米国の関税に韓国が「総力対応」 ハン首相が非常対策を指示
米国による新たな関税方針が発表され、韓国政府が「総力対応」を打ち出しました。輸出依存度の高い韓国経済にとって、米韓間の関税問題は2025年を象徴する大きなリスクとなりつつあります。
米国の新関税方針:全輸入に10%、韓国には25%
米国のドナルド・トランプ大統領は、すべての国からの輸入品に一律10%の関税を課す方針に加え、国ごとに「相互主義」に基づく追加関税を導入すると発表しました。その一環として、韓国からの輸入品には25%の関税を課す計画も示されています。
韓国側では、こうした動きが「世界的な関税戦争」の現実化につながりかねないとの危機感が高まっています。
ハン首相「政府の全能力を投入」 経済安保の非常会議
ユン・ソクヨル大統領の弾劾を受け、大統領権限代行も務めるハン・ドクス首相は、木曜日に開かれた経済安保戦略の非常会議で、米国の関税方針への対応を最優先課題として位置づけました。
ハン首相は会合で、「世界的な関税戦争が現実になりつつある中で、政府は貿易危機を克服するため、持てる能力をすべて注ぎ込まなければならない」と述べ、政府一体での対応を求めました。
影響分析と米国との交渉を指示
ハン首相は、産業通商関連の閣僚に対し、米国の関税措置の詳細と経済への影響を綿密に分析するよう指示しました。そのうえで、被害を最小限に抑えることを目的に、米国側との交渉を積極的に展開するよう求めています。
関税の対象品目や導入時期、例外措置の余地など、具体的な条件次第で影響の度合いは変わるため、韓国政府としては情報収集とシナリオ分析を急いでいるとみられます。
自動車など輸出産業への支援策を「官民挙げて」
ハン首相はまた、米国の関税強化で打撃を受ける産業や企業への支援策を、政府横断で早急に用意するよう求めました。とくに、米国向け輸出の比重が高い自動車産業などを念頭に、資金繰り支援や投資促進策など、幅広い対策が検討される見通しです。
韓国経済はこれまでも、通商環境の変化に合わせて産業構造の転換を迫られてきました。今回の米国の関税方針は、その圧力を一段と強める可能性があります。
なぜ韓国はここまで警戒するのか
韓国は輸出主導の経済構造を持ち、製造業やサービス業の多くが海外市場、とくに米国市場に深く依存しています。追加の25%関税が導入されれば、韓国企業の価格競争力は大きく低下し、現地企業や他国企業との競争で不利になる懸念があります。
また、関税の引き上げは、企業の投資計画や雇用にも影響を与えます。特定の企業だけでなく、サプライチェーン(供給網)全体に波及し、中小企業や地域経済にも負担が及ぶ可能性があります。
世界に広がる「関税戦争」のリスク
米国が韓国を含む各国・地域に対して相互主義に基づく関税措置を打ち出したことで、他国が対抗措置を検討する動きが広がれば、本格的な「関税戦争」に発展するシナリオも指摘されています。
関税の応酬が続けば、企業は投資や雇用に慎重になり、世界経済全体の成長を押し下げかねません。金融市場の不安定化や通貨の変動も含めて、実体経済と市場の双方に影響が及ぶ可能性があります。
今後の焦点:交渉、支援策、国内議論
今後の注目ポイントとしては、次のような点が挙げられます。
- 米韓間の交渉の行方:どこまで関税の水準や適用範囲を修正・緩和できるのか。
- 政府による産業支援:自動車をはじめとする輸出産業への支援策がどの程度迅速かつ実効的に行われるか。
- 国内世論と政治への影響:大統領弾劾後、権限代行として危機対応を担うハン首相への評価や、通商政策をめぐる国会内の議論。
米国の関税方針は、単なる数字の問題ではなく、韓国の産業構造や経済安全保障に直結するテーマです。韓国政府が掲げる「全ての手段を使う」という方針が、どこまで具体的な成果につながるのか。今後数カ月の米韓関係と国際経済の動きが注目されます。
Reference(s):
S. Korea to use all measures to tackle U.S. tariff imposition
cgtn.com








