トランプ関税ショックで米株急落 ナスダック弱気相場入りと世界不安
トランプ米大統領による関税の大幅引き上げをきっかけに、米国株式市場がコロナ禍以来となる急落に見舞われました。ナスダック総合指数は弱気相場入りが確認され、ダウ平均は調整局面に入るなど、世界景気と国際金融市場への不安が一気に高まっています。
主要3指数が大幅安 ナスダックは弱気相場入り
今回の米国株急落では、ダウ工業株30種平均、S&P500、ナスダック総合指数の主要3指数がそろって大きく値を下げました。木曜と金曜の2日間で、ダウは9.3%安、S&P500は10.5%安、ナスダックは11.4%安と、いずれもコロナ禍で世界的なパニックが起きて以来の下げ幅になりました。
金曜日の取引では、ナスダック総合が962.82ポイント(5.82%)安の1万5587.79で終了し、12月16日の史上最高値2万173.89からの下落率が20%を超えたことで、弱気相場入りが確認されました。
ダウ平均は2231.07ポイント(5.50%)安の3万8314.86で引け、12月4日の最高値4万5014.04から10%以上下落し、テクニカルには調整局面とされています。S&P500も322.44ポイント(5.97%)安の5074.08と、約11カ月ぶりの安値水準に落ち込みました。
関税引き上げが市場心理を直撃
投資家心理を冷やしたのは、トランプ政権による関税引き上げです。水曜の遅い時間に、米国の関税障壁が「100年以上で最も高い水準」とされる規模に引き上げられると伝わって以降、投資家は新たな米国経済の現実と、各国の対抗措置による貿易摩擦の拡大を警戒して株式を売却しました。
この結果、米企業の時価総額は数兆ドル規模で失われ、世界景気の減速からリセッション入りへの懸念が急速に強まりました。JPモルガンは、世界経済が年末までに景気後退入りする確率を従来の40%から60%へと引き上げています。
恐怖指数が2020年4月以来の水準 売買高も過去最大
市場の不安を映すCBOEボラティリティ・インデックス(VIX、いわゆる恐怖指数)は、2020年4月以来の高水準で取引を終えました。投資家が急速にリスク回避へ傾いたことを示しています。
取引量も異例の水準に達しました。金曜日の米株式市場の売買高は約267億9000万株と、2021年1月27日の244億8000万株を上回り、過去最高を更新しました。それだけ多くの投資家が一斉にポジションを動かしたことになります。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は、市場について「今後どこまで悪化するかは、この政策をどの程度まで続けるのかという政権の姿勢次第だ。市場は明確に反対票を投じている」と述べ、政策と市場の対話が今後の焦点になると示唆しました。
各国の対応と中国の追加関税 世界リセッション懸念が拡大
トランプ政権の関税発表を受け、各国政府も動きを強めています。中国の財政当局は、4月10日から全ての米国製品に対し34%の追加関税を課す方針を表明しました。また、英国、オーストラリア、イタリアの首相らも対応を協議するなど、国際的な貿易を巡る環境は一段と不透明になっています。
UBSウェルス・マネジメントのマリアム・アダムズ氏は、現在の状況について「貿易を巡る環境は、非常に予測が難しい局面にある」と指摘し、市場が先行きを読みづらい状態にあることを強調しました。
FRBにも難しい判断 金利と銀行株への影響
金融政策を担う米連邦準備制度理事会(FRB)も、難しいかじ取りを迫られています。トランプ政権の関税によって輸入物価が押し上げられればインフレ圧力が高まる一方、成長の減速リスクも同時に強まるためです。
パウエル議長は、関税発表後初の公の場で、今回の大幅な関税が物価上昇と成長鈍化を同時にもたらす可能性に言及し、FRBにとって難しい判断が続くとの認識を示しました。
リスク回避の動きから、安全資産とされる米国債への買いが強まり、代表的な10年債利回りは4%を割り込みました。これにより、金利低下と景気減速の両方が懸念される銀行株には逆風が吹いています。S&P銀行株指数は7.3%下落し、世界的に金融セクターへの圧力が意識されています。
全セクターが大幅安 エネルギー株が特に弱い
今回の急落は、特定の業種にとどまらず市場全体に広がりました。S&P500を構成する11セクターはいずれも4.5%超の下落となり、その中でもエネルギーセクターが2日連続で最も弱い動きとなりました。
エネルギー企業は、米国の原油価格が7.3%下落したこともあり、8.7%の大幅安となりました。世界景気の減速懸念が強まることで、エネルギー需要の先行きにも慎重な見方が広がっています。
日本の投資家は何を見るべきか
今週1週間で、S&P500は9.1%安、ダウは7.9%安、ナスダックは10%安と、短期間に大きな調整が入りました。米国株に投資する日本の個人投資家や、米株ファンドを通じて運用している人にとっても、無視できない動きです。
日本の投資家が特に意識しておきたいポイントは次の通りです。
- 関税政策が一時的なものなのか、長期化するのかという政治判断
- FRBがインフレと成長のどちらをより重視するかという金融政策の方向性
- 世界景気の減速が企業収益に与える影響と、それをどこまで株価が織り込んだか
- 自分のポートフォリオが、特定の国やセクターに偏っていないかどうか
足元では、感情的な売買が増えやすい局面ですが、短期の値動きだけで判断するのではなく、政策の行方や企業の本業の利益といった中長期の視点を持つことが重要になりそうです。
貿易を巡る緊張と市場のボラティリティが高まる中で、どのニュースが本質的な変化につながるのかを丁寧に見極めることが、日本の個人投資家にとっても問われています。
Reference(s):
Trump tariff tailspin worsens, Nasdaq confirms in bear market
cgtn.com







