トランプ関税に米欧とブラジルで逆風 世論調査が映す不安と不信
米国のドナルド・トランプ大統領が、ほぼ全ての国からの輸入品に対して新たな関税を課す方針を打ち出し、これが米国内と西欧諸国で強い反発を招いています。物価高や景気悪化への不安に加え、米国とトランプ大統領への評価も揺らぎ始めており、国際ニュースとして大きな注目を集めています。
米国内で高まるトランプ関税への不信
米国では、トランプ大統領の関税政策に対する懐疑的な見方が強まっています。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が実施した最新の世論調査によると、
- トランプ氏が打ち出した関税に「反対」と答えた人は全体の54%
- 米国経済について「良くなっている」より「悪化している」と見る人が52%
物価上昇への対応、つまりインフレ対策については、不支持が支持を15ポイント上回りました。また、経済全体の運営に関する評価でも、不支持が支持を8ポイント上回っており、トランプ氏の経済運営への信認が揺らいでいる様子がうかがえます。
物価はどこまで上がる? 生活者が感じるリスク
関税は輸入品の価格を押し上げやすく、その影響は日々の買い物にも及びます。ロイター/イプソスが日曜日に実施した別の世論調査では、多くの米国の有権者が今後の物価上昇を懸念していることが明らかになりました。
- 日用品など「日々の生活必需品の価格が上がる」と答えた人:73%
- スマートフォンなど「個人用電子機器の価格上昇を予想」:77%
- 「今後6か月以内に住宅修繕などの費用が上がる」と見ている人:62%
これらの数字は、トランプ氏が掲げる「米国製造業の復活」という目標よりも、足元の生活コストへの不安の方が、米国の人々にとって切実になりつつあることを示しています。
一律10%、最大49%の関税が国際市場を揺らす
今回の「相互主義」を掲げた関税は、ほぼ全ての輸入品に対して一律10%を課すものです。さらに、中国本土やベトナムなど特定の経済圏からの輸入品には、最大49%まで引き上げられる場合があるとされています。
この関税は水曜日に発効し、国際的な金融市場を大きく揺らしました。欧州連合(EU)やカナダなどが対抗措置を打ち出す構えを見せる中、米国と主要貿易相手国との摩擦は新たな局面を迎えています。
欧州で広がる「報復関税」支持の世論
こうした中、西欧各国の世論は、トランプ氏の関税に対する「やられたらやり返す」対応を支持する方向に傾いています。世論調査会社ユーゴーブが、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデン、英国で実施した調査では、
- 報復措置を「支持する」と答えた人は、イタリアの56%からデンマークの79%まで、各国で多数派
興味深いのは、多くの人が自国経済への悪影響を予想しながらも、報復を支持している点です。同じ調査によると、報復関税などの対抗措置が自国経済に「大きな」もしくは「かなりの」悪影響を与えると見ている人は、
- ドイツ:75%
- スペイン:71%
- フランス:70%
- イタリア:70%
- スウェーデン:62%
- 英国:60%
- デンマーク:50%
と、いずれの国でも半数以上に達しています。経済的な打撃を覚悟しながらも、米国と対等に向き合うべきだと考える意識が透けて見える結果と言えます。
ブラジルで悪化するトランプ氏と米国のイメージ
反発は米欧にとどまらず、南米にも広がっています。ブラジルの調査会社クエストが火曜日に公表した調査によると、ブラジルでのトランプ大統領への評価は、好意的な見方より否定的な見方が大きく上回りました。
- トランプ氏を「好ましくない」と見る人:43%
- 「好ましい」と見る人:22%
米国そのものへの見方も変化しています。最新調査では、米国への否定的な印象は41%と、2024年3月の24%から大きく上昇。一方、米国への好意的な見方は58%から44%へと低下しました。トランプ氏の通商政策が、国際社会における米国のイメージにも影を落とし始めていることがうかがえます。
なぜこのニュースが重要なのか
今回の一連の世論調査は、トランプ大統領が「製造業復活」として打ち出した関税政策が、国内外で大きな賭けになっていることを示しています。関税は短期的には国内産業を保護する効果が期待される一方で、
- 輸入品の価格上昇による生活コストの増加
- 報復関税による輸出産業への打撃
- 国際金融市場の不安定化
- 米国への信頼や好感度の低下
といったリスクも伴います。
日本やアジアの読者にとっても、この動きは他人事ではありません。世界の貿易ルールやサプライチェーン(供給網)は密接につながっており、米国と欧州、そして新興国との摩擦は、円相場や輸出企業の業績、さらには私たちの日常の物価にも影響し得ます。
関税をめぐる今回の対立は、単なる「米国と他国の争い」ではなく、各国がどのような経済モデルと国際協調のあり方を選ぶのかという問いでもあります。世論調査が映し出した数字を手がかりに、今後の通商政策と国際経済の行方を、冷静に見続ける必要がありそうです。
Reference(s):
Trump's tariffs draw fire at home and abroad amid economic fears
cgtn.com








