米国で数万人がトランプ大統領に抗議 経済と民主主義への不安 video poster
米国各地で数万人がトランプ大統領に抗議
米国の首都ワシントンやニューヨーク、ヒューストン、フロリダ、コロラド、ロサンゼルスなど各地で土曜日、トランプ大統領の政策に反対するデモが一斉に行われました。主催者によると、参加者は全米で数万人に上り、ホワイトハウス復帰後のトランプ政権に対する抗議としては最大規模とされています。
集会を呼びかけたのは、リベラル系の市民団体MoveOnやWomens Marchなどの緩やかな連合体です。彼らは連邦議会の全選挙区を含む約1000の都市で、トランプ政権に対して政策を変えるよう求める『Hands Off』と名付けた行動を組織しました。
ワシントンのナショナル・モールに広がる危機感
ワシントンでは、ナショナル・モールに国内各地から多くの人が集まりました。ワシントン記念塔のふもとに設営されたステージ周辺には、早い時間から人の輪が広がりました。
ニュージャージー州プリンストンから車で駆け付けたという退職した生物医学研究者のテリー・クラインさんは、移民政策や暗号資産ドージコインをめぐる発言、直近の関税措置、教育政策に至るまで「国のあらゆる制度が攻撃されている」と話しました。
同じくニューハンプシャー州からバスやバンを仕立てて参加したサイクリングガイドのダイアン・コリフラスさん(64)は、「この政権は世界中で同盟国を失わせ、国内の人々にも打撃を与えている。政府を内側から切り崩している」と強く批判しました。
焦点は経済政策 農家と年金への影響を懸念
参加者の関心は、とりわけトランプ大統領の経済政策に集中しました。ニュージャージー州ウェストケープメイから訪れた元資産運用マネジャーのウェイン・ホフマンさん(73)は、大統領が乱発する関税措置に強い懸念を示しました。
- 中西部などの農家が輸出減で打撃を受ける可能性
- 関税の応酬が雇用を失わせる恐れ
- 株価下落により401K(確定拠出年金)などの資産が目減りしているとの不満
ホフマンさんは「多くの人がすでに数万ドル単位の損失を出している」と述べ、政権の対応を「経済的に無謀だ」と評しました。
欧州の首都にも飛び火する不安
デモの動きは大西洋を越え、ロンドンやベルリンなど欧州の都市にも広がりました。ロンドンで抗議行動に参加した英米二重国籍のリズ・チェンバーリンさんは、「アメリカで起きていることは、すべての人の問題だ」と語り、トランプ大統領の通商政策を「世界的な景気後退を招きかねない経済的狂気だ」と批判しました。
ベルリンでは、70歳の退職者ズザンネ・フェストさんが、トランプ大統領は「憲法上の危機を生み出している」と指摘し、そのやり方は「正気の沙汰ではない」とまで語りました。米国の内政が、世界経済や各国の民主主義にも影響しかねないとの危機感がにじみます。
市民的自由と民主主義への危機感 「ファシズムを止めたい」
抗議の焦点は経済だけではありません。トランプ大統領は政府機構の大幅な縮小や、保守的な価値観の一方的な押し出し、さらには友好国に対しても国境管理や貿易問題で強い圧力をかけてきました。こうした姿勢は国内の多くの人々を怒らせ、株式市場の乱高下にもつながっていると指摘されます。
ボストンでデモに参加したドミニク・サンテラさんは、「私たちはファシズムを止めるためにここにいる」と語り、政治的な対立相手や移民を拘束しようとするようなリーダーを止めなければならないと訴えました。
ワシントン中心部のナショナル・モールでは、ホワイトハウスからほど近い場所に設置されたステージで、複数の政治家や活動家が演説しました。トランプ大統領の弾劾裁判で弾劾管理人を務めた民主党のジェイミー・ラスキン下院議員は、「経済を壊し、あらゆるものの値段は知っていても価値を理解しない独裁的な指導者を、道徳心ある人は誰も望んでいない」と聴衆に呼びかけました。
ベテラン活動家のグレイラン・ヘグラーさん(71)は、「彼らは眠れる巨人を目覚めさせてしまった。私たちは座り込まず、黙らず、消え去ることもない」と語り、今後も抗議行動を続ける決意を示しました。
少数派にとどまる野党と、下がり続ける支持率
多くの民主党支持者は、自党が上下両院で少数派にとどまる中、トランプ政権の動きを十分に止められていないと不満を募らせています。そうした苛立ちが、今回の草の根の動員につながっている側面もあります。
一方で、トランプ大統領の支持率は就任後最低水準に落ち込んでいるとする世論調査も報じられています。今回のような大規模デモが、政権の政策や与野党の力学にどのような影響を与えるのかは、今後の焦点となりそうです。
私たちはこの抗議をどう見るか
今回の一連の抗議行動は、米国社会が抱える複数の不安──貿易摩擦や株価の不安定さといった経済面、市民的自由や民主主義の後退への懸念──が一度に噴き出した出来事でもあります。
世界経済や安全保障で大きな影響力を持つ米国で、政策に反対する市民がどのように声を上げ、政治がそれにどう応えるのかは、日本を含む世界の人々にとっても無関係ではありません。あなたなら、この抗議の波をどのようなサインとして受け止めるでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








