マレーシア首相、米国関税にASEAN結束を呼びかけ
米国による新たな関税措置が東南アジアを直撃する中、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は8日(月)、ASEAN各国に「共に踏みとどまろう」と呼びかけ、地域としての結束と冷静な対応を求めました。
米国の新関税、東南アジアを直撃
先週、トランプ米大統領が友好国と対立国の区別なく幅広い輸入品に対して追加関税を課したことで、世界の株式市場は動揺し、各国政府に警戒感が広がりました。この新たな関税措置では、東南アジア諸国が特に大きな打撃を受けたとされています。
製造業の拠点として存在感を高めてきたベトナムは、対米輸出に対して46%という高い関税を課されました。西側ブランド向けの低価格衣料品の生産地として知られる隣国カンボジアも、49%の関税対象となりました。
一方、東南アジア第3の経済規模を持つマレーシアに対する関税率は24%と、他国よりは低いものの、企業や投資家にとっては無視できない水準です。こうした一連の措置は、東南アジアの輸出主導型経済にとって大きな不確実性をもたらしています。
アンワル首相「ASEANとして共に立ち向かう」
アンワル首相は、首相府職員向けの会合で演説し、ASEAN=東南アジア諸国連合としての結束の重要性を強調しました。首相は、人口6億4,000万人を抱え、世界でも上位の経済規模を持つASEANが、一体となって対応する必要があると訴えました。
首相は、自国政府の当面の課題として、各国がそれぞれの立場を明確にしながらも、グループとして足並みをそろえるため、ASEAN各国との緊密な連絡を取ることだと説明しました。「各国が自らの立場を表明しつつも、同時に一つのグループとして動くことが重要だ」との認識を示し、各国の利害を調整しながら共通戦略を模索する姿勢を示しています。
マレーシアは今年、10カ国から成るASEANの議長国を務めています。今回の局面で、議長国としてどのように議論をリードし、合意形成を図るのかが注目されます。
木曜日にASEAN経済相会合、立場のすり合わせへ
東南アジア各国の経済相は、今週木曜日に緊急の会合を開き、米国の関税措置への対応を協議する予定です。関税による影響が国ごとに異なる中で、どこまで足並みをそろえられるかが焦点となります。
アンワル首相は、この会合に向けてASEAN域内での事前調整を進める考えを示し、マレーシアとして積極的に各国と連絡を取り合うことで、共通の立場を探る方針です。各国が個別の対応に走るのではなく、できるだけまとまったメッセージを米国側に示せるかどうかが試されています。
マレーシアは報復措置を否定、貿易戦争の回避を強調
こうした中で、クアラルンプールは、米国に対して報復関税を発動する考えはないと明言しています。マレーシアは、ワシントンが「マレーシアが米国製品に47%の関税をかけている」と主張している点について反論しつつも、対抗措置には踏み切らない姿勢です。
マレーシアのテンンク・ザフル・アジズ通商相は記者会見で、「二つの誤りが正しさを生むことはない」と述べ、報復合戦に発展させるべきではないとの考えを示しました。そのうえで、「私たちが冷静さを保つことが重要だ。貿易戦争につながるような事態は、世界経済の利益にならない」と強調し、対話と協調を重視する姿勢を打ち出しています。
日本や地域への影響、何に注目すべきか
今回の米国の関税措置は、ベトナムやカンボジア、マレーシアなど、世界の生産拠点としての役割を担う東南アジア諸国を直撃しています。これらの国々と深く結びついたサプライチェーン(供給網)を通じて、最終的には世界中の企業や消費者にも影響が及ぶ可能性があります。
特に、電子機器や衣料品など、東南アジアからの輸入に依存する分野では、コスト増や調達の遅れが懸念されます。日本の企業や消費者にとっても無関係とは言えず、関税の長期化や追加措置の有無によっては、価格や投資計画の見直しを迫られる場面が出てくるかもしれません。
一方で、マレーシアが報復を避け、ASEANとしての連携を模索していることは、緊張のエスカレーションを防ぎつつ、自らの立場を粘り強く主張する試みとも言えます。東南アジアがどのように「結束」と「柔軟な外交」を両立させていくのか、今後の会合や声明に注目が集まりそうです。
米国の関税政策、ASEANの対応、そして世界経済への波及──この3つの動きを追いかけることが、これからの国際ニュースを読み解くうえでの大きなポイントになりそうです。
Reference(s):
Malaysian PM: Southeast Asia must 'stand firm' against U.S. tariffs
cgtn.com








