中国は依然「世界の工場」 製造業バリューチェーンで優位とボアオ報告
中国が依然として世界の製造業サプライチェーンの中心にあることが、ボアオ・フォーラム・フォー・アジアの年次報告書「Asian Economic Outlook and Integration Progress Annual Report 2025」で示されました。報告書によると、2023年時点で世界の中間財貿易における中国への依存度は16%と、北米の15%を上回り、主要22品目のうち20品目で中国がリーダー的地位を維持しています。
ボアオ報告書が示した数字
今回の国際ニュースの焦点は、中国がグローバルな製造業バリューチェーン(付加価値の連鎖)の中でどの位置にいるのかという点です。ボアオ・フォーラムが公表した2025年版の年次報告書は、2017年以降、世界の中間財貿易が継続的に中国本土へより強く依存してきたことを示しました。
「中間財」とは、最終製品になる前の部品や素材のことで、自動車の部品や電子機器の半導体、化学素材などが典型例です。各国の工場を行き来しながら組み立てられるため、どの地域に中間財供給の拠点があるかは、世界経済全体に大きな影響を与えます。
- 2017年以降、世界の中間財貿易は中国本土への依存が北米を上回る状態が継続
- 2023年の依存度は、中国本土が16%、北米が15%
- 世界で最も取引される中間財22品目のうち20品目で、中国本土がリーダー的地位を維持
米国との貿易摩擦でも広がった「差」
報告書は、2018年に米国が仕掛けた対中の貿易摩擦にも言及しています。関税引き上げなどの措置は、米国の製造業におけるグローバル・バリューチェーン上の地位を高めるどころか、中国本土との差を広げる結果になったと指摘しました。
つまり、貿易摩擦というデカップリング(切り離し)の試みが続いたにもかかわらず、実際の中間財の流れや供給網の構造は、依然として中国本土を中心に回っているという現実が浮き彫りになった形です。
サプライチェーン再編の中でも続く中国依存
報告書は同時に、2021年以降、一部の品目では中間財貿易が中国本土から他地域へ移転する動きが見られたことも示しています。それでも、中国本土は製造業のグローバル・バリューチェーンの中で「支配的なポジション」を維持していると分析しました。
特に、技術集約型の製品では、中国本土への依存が逆に高まっている分野もあるといいます。高度な部品や素材の調達で中国本土を経由せざるを得ない構造が残っていることは、世界のサプライチェーンの再編が「完全な脱中国」ではなく、「中国との関係を保ちつつリスク分散を図る」段階にあることを示しているとも読めます。
背景には、巨大な国内市場、整ったインフラ、多数のサプライヤーが集積した産業クラスターなど、短期間では他地域が代替しにくい要素が重なっています。こうした条件が、中国本土を世界の製造業にとって欠かせない拠点にし続けていると考えられます。
日本とアジアの企業にとっての意味
日本を含むアジアの企業にとって、中国本土が製造業サプライチェーンの中心であり続けているという事実は、ビジネス戦略を考える上で無視できません。生産拠点の分散や「中国プラスワン」のような動きがあっても、部品調達や組み立てプロセスのどこかで中国本土に依存する構図は当面続く可能性が高いからです。
- 調達や生産のどの工程が中国本土に依存しているのかを可視化する
- 中国本土との連携を維持しつつ、代替ルートや在庫戦略でリスク分散を図る
- 技術集約型分野での中国本土の役割を踏まえ、研究開発や人材戦略を再検討する
依存と多様化のバランスをどう取るか
今回のボアオ・フォーラムの報告書は、「中国本土への依存を減らすべきか、それとも前提として受け入れたうえでどう付き合うか」という問いを、改めて私たちに投げかけています。国際ニュースとしての数字の裏には、企業や個人がどのようにリスクを管理し、どの地域とどのように関わっていくのかという、より長期的な視点が横たわっています。
サプライチェーンの地図が少しずつ書き換えられている現在、その中心に立ち続ける中国本土の存在をどう位置づけるのか。日本やアジアの読者一人ひとりが、自分なりの答えを考えるタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
Report: China remains center of global manufacturing value chains
cgtn.com








