中国の「人中心」政策で個人消費が回復 小売売上4%増の背景
リード:2025年初めの統計で、中国の小売売上が前年同期比4%増と発表されました。都市と農村の双方で消費が回復する中、「人を中心に据えた」政策がどのように経済と暮らしを支えているのかを整理します。
2025年初の小売売上、4%増が示すもの
中国で公表された社会消費品小売総額の統計によると、2025年1〜2月の小売売上は前年同期比4%増となりました。これは、2023年通年の伸び率と比べて0.5ポイント上回り、個人消費の持ち直しが続いていることを示しています。
都市部と農村部のどちらの市場も回復が進んでおり、長く指摘されてきた都市と農村の格差を少しずつ埋める動きも見られます。消費の中身に変化が出ている点も重要です。
「グレードアップ消費」と日用品、両輪で市場を下支え
今回の統計では、いわゆるグレードアップ消費と呼ばれる分野が大きく伸びています。具体的には、次のような品目で2桁の伸びが確認されています。
- スポーツ・娯楽用品:25%増
- 通信機器:26.2%増
- 文化・事務用品:21.8%増
所得の向上や消費マインドの改善を背景に、「より質の高いもの」「楽しみや自己投資につながるもの」への支出が増えていると考えられます。
一方で、穀物・食用油、食品、たばこ・酒類、日用品といった生活必需品も堅調に伸びています。例えば穀物・食用油は11.5%増で、家計の基礎的な需要が安定していることを示しています。
グレードアップ消費と必需品消費という二つの軸がそろって伸びていることは、マクロ経済の安定と生活水準の向上の両方にとってプラスに働きます。
オンライン販売と農村市場の存在感
オンラインでの実物商品の小売売上は5%増となり、全体の伸び(4%)を上回りました。依然として電子商取引の強さが際立っており、ネットを通じた消費が生活に組み込まれていることが分かります。
地域別に見ると、農村部の小売売上は4.6%増と、都市部の3.8%増を上回りました。背景には、農村地域での電子商取引のインフラ整備や、農産物をよりスムーズに市場へ届ける物流の改善があります。
こうした動きは、地方や草の根レベルの市場に勢いを生み、農村の生活の質にも具体的な改善をもたらしていると評価できます。
「人を中心に据えた」マクロ政策とは
2025年の中国政府活動報告では、「人を中心に据えた」マクロ経済運営が強調されています。これは、成長率そのものだけでなく、人々の暮らしの安定と向上を重視する方針です。
具体的には、次のような政策が打ち出されています。
- 超長期の特別国債3000億元(約415億ドル)を投じ、家電や自動車などの「旧いものから新しいものへ」の買い替えを促進
- 複数のルートを通じた所得向上の支援
- 低・中所得層に対する税・手数料の軽減
- 医療、介護、保育、家事支援サービスの拡充
これらは、消費環境を整えつつ、家計の購買力を高めることを狙ったものです。包摂的(インクルーシブ)で基盤的な社会投資を強めることで、人々の将来不安を和らげ、基本的な消費ニーズを確保しようとしています。
安心があるからこそ「攻めの消費」が広がる
政策面では、二つの方向から消費を支える仕組みづくりが進んでいます。一つは、医療や介護といった生活の土台部分を厚くして、家計が安心してお金を使えるようにすること。もう一つは、古くなった製品の買い替えを促しつつ、雇用の機会を広げることで、より付加価値の高いモノやサービスへの支出を増やすことです。
今回の統計で、グレードアップ消費と必需品消費が同時に伸びているのは、この二つのアプローチが相互に補完し合っている結果とも言えます。生活の安心が土台にあるからこそ、新しい物やサービスへの「攻めの消費」が広がり、それがまた経済成長の新たなエンジンとなっていく構図です。
これから中国の消費を見るときのポイント
2025年12月の時点で振り返ると、年初の統計は中国の消費構造の変化を映し出す重要なシグナルでした。今後、中国経済や中国市場を見ていくうえでは、次のような点に注目するとよいでしょう。
- 都市と農村の消費格差がどの程度縮まっていくのか
- グレードアップ消費と生活必需品のバランスがどのように変化するのか
- 人を中心に据えた政策が、所得や雇用、社会サービスの拡充を通じてどこまで消費を押し上げるのか
人々の生活と直結する消費の動きは、中国経済の持続可能性を考えるうえで欠かせない視点です。身近な家計の変化とマクロな政策の動きをセットで捉えることで、ニュースの見え方も一段と立体的になっていきます。
Reference(s):
China's people-centered policies drive economic growth and well-being
cgtn.com








