中国の長期ビジョンが世界のグリーン経済移行を後押し UAE投資家が評価 video poster
中国のグリーン経済戦略はなぜ国際ニュースになるのか
中国の長期的な視点と綿密な計画が、中国国内だけでなく世界全体のグリーン経済への移行を後押ししている──アブダビ拠点の資産運用会社ブルーファイブ・キャピタル(BlueFive Capital)の最高経営責任者(CEO)、ハーゼム・ベン・ガセム氏は、中国国際情報番組CGTNのチェリー・チウ氏とのインタビューでこう評価しました。
気候変動への対応や脱炭素が急務となる中、この発言は、中国の役割だけでなく、国際的な投資マネーがどのようにグリーン経済へ動こうとしているのかを考えるうえで示唆に富んでいます。
UAEの投資家が語る「中国の長期視点」
ベン・ガセム氏は、アブダビを拠点とするブルーファイブ・キャピタルのCEOとして、グローバルな資本の流れと投資先の変化を見てきた立場から、中国について次のように指摘しました。
中国の長期的な視野と計画性は、自国の経済だけでなく、世界全体がグリーン経済へと移行していくプロセスを支えている。
ここで言う「長期的な視点」とは、短期の景気変動ではなく、数十年単位で産業構造やエネルギー構成をどう変えていくかを見据える考え方です。また「計画性」とは、それを実現するための具体的な投資、インフラ整備、人材育成などを段階的に進めていく姿勢を指すと考えられます。
こうした長期スタンスは、グリーン経済への移行のように時間がかかるテーマでは特に重要です。ベン・ガセム氏の発言は、投資家の目線から見ても、中国がその点で大きな存在感を持っていることを示していると言えるでしょう。
グリーン経済への移行と長期戦略の関係
グリーン経済とは、温室効果ガスの排出削減や資源の効率的な利用を進めつつ、雇用や成長も両立させる経済モデルを指します。単に環境負荷を減らすだけでなく、エネルギー、交通、製造業などを含めた経済全体の転換が求められます。
そのためには、次のような「時間のかかる取り組み」が不可欠です。
- 再生可能エネルギーや送電網など、巨額かつ長期回収型のインフラ投資
- 省エネ技術や蓄電、次世代モビリティなどの研究開発への継続的な支援
- 排出量取引や環境基準など、企業が長期計画を立てやすいルールづくり
ベン・ガセム氏が評価する中国の長期的な視点と計画性は、こうした分野で企業や投資家に一定の予見可能性を与え、グリーン経済への移行を加速させる基盤として意義を持ちます。中国本土の市場規模やサプライチェーンと結び付くことで、その影響は自国内にとどまらず、国際的なビジネスや投資にも波及していきます。
アブダビから見た中国とグローバルな連携
今回、中国の役割に注目したベン・ガセム氏は、アブダビに本社を置く資産運用会社のトップです。アブダビはエネルギー資源の産出国・地域が集まる湾岸地域の主要な金融センターの一つであり、世界の資本が集まる場所でもあります。
そのような立場から見たとき、中国のグリーン経済への取り組みは次のような意味を持つと考えられます。
- エネルギー消費の大きい市場として、クリーンエネルギーや省エネ技術への需要を生み出す存在
- 長期戦略に基づく計画を示すことで、国際的な投資マネーがグリーン分野に向かう際の「方向性」を提示する役割
- 新興市場どうしの連携を通じて、グローバル・サウスを含む国や地域にグリーン投資を広げていくためのパートナー
アブダビのような資本の供給地と、中国本土のような大規模市場がグリーン経済を軸に連携することで、国際ニュースとしても注目される新たな経済の流れが生まれつつあるとみることができます。
日本と投資家にとっての示唆
ベン・ガセム氏のコメントは、日本やアジアの投資家、ビジネスパーソンにとっても、いくつかの示唆を与えています。
- 政策の時間軸を意識する
グリーン経済や脱炭素のようなテーマでは、短期的なコスト負担だけでなく、10年、20年先の産業構造の変化をどう見通すかが重要になります。長期的な視点と計画性が、企業戦略や投資判断の前提になりつつあることがうかがえます。 - グリーン投資を「一時的なブーム」と見ない
ベン・ガセム氏が語るように、長期ビジョンと結び付いたグリーン経済への移行は、景気循環とは別の構造的な変化です。再生可能エネルギーや省エネ技術、環境関連インフラなどは、中長期にわたる成長領域と捉える視点が求められます。 - 国際的な連携のなかで中国の動きを位置づける
アブダビを含む湾岸地域、アジア、欧州など、各地の投資マネーがグリーン経済をめぐって動き始めています。そのなかで、中国本土の動きをどう理解し、自国や自社の戦略に組み込むかが、今後ますます重要になっていきそうです。
これから問われる「時間軸」の感度
2025年現在、世界の多くの国と地域が脱炭素やエネルギー転換をめぐって難しい選択を迫られています。短期的なコストやリスクをどう乗り越え、長期的な利益や安定につなげていくのか。その問いに向き合ううえで、「どれだけ長い時間軸で物事を見られるか」は、ますます重要な条件になっています。
ベン・ガセム氏がCGTNのインタビューで語った中国の長期ビジョンと計画性への評価は、単に一つの国を称賛するコメントにとどまりません。グリーン経済への世界的な移行が、短距離走ではなく長距離走であることを改めて示すメッセージとしても捉えることができます。
国際ニュースを追う私たちにとっても、自国の政策や企業戦略、そして自分自身のキャリアや資産形成を考えるときに、どの時間軸で世界を見ているのかを問い直すきっかけになりそうです。
Reference(s):
China's long-term vision aids global transition to green economy
cgtn.com








