日本、米国の鉄鋼・アルミ関税に懸念 日米経済関係への影響を警告
米国が日本産の鉄鋼・アルミ製品に25%の追加関税を発動したことを受け、日本政府は水曜日、日本が適用除外とならなかったのは「遺憾だ」と表明し、日米経済関係や世界経済への影響に懸念を示しました。
米国の関税発動と日本の反応
今回の国際ニュースの焦点は、ドナルド・トランプ米大統領が決定した鉄鋼・アルミ製品への関税です。関税は米国時間の水曜日午前0時(世界協定時刻の午前4時)に発効し、日本を含む一部の同盟国も対象となりました。
日本政府の報道官を務める林芳正官房長官は、水曜日の記者会見で、日本が追加関税の適用除外から外れたことについて「日本としては極めて遺憾だ」と述べました。その上で、報復措置を直ちに取るかどうかについては明言を避けつつ、今後も日米間で関税の詳細について協議を続ける考えを示しました。
- 鉄鋼・アルミ製品に対する関税率は25%
- 日本は適用除外とならず、追加関税の対象に含まれる
- 日本政府は対抗措置よりも対話と協議を優先する姿勢
「安全保障の脅威ではない」日本側の主張
林官房長官は、日本産の鉄鋼・アルミ製品が米国の安全保障を損なうとの見方を改めて否定しました。林氏は「日本産の鉄鋼・アルミ製品の輸入は米国の国家安全保障を害するものではなく、むしろ日本の高品質な製品は代替が難しく、米国の製造業の競争力を高めるために不可欠だ」と強調しました。
さらに、こうした製品は米国の産業と雇用にも大きく貢献していると指摘し、関税強化が長期的には米国自身の産業基盤を弱めかねないとの懸念をにじませました。
数字でみる日米の鉄鋼貿易
2024年、日本は世界各国向けに合計3140万トンの鉄鋼を輸出しました。このうち、米国向けは110万トンで、ワシントンのまとめによれば、これは米国の鉄鋼輸入全体の約4%に相当します。
数量だけを見れば、日本から米国への鉄鋼輸出は全体の一部にすぎません。しかし、日本企業が供給するのは、自動車、機械、エネルギーなどの分野で使われる高付加価値の素材が中心であり、米国企業のサプライチェーン(供給網)の重要な一角を占めています。
自動車関税への懸念:日本経済への波及
経済産業相の武藤陽二氏は、ワシントンを訪問した際、米政府関係者に対し、今回の金属関税だけでなく、今後導入が検討されている自動車・車両への関税についても、日本を対象外とするよう要請しました。
林官房長官によると、米側は会談の中で、日米関係を重視していること、日本からの対米投資や雇用面での役割を高く評価していることを改めて伝えたといいます。
日本は世界有数の自動車大国であり、トヨタ自動車は世界トップクラスの販売台数を誇ります。自動車産業は、完成車メーカーだけでなく、部品、鉄鋼、電子部品や半導体など幅広い産業を支える中核分野です。
2024年の対米輸出額は21.3兆円(約1450億ドル)で、このうち自動車やその他の車両が約3分の1を占めました。もし自動車に対する追加関税が導入されれば、
- 日本から米国への輸出コストの上昇
- 現地生産の比率を高める圧力の強まり
- 日米双方での雇用や投資計画の見直し
といった形で、影響は鉄鋼・アルミにとどまらず広範囲に及ぶ可能性があります。
多国間貿易体制と世界経済への波紋
林官房長官は、貿易を制限する措置が広範に広がれば、「日米経済関係のみならず、世界経済や多角的な貿易体制にも深刻な影響を及ぼすおそれがある」と警戒感を示しました。
今回の関税措置は、特定の国や製品を対象としていますが、そのメッセージは世界の企業や投資家にも伝わります。貿易ルールの先行きが読みにくくなれば、企業は設備投資や雇用拡大に慎重になり、結果として景気の下押し要因になる可能性があります。
一方で、米側が日米経済関係を優先事項と位置づけ、日本の投資や雇用への貢献を評価していることは、両国が対話を通じて解決策を探る余地が残されていることも意味します。
私たちが押さえておきたいポイント
今回の鉄鋼・アルミ関税をめぐる動きは、単なる二国間の摩擦ではなく、今後の国際貿易のあり方を占う試金石ともいえます。ニュースをフォローするうえで、次のような点を意識しておくと理解が深まります。
- 日本の対米鉄鋼輸出は数量ベースでは限定的だが、サプライチェーン上の重要性は高い
- 日本政府は即座の報復ではなく、協議による解決を優先している
- 自動車・車両への関税が導入されれば、日米双方の産業と雇用への影響が大きくなる可能性がある
- 貿易制限措置が広がれば、世界経済と多国間貿易体制全体への信頼にかかわる
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、今回の関税問題は、日米経済関係の行方だけでなく、自分たちの生活や仕事にもどのように跳ね返ってくるのかを考えるきっかけになります。自動車価格や雇用、企業の投資方針など、身近なテーマとも結びつけながら、今後の協議の展開を注視していきたいところです。
Reference(s):
Japan says U.S. tariffs risk impacting their bilateral economic ties
cgtn.com







