ボアオ・フォーラム2025が閉幕 アジアから「開放と協力」のメッセージ
アジアの開放と協力をめぐる最新の国際ニュースとして、南中国・海南省の博鰲で開かれていたボアオ・フォーラム・フォー・アジア(BFA)年次総会2025が金曜日に閉幕しました。各国の政財界や専門家が集まり、変化する世界の中でアジアがどのように未来を共有していくのかが議論されました。
テーマは「変化する世界の中のアジア:共有される未来へ」
今年のボアオ・フォーラムのテーマは、英語で「Asia in the Changing World: Towards a Shared Future」と掲げられました。このテーマには、世界情勢が揺れ動く中でも、アジアが開放性と協調を軸にして共通の未来を築いていこうというメッセージが込められています。
国際シンクタンクである Horasis(ホラシス)の会長で、世界経済フォーラム(WEF)の元ディレクターでもあるフランク・ユルゲン・リヒター氏は、事前のインタビューで、イノベーション(技術革新)、開放性、そして協力こそがアジアと世界の経済成長を支えるカギだと強調しました。
イノベーションと地域協力が成長と持続可能性のカギ
リヒター氏は、イノベーションと地域協力が、地球規模の課題に対応し、持続可能な発展を進めるうえで欠かせないと指摘しました。
- 新しい技術やビジネスモデルを通じて生産性や生活の質を高めること
- アジア諸国が互いに連携し、経験や資源を共有しながら課題解決に取り組むこと
こうした視点は、単に経済成長だけでなく、気候変動や格差といった課題に向き合ううえでも、アジアがどのような役割を果たしうるのかを考えるヒントになります。
保護主義より協調を 関税と貿易戦争への懸念
今回のボアオ・フォーラムでは、世界経済に影響を与える関税や貿易摩擦についても言及がありました。
「協力を忘れた」高関税への問題提起
ノルウェーのオスロにある BI ノルウェービジネススクールの戦略学教授、カール・フェイ氏は、協調がより効果的だと強調しました。とくに、一部の国々が協力を忘れ、高い関税を課していると述べ、その例として米国に言及しました。
高関税による対立よりも、協力を通じた問題解決の方が、企業や消費者、ひいては各国経済にとってプラスになるという視点です。
貿易戦争は「誰の得にもならない」
英国で投資担当大臣などを務めた経験を持つゲリー・グリムストン卿も、貿易戦争は誰にとっても利益がないと警鐘を鳴らしました。人々は「世界貿易は人々と経済成長にとって良いものだ」という基本を思い出すべきだと述べています。
保護主義ではなく、ルールに基づく開かれた貿易と協力関係をどう維持・強化していくかが、引き続きアジアと世界の大きな課題であることが浮かび上がります。
中国の開放がアジア経済を後押し
ボアオ・フォーラム2025では、中国の開放政策がアジアの地域協力や成長を支える存在として評価されました。
「互恵的」な新しいアジア協力の時代
デロイト中国のマーケットコンサルタント部門のトップである蒋瑛(Jiang Ying)氏は、新しい時代のアジア協力を「互恵的(リシプロカル)」だと表現しました。
同氏によれば、中国は製造業分野でのハイレベルな開放を進め、ビジネス環境を最適化することで世界中の企業を引きつけています。こうした取り組みは、国内だけでなくアジア全体の経済にプラスの効果をもたらすと指摘しました。
つまり、中国に投資する企業が増えることで、サプライチェーン(供給網)や人材交流が活発になり、周辺の国や地域にも波及効果が生まれるという見方です。
ビザ免除でビジネス往来がスムーズに
経営コンサルティング会社ローランド・ベルガーのグローバルマネージングディレクター、ドニ・デプー氏は、中国のビザ免除政策によって、海外企業にとって現地でビジネスを行うハードルが下がっていると評価しました。
ビザ手続きが簡素化されることで、
- 現地視察や商談のための出張がしやすくなる
- 対面でのコミュニケーションや信頼関係の構築が進む
- 中長期的な投資や共同プロジェクトを検討しやすくなる
といった効果が期待されます。これは、アジア内外の企業にとって、中国との協業や市場開拓のチャンスを広げる動きと言えるでしょう。
アジアと日本への3つの示唆
今回のボアオ・フォーラム2025で示されたメッセージは、アジア全体はもちろん、日本にとっても示唆に富む内容です。ポイントを3つに整理します。
- 開放と協力は依然として成長のエンジン
貿易摩擦や地政学リスクが語られる中でも、多くの参加者が「開かれた貿易」と「協力」の重要性を繰り返し強調しました。長期的な成長を目指すうえで、開放性をどう維持するかが改めて問われています。 - イノベーションは地域で共有する時代へ
技術やデジタル分野のイノベーションを、一国だけで囲い込むのではなく、地域で共有し合う発想が重要になっています。アジアの中で連携しながら、新しいサービスや産業を育てていく視点が欠かせません。 - 中国の開放をどう生かすかが鍵
製造業の開放拡大やビザ免除などの動きは、日本を含むアジア各地の企業にとって新たなビジネスチャンスになり得ます。どの分野で、どのような形で協力すれば互いに利益を得られるのかを考えることが重要です。
「開放」と「協力」を自分ごととして考える
ボアオ・フォーラム2025は、アジアが分断ではなく協調の方向を選び取るべきだというメッセージを、改めて世界に発信しました。政策当局だけでなく、企業や個人にとっても、どの国や地域と、どのように連携し、どんな価値を共に生み出していくのかが問われています。
ニュースとして出来事を追うだけでなく、自分の仕事や生活の中で「開放」「協力」「イノベーション」をどう位置づけるかを考えることが、ポスト2025年のアジアを読み解き、次の一歩を踏み出すヒントになりそうです。
Reference(s):
Boao Forum 2025 sends strong message of openness, cooperation in Asia
cgtn.com








