メキシコが遺伝子組み換えトウモロコシ種子の栽培を禁止 在来種を憲法で保護 video poster
メキシコで、在来トウモロコシを守ることを目的に、遺伝子組み換えトウモロコシ種子の栽培を禁止する憲法改正が可決されました。主にアメリカから入る遺伝子組み換え種子が対象で、この決定は農業、貿易、そして食料主権に大きな影響を与えるとみられています。
憲法改正で何が変わるのか
今回の憲法改正では、メキシコの在来トウモロコシを保護することが明確に位置付けられ、遺伝子組み換えトウモロコシ種子の「栽培」を禁止する方針が示されています。対象となる遺伝子組み換え種子の多くはアメリカから持ち込まれてきたもので、種子レベルでの規制を通じて、農地での利用を止める狙いがあります。
農業専門家やメキシコの当局者は、この措置が単なる一つの作物規制にとどまらず、国の農業モデルそのものを問い直す転換点になると見ています。
在来トウモロコシ保護と「食料主権」
今回の憲法改正の中心にあるのが、在来トウモロコシの保護と「食料主権」という考え方です。食料主権とは、どのような農業や食料システムを選ぶかを、その国や地域の人びと自身が決める権利を重視する考え方です。
在来トウモロコシを守ることは、単に一つの作物を残すという話ではなく、地域の農業のあり方や食文化、農村コミュニティの生活をどう支えるかという問題にもつながります。憲法のレベルで在来種の保護を位置付けたことは、メキシコがこれらを国家的な優先課題として扱う意思を示したものといえます。
農業への影響:生産現場はどう変わるか
農業分野では、遺伝子組み換え種子に依存してきた生産者にとって、品種や栽培方法の見直しが求められる可能性があります。短期的には、次のような課題が意識されます。
- どの在来品種や非遺伝子組み換え品種をどの地域で広げていくか
- 収量やコストへの影響をどう抑えるか
- 種子の供給体制をどう整えるか
一方で、在来種の保護が進むことで、多様な品種が維持され、長期的には環境変化や市場の変動に強い農業への転換につながると期待する声もあります。
貿易への波紋:アメリカとの関係は
今回禁止された遺伝子組み換えトウモロコシ種子の主な供給元はアメリカです。このため、メキシコの新たな政策は、アメリカとの農業貿易にも影響を与える可能性があります。
具体的な交渉の中身は今後の動きを待つ必要がありますが、種子ビジネスを展開してきた企業や、両国間の農産物取引のあり方を見直す議論が広がることが予想されます。専門家や当局者が「農業、貿易、食料主権に広範な影響が及ぶ」と指摘しているのは、このような構造的な変化を念頭に置いているためです。
食料主権をめぐる国際的な論点として
2025年現在、世界各地で遺伝子組み換え作物の扱いをめぐる議論が続いています。メキシコの憲法改正は、その議論の中で「在来種の保護」と「食料主権」を前面に押し出した例として注目されています。
今回の動きは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 食料の安定供給と、在来種・多様性の保護をどう両立させるのか
- 国際貿易のルールと、各国が選ぶ農業モデルの自由をどう調整するのか
- 種子や作物の選択に、地域の人びとの声をどう反映させるのか
メキシコの憲法改正は、農業技術の是非を二者択一で問うのではなく、「誰が、どのような基準で食と農のあり方を決めるのか」という、より根本的なテーマを浮かび上がらせています。
これからの注目ポイント
今後注目したいポイントとして、次のような点が挙げられます。
- 憲法改正を具体的に運用するための法律や規則がどう設計されるか
- 農家への支援策や、在来種の普及に向けた政策がどこまで整うか
- アメリカとの貿易関係や国際的な議論に、どのような影響が出るか
食料と農業をめぐる選択は、その国の社会や経済のあり方とも直結します。メキシコの決断は、2025年を生きる私たちにとっても、「自分たちはどのような食と農の未来を望むのか」を考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Mexico bans planting GMO corn seeds to protect native species
cgtn.com








