カナダのトラック業界、対米関税期限で揺れる 自動車「猶予」の行方は video poster
カナダのトラック業界が、米国による新たな関税の行方を前に、緊張を強めています。2025年3月初め、ドナルド・トランプ米大統領はカナダとメキシコの自動車産業に限って一時的な例外を認めましたが、その猶予は同年4月初めに期限を迎えることになっていました。
自動車産業だけに与えられた一時的な「例外」
国際ニュースとして注目されたのが、自動車関連の関税をめぐる動きです。トランプ大統領は3月初め、カナダとメキシコからの自動車や部品については、一部関税の適用をいったん停止すると発表しました。
これは、北米の自動車サプライチェーンが国境をまたいで密接につながっていることを踏まえた判断とされました。ただし、あくまで「一時停止」であり、4月初めに期限が来る時限措置でした。
4月初めの「関税期限」を前に何が起きていたか
猶予措置の期限が近づくにつれ、カナダでは「4月以降、本当に関税が発動されるのか」という不安が高まりました。とくに影響が大きいとみられていたのが、トラック業界です。
カナダと米国の間では、自動車や部品を含む貨物が日常的に行き来しています。多くはトラック輸送に依存しており、関税がかかれば次のような変化が想定されました。
- 輸送する貨物の価格が上昇し、需要が減る可能性
- 自動車メーカーや部品メーカーが生産計画を見直し、トラックの運行本数が減るリスク
- 長期契約の見通しが立たず、業界全体の投資判断が慎重になること
トラック業界が抱えた現場の不安
関税の行方がはっきりしない中で、トラック会社やドライバーは次のような懸念を抱えていました。
- 4月以降に運賃や燃料サーチャージをどこまで引き上げれば採算が合うのか
- 顧客企業が急に発注を減らしたり、別ルートに切り替えたりするのではないか
- 円滑な越境手続きが維持されるのかどうか
こうした不確実性は、トラック業界だけでなく、カナダ経済全体にも波及する懸念がありました。物流は製造業や小売業を支えるインフラであり、一度滞ればサプライチェーン全体が影響を受けるからです。
自動車以外の品目にも広がる可能性
トランプ大統領は、自動車分野以外の品目についても、追加関税の可能性を示唆していました。これは、さまざまな輸出入品に波及する可能性を意味します。
どの品目に、どの水準の関税がかかるのかが読めない状況の中で、カナダのトラック業界は「最悪のケース」を想定した準備を迫られていました。距離の長い北米市場では、関税による価格変動がそのまま輸送量の増減につながりやすいためです。
北米サプライチェーンとカナダの立ち位置
今回の対米関税問題は、カナダが北米のサプライチェーンの中でどのような役割を担っているのかをあらためて浮き彫りにしました。
- カナダで生産された部品がトラックで米国の工場に運ばれる
- 米国で完成した車両が再びトラックでカナダ市場へ戻ってくる
- こうした往復輸送が日常的に繰り返されている
関税の有無は、こうした往来のコスト構造を一気に変えてしまいます。短期的な政治判断が、長年積み上げてきたビジネスモデルを揺さぶる可能性がある、という点で多くの企業が注目していました。
不確実な時代の「備え」として何が求められるか
カナダのトラック業界が経験したような関税リスクは、他の国や業界にとっても対岸の火事ではありません。国際ニュースで伝えられる関税や通商問題は、物流、価格、雇用というかたちで生活にも影響し得るテーマです。
不確実性が高まる中で、企業や業界に求められるのは、次のような視点だといえます。
- 政治動向や通商交渉の変化を早期にキャッチし、複数のシナリオを用意する
- 特定の国やルートに依存しすぎない物流体制を検討する
- 現場のドライバーやスタッフに情報を共有し、急な変化にも対応できる柔軟性を保つ
2025年春の状況を現地から伝えたのは、中国の国際メディアCGTNのダン・ウィリアムズ記者です。カナダのトラック業界が直面した「関税期限」の緊張は、グローバル経済が抱える不安定さを象徴する一場面でもありました。
Reference(s):
cgtn.com







