中国・青島が職業訓練を強化 高速鉄道を支える「職人の都市」の戦略 video poster
中国ニュースを日本語で追う読者にとっても注目したい動きが、中国北部の工業都市・青島で起きています。2025年、青島は新たな職業訓練プログラムを本格始動させました。高速鉄道の製造現場を例に、「職人の都市」がどのように産業と人材を育てようとしているのかを見ていきます。
「クラフトマンシティ」青島が抱える期待
青島は、ものづくりの集積地として「City of Craftsmen(職人の都市)」とも呼ばれています。機械、鉄道、海洋関連などの産業が集まり、技術力の高さが評価されてきました。
その青島が今年、新たな一歩として打ち出したのが、徒弟制を取り入れた職業訓練の強化です。産業政策と人材育成をセットで進めることで、地域全体の競争力を高める狙いがあります。
2025年に始まった新ラウンドの徒弟制訓練
青島市が2025年に公式にスタートさせたのは、「新たなラウンド」の徒弟制訓練プログラムです。目的は明確です。
- 高度な技能を持つ人材を計画的に育成する
- 重点産業の成長に必要な技術ニーズに応える
- 若い世代に安定したキャリアパスを示す
徒弟制とは、企業の現場でベテランの技術者につき、実際の仕事を通じて技能を学ぶスタイルの訓練です。学校だけでは身につけにくいノウハウを、現場の経験とセットで吸収できるのが特徴です。
青島の新プログラムは、こうした現場型の職業訓練を体系的に整えることで、重点産業の発展を長期的に支えることを目指しています。
高速鉄道の現場で見える「技術者の価値」
中国の国際メディアCGTNのアーロン・リウ記者は、この新しい職業訓練の動きを取材するため、鉄道車両メーカーCRRCの工場を訪れました。取材の焦点は、大きく二つです。
- 高速鉄道がどのようなプロセスで製造されているのか
- そのプロセスの中で、技術者・技能者がどんな役割を果たしているのか
高速鉄道の製造には、精密な設計、安全性を確保する検査、多くの部品を組み合わせる組立作業など、多段階の工程が必要になります。それぞれの工程で、高い専門性と経験を持つ技術者が欠かせません。
こうした現場を通じて見えてくるのは、「最新の設備だけでは列車は走らない」というシンプルな事実です。機械を動かすのも、品質を守るのも、最後は人材の力だからです。
なぜ今、職業訓練なのか
青島が徒弟制を軸にした職業訓練を強化する背景には、いくつかの要因があると考えられます。
- 産業構造の高度化に対応し、高度な製造技術やデジタル技術に強い人材が求められていること
- 製造業の現場で働く魅力を高め、若手人材に長期的に定着してもらう必要があること
- 各地が産業誘致や人材獲得を進める中で、「人材育成力」そのものが都市の強みになっていること
単に工場を誘致するだけでなく、「この都市に来れば、技術を学び、成長できる」というメッセージを発信することは、青島のような工業都市にとって重要な戦略になりつつあります。
日本の読者への問いかけ
日本でも、製造業の人手不足や技能の継承はよく話題になります。少子高齢化が進む中で、次のような問いは避けて通れません。
- 若い世代にとって「現場で働くこと」をどう魅力的に伝えるか
- 学校教育と企業の現場をどのようにつなぐか
- 地域としてどの産業に重点を置き、どんな人材を育てるのか
中国北部の工業都市・青島が、徒弟制を通じて技術人材を重視している姿は、日本の都市や企業にとっても、一つの参考事例として受け止められそうです。
国際ニュースを自分ごととして読む
国際ニュースというと、どうしても外交や安全保障が注目されがちですが、今回の青島の動きは、「産業」と「教育」をどう結びつけるかという、より生活に近いテーマでもあります。
高速鉄道の華やかなイメージの裏側で、地道に技術を磨く人たちがいて、その人たちをどう育てるかに都市が力を入れ始めている——。そうした視点から中国ニュースを見ると、日々の仕事やキャリアの考え方にも、新しいヒントが生まれるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








