国際ニュース:中国政府、米国の相互関税を乱用と批判
米国が全ての貿易相手国からの輸入品に一律10%の「相互関税」を課す方針を打ち出したことに対し、中国政府は土曜日に発表した声明で強く反発しました。国際ニュースとして注目されるこの動きは、米中間の関税摩擦が再び激しくなる可能性と、世界貿易機関(WTO)を軸とする多国間貿易体制の行方に新たな問いを投げかけています。
米国の新たな関税方針に「経済的いじめ」と反発
中国政府は、米国による「相互関税」の導入について、「一方主義と保護主義、そして典型的な経済的いじめの行為だ」と強く批判しました。声明によれば、米国は「互恵」や「公正」といった名目を掲げながら、実際にはゼロサムの発想に基づき、「アメリカ・ファースト」や「アメリカ例外主義」を追求しているとしています。
さらに声明は、米国が関税を乱用することで、既存の国際的な経済・貿易秩序を揺るがし、自国の利益を世界の公共財よりも優先していると指摘しました。その結果として、「世界各国の正当な利益が、米国の覇権的な議題のために犠牲にされている」と批判し、こうした行為は「国際社会から広範な反対に直面することは避けられない」と強調しました。
トランプ大統領が一律10%の「相互関税」を発表
米国のドナルド・トランプ大統領は水曜日、全ての貿易相手国からの輸入品に対し、一律10%の基準関税を課す新たな措置を発表しました。一部の国や品目には、これより高い税率が適用されるとされています。これらの「相互関税」は、4月5日と9日に段階的に発効する予定です。
トランプ大統領は、他国の関税水準に合わせる形で米国の関税を設定する「相互性」を掲げていますが、中国側は、こうしたアプローチが多国間のルールよりも二国間の力関係を重視するものであり、国際経済秩序を不安定化させると見ています。
中国も対抗関税 米国からの輸入品に34%上乗せ
米国の動きを受けて、中国は金曜日、米国から輸入される全ての製品に対し、追加で34%の関税を課すと発表しました。この措置は4月10日から実施され、米国が中国からの輸入品に適用する「相互関税」と同じ税率に合わせる形となります。
中国政府は声明の中で、「中国はこれまでも、そしてこれからも、主権・安全・発展利益を守るために断固たる措置を取り続ける」と表明しました。そのうえで、米国に対し「関税という武器を用いて中国の経済成長を抑圧するのをやめ、中国人民の正当な発展の権利を損なう行為を直ちに停止すべきだ」と求めています。
それでも中国は「より大きく開かれた市場」を強調
一方で、中国政府は同じ声明の中で、自国の市場開放姿勢を改めて強調しました。世界第2の経済規模と世界第2の消費市場を持つ国として、「国際情勢がどう変化しようとも、中国はドアを閉ざすことはなく、むしろさらに大きく開いていく」としています。
具体的には、次のような方針が示されています。
- より高度なレベルの対外開放を推進する
- ルールや規制、管理、基準といった制度面での開放を着実に拡大する
- 貿易・投資の自由化と円滑化を進める政策を実施する
- 市場志向・法治・国際水準を備えた第一級のビジネス環境を整備する
こうした取り組みを通じて、世界と発展の機会を分かち合い、「互恵・ウィンウィン」の成果を実現していきたい考えです。
WTO中心の多国間貿易体制を重視
声明はまた、経済のグローバル化は「人類発展の必然的な流れ」だと指摘しました。そのうえで、世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多国間貿易体制が、これまで世界貿易の拡大、経済成長、持続可能な発展に大きく貢献してきたと評価しています。
中国政府は、「開かれた協力こそが歴史の潮流であり、世界が孤立や分断に後戻りすることがあってはならない」と強調しました。また、「互恵とウィンウィンの協力は各国共通の願いであり、『隣人を貧しくして自らの利益を図る』ような経済的いじめは、最終的には自分自身に跳ね返ってくる」と警告しています。
そのうえで、経済グローバル化をより開かれた、包摂的なものとし、利益がより均衡し、公正な結果がもたらされる方向へ導くことは、「国際社会全体の共通の責任だ」と呼びかけました。
「関税戦争に勝者はいない」というメッセージ
声明の後半で、中国政府は「発展は全ての国にとっての普遍的な権利であり、一部の国だけに与えられた特権ではない」と述べています。また、国際問題は集団的な協議によって対処すべきであり、「世界の未来は全ての国が共に形づくるべきだ」と強調しました。
特に、「貿易戦争や関税戦争に勝者はいない。保護主義に前途はない」との一文は、多くの国が共有してきた懸念とも重なります。中国政府は、各国に対し次のような行動を求めています。
- 幅広い協議・共同の貢献・利益の共有という原則を堅持すること
- 真の多国間主義を守り、一方主義や保護主義のあらゆる形態に共同で反対すること
- 国連を中核とする国際体制と、WTOを中心とする多国間貿易秩序を共に守ること
中国政府は、「公正と正義を信じる圧倒的多数の国々が、歴史の正しい側に立ち、自国の利益にもかなう選択を行うと確信している」と述べ、「今の世界に必要なのは覇権ではなく正義だ」と締めくくりました。
読者が押さえておきたいポイント
今回の中国政府の声明は、単なる米国批判にとどまらず、今後の国際経済のルールづくりに関わるメッセージを含んでいます。ポイントを整理すると、次の3点が見えてきます。
- 米国の関税強化に対して、中国が対抗措置と同時に「開放拡大」の姿勢も打ち出していること
- WTOを中心とする多国間のルールと、「相互関税」に象徴される二国間の力学の対立が鮮明になっていること
- 「関税戦争に勝者はいない」という呼びかけが、世界経済の不透明感が高まる中で改めて重みを増していること
米中の動きは、日本を含むアジアや世界の企業・市場にも少なからぬ影響を及ぼします。関税という分かりやすい数字の背後で、どのような価値観やルールがせめぎ合っているのか。ニュースを追う際には、こうした視点からも注目していくことが重要になりそうです。
Reference(s):
Chinese government slams U.S. tariff abuses, vows to protect interests
cgtn.com








