Arm、2025年にデータセンターCPU世界シェア50%狙う AIブームで急拡大
英Arm Holdingsが、AIブームを背景に2025年末までに世界のデータセンター向けCPU市場でシェア50%を目指すと明らかにしました。2024年の約15%からの急拡大が実現すれば、サーバー市場の勢力図が大きく変わる可能性があります。
Armが掲げる「シェア50%」の野心
Armのインフラストラクチャ部門を統括するモハメド・アワド氏は、同社のデータセンター向けCPUの世界シェアが2025年末までに50%に達するとの見通しを示しました。これは、2024年時点の約15%からの大幅な伸びです。
アワド氏によれば、この成長を支えているのは人工知能(AI)関連の計算需要の急増です。AIシステムの中で、ArmベースのCPUはホストチップとして他のAIチップの動作を制御する役割を担っています。
AIデータセンターと電力消費、Armの強み
AIデータセンターは膨大な電力を消費するため、省電力性能は各社にとって重要なテーマになっています。アワド氏は、Armの技術はインテルやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が手掛ける競合CPUと比べて、消費電力を抑えられるケースが多いと説明しています。
その結果、クラウドコンピューティング企業のあいだでArmベースのチップが人気を高めています。米エヌビディアは、高度なAIシステムの一部で「Grace」と呼ばれるArmベースのチップを採用しており、同システムにはBlackwellチップが2基搭載されています。
「設計を売る」Armのビジネスモデル
Armは自ら半導体を製造するのではなく、CPU設計などの知的財産を提供するビジネスモデルを取っています。イギリスに本社を置く同社は、日本のソフトバンクグループが約90%を保有しており、クラウド企業やアップル、エヌビディアなどに対して、ノートPCやスマートフォン、データセンター向けプロセッサ用の設計を提供しています。
Armの収益源は、大きく分けて二つです。
- 技術を使うためのライセンス料
- 出荷されたチップ1個ごとに発生するロイヤルティ(継続的な使用料)
アワド氏によると、データセンター向けのような高度なチップではArmの技術が多く使われる傾向があり、その分まとめて受け取るロイヤルティ率も高くなるといいます。
長年の「x86の壁」から転換へ
Armはこれまで、およそ20年にわたり利益率の高いデータセンター市場への本格参入に苦戦してきました。インテルとAMDのx86チップが長年にわたり事実上の標準となっていたため、ArmベースのCPUに切り替えるには、顧客側がソフトウエアを書き換え、ハードウエア構成も見直す必要があったからです。
しかしアワド氏は、現在ではソフトウエアがまずArm向けに開発される段階に来ていると話し、流れが変わりつつあるとの認識を示しました。
クラウド大手が相次ぎArmにシフト
クラウド事業者による自社設計チップの動きも、Armの追い風となっています。アマゾン・ドット・コムはArm技術を使った自社開発のデータセンター向けCPUを投入しており、同社によると、過去2年間に追加したサーバー用計算能力のうち半分超をこれらArmベースのチップが占めました。
アルファベット傘下のグーグルやマイクロソフトも、より最近になってArmベースのデータセンターCPUを開発しています。こうしたクラウド大手がArmアーキテクチャ採用を進めることで、エコシステム全体が拡大する可能性があります。
日本の読者にとっての意味
Armは英国本社の企業ですが、その約90%を保有するのは日本のソフトバンクグループです。もしArmが2025年末までにデータセンターCPU市場でシェア50%を実現すれば、日本発の資本が関わる企業が、世界のAIデータセンターの中枢で存在感を高めることになります。
AIとクラウド、半導体の力関係が大きく動く中で、Armの戦略と各社の採用動向は、今後も注目しておきたいテーマだと言えそうです。
Reference(s):
Arm expects to corner 50% share of data center CPU sales this year
cgtn.com








