上海協力機構、WTO中心の多角的貿易体制を支持 供給網の開放性も強調
上海協力機構(SCO)が、世界貿易機関(WTO)を中心とした多角的貿易体制を支持する姿勢をあらためて示しました。木曜日に発表されたSCO事務局の声明によると、加盟国は「開かれた、透明性が高く、公平で、包摂的かつ非差別的な多角的貿易体制」を維持・強化していくとしています。
上海協力機構が打ち出したメッセージ
北京にあるSCO事務局が公表した声明では、WTOを国際貿易ルールの中核に据えるべきだとあらためて強調しています。声明のポイントは次のとおりです。
- WTOを中心とする多角的貿易体制を支持し、その強化に取り組むことを確認
- 国際貿易をめぐる課題に効果的に対処するため、加盟国が協調して行動する姿勢を示したこと
- WTOの枠組みの中で「開発」をめぐる議論を前に進めることの重要性を強調
- 開かれた、包摂的で、持続可能かつ強靭な世界のサプライチェーン(供給網)の構築を呼びかけ
とくに、開発課題への言及と、サプライチェーンの「持続可能性」「強靭性」というキーワードは、現在の国際経済の不確実性を意識したメッセージだと受け止めることができます。
なぜWTO中心の多角的貿易体制が重視されるのか
今回のSCOの声明は、国際貿易のルール作りの場としてのWTOの役割を支持する内容です。WTOは、各国・各地域が合意したルールに基づいて貿易を行うことで、予測可能性と安定性を高めることを目的としています。
多角的貿易体制が重視される背景には、次のような問題意識があります。
- 個別の国や地域だけでルールを決めると、貿易摩擦が起きやすくなる
- 多国間で共通ルールを持つことで、企業が中長期の投資判断を行いやすくなる
- ルールにもとづく紛争解決の仕組みを通じて、対立をエスカレートさせずに済ませやすい
こうした点から、SCO加盟国が「WTOを中心とした多角的貿易体制」をあらためて支持したことは、ルールに基づく国際貿易の枠組みを維持したいという意思表示といえます。
サプライチェーンの「開かれた強靭さ」とは
声明では、世界のサプライチェーンを「開かれた」「包摂的な」「持続可能な」「強靭な」ものにしていく必要性も指摘されています。これは、原材料や部品、製品が国境を越えて動く現代の経済において、特定の地域や経路への依存が高まりすぎるリスクを意識した表現と考えられます。
開かれたサプライチェーンとは、特定の国や地域を不当に排除せず、透明性の高いルールのもとで多くの主体が参加できる供給網を指します。一方で「強靭さ」と「持続可能性」は、パンデミックや地政学的リスク、自然災害などが起きても、供給が途切れにくく、環境や社会への負荷にも配慮した仕組みを意味します。
日本やアジアの読者にとっての意味
日本企業やアジアのビジネスは、WTOのルールや世界のサプライチェーンの安定性に大きく依存しています。今回のSCOによるメッセージは、国際社会の一部が、依然としてWTOを中心に据えた多角的貿易体制の維持・強化を重視していることを示すものです。
私たち一人ひとりにとっても、貿易ルールやサプライチェーンの安定は、物価や雇用、テクノロジー製品の入手しやすさなど、日常生活に直結しています。今後、各国・各地域がどのようにWTOの場で開発課題やサプライチェーンの問題を議論していくのか。ニュースを追いつつ、自分の働き方や消費行動とも結びつけて考えてみる余地がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








