸送がスムーズになり、供給が安定しました。
その結果、食品価格の急騰が抑えられ、全体の物価指数を落ち着かせる方向に働いたとみられます。食料品はCPIの中で大きなウェイト(比重)を占めるため、天候による供給状況は物価統計に直結しやすい分野です。
自動車の値引き販売がCPIを0.16ポイント押し下げ
物価の下押し要因として目立ったのが、自動車市場での値下げです。燃料車と新エネルギー車(電気自動車など)ともに「値引きプロモーション」が広がり、価格がそれぞれ5.0%、6.0%下落しました。
統計によると、これら自動車価格の下落だけでCPIを0.16ポイント押し下げたとされています。家計の大きな支出項目である自動車の値動きが、物価全体に与える影響の大きさがうかがえます。
このほか、一部の国際商品価格の変動もCPIの動きに影響したとされています。エネルギーや原材料などの市況が国内の価格形成に波及した形です。
PPIは2.2%下落、生産段階の価格もマイナス
同じ2月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比で2.2%下落しました。PPIは、企業間で取引される製品や原材料の価格動向を示す指数で、生産コストの変化を捉える指標です。
PPIのマイナスは、生産段階の価格が前年より低い水準にあることを意味します。CPIと合わせて見ると、消費段階と生産段階の両方で、年比では価格が下がっている姿が浮かび上がります。
データが示す「緩やかな物価回復」をどう見るか
見かけ上、CPIとPPIがともにマイナスとなったことで、「物価の弱さ」が意識されがちです。しかし董氏は、春節時期のずれという特殊要因を調整すると、CPIは0.1%のプラスとなる点を強調し、「緩やかな物価回復」というトレンド自体は変わっていないと説明しています。
今回のデータから、次のようなポイントが見えてきます。
- ヘッドラインのCPIマイナス0.7%には、春節のタイミングによる「高いベース効果」が大きく影響している。
- 天候が穏やかであったことが生鮮野菜の供給を安定させ、食品価格とCPIの落ち着きにつながった。
- 燃料車・新エネルギー車の値引き販売がCPIを0.16ポイント押し下げるなど、特定分野の価格動向が物価全体に与える影響は大きい。
物価統計は、暦の要因や一時的なキャンペーン、天候などさまざまな要素に左右されます。数字の上下だけを見るのではなく、「何がその裏にあるのか」を読み解くことが、経済の現在地を理解するうえで重要になっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








