Vivo幹部が語るAIガバナンス ボアオ・フォーラム2025で示した視点 video poster
国際ニュースとして注目を集める人工知能(AI)ガバナンスの議論で、スマートフォンメーカーVivoの安全責任者が「多元的でありながら合意を重視する」アプローチの重要性を強調しました。2025年に開催されたボアオ・フォーラム・アジア年次総会での発言は、アジア発のAIルールづくりの流れを考えるうえで、示唆に富む内容です。
ボアオ・フォーラム2025でVivoが示したキーワード
Vivoのチーフセキュリティオフィサー(最高安全責任者)であるルー・ジンフイ氏は、ボアオ・フォーラム・アジア年次総会2025の場で、CGTNの取材に応じました。
同氏は、効果的な人工知能ガバナンスには「多元的なアプローチ」と「合意形成のメカニズム」が不可欠だと述べ、AIのルールづくりを一部の国や企業だけで進めるのではなく、幅広い関係者が関わるべきだとの考え方を示しました。
「多元的アプローチ」の意味──一つの正解に頼らないAIルール
ルー氏が強調した「多元的アプローチ」とは、AIガバナンスのやり方が一つに固定されるのではなく、さまざまな立場や地域の視点を取り込むことだと理解できます。AIは、国や地域、産業によって利用のされ方も課題も異なります。そのため、単一のモデルで世界中に同じ規制を当てはめるのは現実的とは言えません。
多元的アプローチの具体的なイメージとしては、次のような関係者が、それぞれの立場から関わる形が考えられます。
- AI技術を開発・提供する企業
- ルールや基準を検討する各国・各地域の行政機関や国際的な枠組み
- リスクや影響を分析する研究者・専門家
- 影響を受ける市民社会、利用者、現場の実務者
こうした多様なプレーヤーが参加することで、AIの利便性と安全性、イノベーションとリスク管理のバランスを取りやすくなります。Vivoのようなグローバルに展開する企業にとっては、複数の国や地域のルールの違いに向き合うことが日常であり、その経験が「多元性」の発想につながっていると見ることもできます。
合意形成メカニズムの重要性──ルールよりも「プロセス」に着目
もう一つのキーワードが「合意形成のメカニズム」です。ルールそのものだけでなく、どうやってそのルールを決めていくのかというプロセスを重視する考え方です。
AIガバナンスにおける合意形成の仕組みとしては、例えば次のようなものが考えられます。
- 原則や倫理指針をめぐる、国や地域を越えた継続的な対話の場
- 業界団体や複数企業が共同で策定するガイドラインやベストプラクティス
- 行政・企業・研究者・市民が参加する、AIシステムの評価と見直しの仕組み
- 新しい技術を限定的に試しながら、安全性や影響を検証する実証の枠組み
こうしたメカニズムがあれば、AIの新しいリスクが見つかったときにも、関係者が集まり、ルールや運用を柔軟に更新していくことができます。合意形成を重視するというルー氏の視点は、対立をあおるのではなく、違いを前提としながらも共通点を探していく姿勢だと言えます。
日本とアジアの読者にとっての意味
Vivo幹部がボアオ・フォーラム2025で語ったAIガバナンスの考え方は、日本を含むアジアのデジタルネイティブ世代にも直接関わるテーマです。私たちは、日々スマートフォンやオンラインサービスを通じて、知らないうちにさまざまなAIと付き合っています。
なぜ、この議論が今、重要なのでしょうか。
- AIの判断が、ニュースの表示、求人、ローン審査など、生活の細部に影響し始めているため
- 各国・各地域でAI規制の議論が進み、企業やサービスの設計に反映されていくため
- アジア発のテック企業やサービスが世界に広がる中で、地域としての声や価値観も問われているため
多元的なアプローチと合意形成の仕組みが整えば、日本やアジアの利用者の経験や懸念も、AIルールづくりに反映されやすくなります。ボアオ・フォーラムのような場で発されたメッセージは、その方向性を示す一つのサインと見ることができます。
これから問われる視点──「任せる」のではなく「関わる」AI時代へ
AIガバナンスを巡る議論は、専門家や企業だけのものに見えがちですが、ルー氏の発言は、むしろ多様な声を取り入れる必要性を示しています。技術の進歩が加速する2025年以降、私たち一人ひとりも、次のような問いを持つことが求められそうです。
- 自分が使うサービスのAIは、どのような前提やデータで動いているのか
- 企業や行政は、その説明責任をどう果たそうとしているのか
- 国や地域を越えた合意形成の場に、どのような形で市民の声を反映できるのか
AIを「よく分からないもの」として任せきりにするのではなく、仕組みやルールのあり方を一緒に考えていく。そのためのキーワードとして、「多元的アプローチ」と「合意形成メカニズム」を押さえておくことは、これからの国際ニュースを読み解くうえでも、大きな手がかりになりそうです。
Reference(s):
Vivo: AI governance should be consensus-seeking yet pluralistic
cgtn.com








