米国サービスに19%報復関税の可能性 英誌が試算と警告
米国が輸入品に高い関税をかける中、今度は各国が米国からのサービス輸入に報復関税を課す可能性がある――そんな試算を英誌エコノミストが示しました。平均19%という関税率は、世界をリードする米国のサービス企業にとって大きなリスクとなりそうです。
英誌が試算した「19%報復関税」とは
エコノミスト誌は、ワシントンが物品貿易の関税を決める際に用いたのと同じ手法をサービス貿易に当てはめ、各国が米国のサービス輸入に報復関税をかけた場合を試算しました。その結果、平均19%の関税が正当化されうると指摘しています。
この記事は、こうした措置が長年続く二国間の貿易不均衡を是正するという名目で導入される可能性がある一方で、米国の世界的なサービス企業を報復の標的にさらすことになると警告しています。
モノは赤字、サービスは黒字――米国貿易の「二つの顔」
記事はまず、米国が物品貿易では数十年にわたり恒常的な赤字を抱えてきた一方で、サービス貿易では逆に大きな黒字を計上している点を強調します。
エコノミストによると、米国のサービス貿易黒字は約2950億ドルに達し、過去最高に近い水準とされています。米国は金属や機械よりも、クラウドコンピューティング、配送ネットワーク、金融のヘッジ商品といったサービスの輸出に強みを持つ「サービス輸出大国」だと位置づけられています。
各国が取りうる報復手段は「関税」だけではない
では、各国が米国のサービスに対してどのような形で圧力をかけることができるのでしょうか。記事は、政府がサービス貿易を妨げるための手段は多岐にわたると指摘します。
- 独占禁止法(アンチトラスト)調査の強化
- データの取り扱いに関する厳格な規制
- 営業許可やライセンスにかかる手数料の引き上げ
- 海外企業に対する追加課税
こうした措置はいずれも、米国企業の事業展開を難しくすることができます。ただし同時に、自国の企業や消費者にも負担やコスト増として跳ね返ると記事は警告します。その意味で、米国の物品関税が最終的には米国の消費者を傷つけるとされる構図とよく似ています。
トランプ政権の関税は「交渉カード」か「恒久壁」か
記事はまた、これまで米国の通商交渉担当者たちが、金融ノウハウ、テクノロジー、人材と物流の力など、米国が強みを持つサービス分野の海外展開を阻む障壁を減らすことに注力してきたと振り返ります。
そのうえで、シンクタンク「外交問題評議会」の会長で、かつて米国の通商交渉を率いたマイケル・フロマン氏の次のような見方を紹介しています。すなわち、現在の政権が関税を他国との交渉における「てこ」として使うつもりなのか、それとも相手が報復しても関税を維持し続ける覚悟なのかが問われている、という視点です。
もしドナルド・トランプ米大統領が物品貿易への高関税という「壁」を維持する道を選ぶならば、他国は米国から輸入しているサービスに狙いを定め、報復に踏み切るだろうとエコノミストは予測しています。その場合、最も競争力の高い米国のグローバル企業が痛手を負う可能性があります。
日本と世界の読者が押さえておきたいポイント
今回の議論は、一見すると米国と相手国との二国間問題に見えますが、サービス貿易が世界経済で占める比重が高まるなかで、多くの国と企業に関わるテーマです。クラウドや決済、物流ネットワークなど、日常生活やビジネスの基盤となるサービスが貿易摩擦の焦点になれば、その影響は消費者にも広く及びます。
日本を含む各国の政策決定者にとっても、モノの貿易だけでなく、デジタルを含むサービス貿易の動きに目を向けることがこれまで以上に重要になりつつあります。関税や規制といった手段が、本当に自国の利益と国際経済の安定に資するのかを丁寧に見極めることが求められていると言えそうです。
Reference(s):
Countries might impose 19% tariffs on U.S. services: British media
cgtn.com








