中国企業で「残業禁止」広がる ハイアールやDJIが働き方見直し
中国のインターネット企業や製造業で、社員に残業をさせずワークライフバランスを守ろうとする動きが相次いでいます。ハイアールや美的集団(Midea)、ドローン大手のDJIなど、よく知られた企業が「ラットレース」から距離を取り、社員に定時退社を求め始めていることが報じられました。
今回のニュースのポイント
- ハイアール、Midea、DJIなどが「残業しない」方針を打ち出し
- 土曜の食堂閉鎖や消灯、人事担当者の巡回などで徹底を図る
- 専門家は「人材尊重」「公平な雇用」への前向きな変化と評価
中国企業で広がる「残業させない」方針
報道によると、中国の複数のインターネット企業や製造業の企業が、社員に残業を控えるよう促し、健康的なワークライフバランスを重視する姿勢を強めています。対象となっているのは、大手家電メーカーのハイアールや美的集団(Midea)、ドローンで世界的に知られるDJIなどです。
これらの企業は、単に「早く帰りましょう」と呼びかけるだけでなく、制度や職場環境の運用方法を変えることで、実際に長時間労働を減らそうとしています。
具体的な対策:消灯から食堂の運用変更まで
報道では、各社が次のような具体策を取り始めていることが紹介されています。
- 食堂が土曜日の食事提供をやめ、週末出社をしにくくする
- 人事担当者が終業時刻にオフィスを巡回し、社員に退社を促す
- 一定時刻になると照明を消すなどし、自然と仕事を切り上げられる環境をつくる
こうした小さな運用の変化が積み重なることで、「なんとなく残って仕事をする」雰囲気を変えようとしているとみられます。
Midea・DJI・ハイアールの取り組み
Midea:会議と残業のルールを明確化
財連社(Cailian Press)の報道によると、美的集団(Midea)は、形式的な会議や非効率な残業を減らすための新たなルールを導入しました。チームリーダーが業務時間外に会議を行うことを禁止し、生産性の低い「なんとなくの残業」を抑制する方針です。
DJI:夜9時で業務終了を徹底
DJIは、社員が午後9時までに仕事を終え、退社することを求めていると伝えられています。夜遅くまでダラダラと仕事を続けるのではなく、時間内に集中して業務を終えることを促す狙いがあります。
ハイアール:完全週休二日と残業の事前申請
ハイアールは、すべての部門に対して「必ず週休二日制を実施する」と通知し、原則として社員が土曜日に出社することを認めない方針を打ち出しました。
例外的に残業が必要な場合でも、少なくとも1週間前に申請・承認を受けることを義務づけています。また、平日の残業時間についても、1日3時間を上限とするルールを設けたと報じられています。
専門家が見る「人材尊重」と社会的な意義
こうした企業の動きを、中国の労働経済の専門家はどう見ているのでしょうか。
首都経済貿易大学(Capital University of Economics and Business)労働経済学部の副主任であるシュー・フォンフイ(Xu Fenghui)氏は財連社に対し、このような取り組みは、中国が発展の過程で人材と労働をより尊重し、労働者の権利や利益の保護に一層配慮するようになっている表れだと指摘しました。そのうえで、この流れは公平な雇用や社会正義の促進にもつながると評価しています。
また、北京社会科学院の副研究員であるワン・ポン(Wang Peng)氏はWallstreetCNの取材に対し、この現象は企業が社員の権利・利益・幸福に配慮しているだけでなく、市場競争や政策面でのプレッシャーに前向きかつ主体的に応えていることを示していると述べました。
企業文化はどう変わっていくのか
今回の動きは、単なる福利厚生の強化というより、企業文化そのものを見直そうとする試みとして見ることができます。長時間働くことが評価されやすい環境では、社員も「早く帰りたい」と口では言いながら、実際には帰りづらい状況に置かれがちです。
一方で、会社側が制度や物理的な環境を変え、「残業しないこと」を明確なメッセージとして打ち出せば、社員も安心して業務を終え、私生活の時間を確保しやすくなります。生産性の向上や、人材の定着にもつながる可能性があります。
読者が考えたい3つの視点
中国企業の変化は、国や業界を問わず、多くの働き手にとって示唆を与えるものです。ニュースを読みながら、次のような点を考えてみることもできそうです。
- 自分の職場では、どのような仕組みやルールがあれば「残業前提」から抜け出せるのか
- 時間ではなく成果で評価するために、何が障害になっているのか
- 働き方の改善が、企業と働く人の双方にどんなメリットをもたらしうるのか
企業が「ラットレース」に異議を唱え始めたことは、働き方をめぐる議論が次の段階に進みつつあるサインとも受け取れます。今後、どのような形でこの流れが広がっていくのか、継続して注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
Chinese companies object to 'rat race', stop staff working overtime
cgtn.com








