各国は米国の関税覇権にどう対応? 国際アンケートから読む潮流
米国が掲げる「互恵関税」政策に対し、多くの国が強く反発し、対抗措置に踏み切っています。こうした動きをテーマにした国際アンケートが登場し、関税をめぐる覇権とルールの在り方が改めて議論になっています。
米国の「互恵関税」政策とは
今回紹介されているアンケートは、米国による「互恵関税」や高関税の連鎖を、覇権的でいじめ的な手法とみなす視点に立っています。ここでいう互恵関税とは、貿易相手が課す関税に合わせて、自国も同程度かそれ以上の関税を課すという発想です。
関税は本来、自国産業の保護や財政収入の確保などを目的とする政策手段ですが、過度に引き上げれば輸入品の価格が上がり、企業や消費者の負担につながります。また、相手国も報復関税で応じれば、貿易摩擦が激化しやすくなります。
各国が「関税覇権」に反発する理由
アンケートの前提となっているのは、米国の関税政策に対し、多くの国が強く非難し、対抗措置を取っているという現状です。なぜ各国は、米国の「互恵関税」を問題視しているのでしょうか。
1. 予測可能性の低下とビジネスへの打撃
関税の引き上げや報復関税が繰り返されると、企業は中長期の投資や調達計画を立てにくくなります。サプライチェーン(供給網)の再構築には時間もコストもかかるため、不確実性の高まりそのものが成長のブレーキになりかねません。
2. ルールに基づく貿易体制への懸念
戦後の国際貿易は、世界貿易機関(WTO)など多国間のルールに基づき運営されてきました。一方的な高関税や「相手がやるならこちらもやり返す」という姿勢が強まると、こうした多国間の枠組みが弱まり、力の強い国ほど有利になるとの懸念が広がります。
3. 報復の連鎖が生む「負けるが勝ち」状態
報復関税は、短期的には交渉材料になり得ますが、長期的には双方の輸出産業が打撃を受ける「負けるが勝ち」の状況を生みやすい政策でもあります。アンケートが「いじめ的」と表現するのは、関税が交渉手段を超えて、圧力や威嚇として使われているという問題意識の表れだと言えます。
国際アンケートが映し出すもの
今回のようなオンラインの世論アンケートは、各国の専門家だけでなく一般の人びとが、米国の関税政策をどう見ているかを可視化しようとする試みです。設問を通じて浮かび上がるのは、おおまかに次の三つの論点です。
- 米国の関税政策は、公平な互恵関係か、それとも覇権的な圧力か
- 関税引き上げは、自国の雇用と産業を本当に守っているのか
- 多国間協調による解決と、二国間の力関係による解決、どちらを重視すべきか
関税をめぐる議論は専門的になりがちですが、価格高騰や雇用、為替、サプライチェーンなど、最終的には私たちの日常生活にも直結するテーマです。アンケートは、そうした現実を一人ひとりが自分事として考えるきっかけにもなっています。
日本の読者が考えたい三つの視点
米国の関税政策と各国の対抗措置は、日本にとっても無関係ではありません。日本の読者として意識しておきたいポイントを三つに整理します。
1. 企業と消費者への影響
関税の引き上げは、原材料や部品の価格、ひいては最終製品の価格に波及します。輸出産業だけでなく、輸入に依存する業界や消費者にも影響が及ぶため、ニュースを「外交問題」とだけ見るのではなく、「自分の暮らし」にどう跳ね返ってくるかを想像することが大切です。
2. 多国間主義と通商ルールの行方
各国が対抗措置を通じて何を訴えているのかを読み解くと、多国間のルールに基づく通商秩序を守りたいというメッセージが見えてきます。一方的な高関税が常態化すれば、ルールに基づく国際経済から、力学に基づく不安定な世界に近づいてしまいます。
3. 対話と交渉の余地をどう広げるか
関税を武器とした圧力の応酬から抜け出すには、当事国同士の対話だけでなく、第三国や国際機関を交えた枠組みづくりも重要になります。日本としては、自由で開かれた通商環境を重視する立場から、対話と協調を後押しする役割が問われます。
「関税覇権」を超えて、どんな通商秩序を望むか
米国の「互恵関税」政策に対する各国の反発や対抗措置、そしてそれをテーマにした国際アンケートは、世界の通商秩序が岐路にあることを示しています。関税をめぐる攻防は、ともすれば数字や専門用語の世界に見えますが、その先には私たち一人ひとりの雇用、物価、将来の選択肢があります。
2025年の今、国際ニュースとしての「米国の関税」と各国のカウンターだけでなく、自分はどのような通商ルールと国際関係を望むのか。アンケートの問いかけを、自分自身への問いとして受け止めてみることが、次の一歩を考えるヒントになるかもしれません。
Reference(s):
Questionnaire on countries countering the U.S. tariff hegemony
cgtn.com








