中国株式市場は安定へ?中央汇金のETF買い入れを読み解く
中国の投資会社である中央汇金投資(Central Huijin Investment)が、中国株式市場で運用される上場投資信託(ETF)の保有を再び増やすと発表しました。中国A株市場の安定を狙ったこの動きは、2025年現在の不安定な相場のなかで、どんな意味を持つのでしょうか。
中央汇金のETF買い入れ、今回のポイント
今週月曜日の発表によると、中央汇金は中国の資本市場の発展見通しに引き続き自信を示し、現在のA株の投資価値を高く評価しています。そのうえで、株価指数に連動するETFの保有を改めて増やし、今後も継続する方針を表明しました。目的は、中国資本市場の安定運営を支えることにあります。
発表されたメッセージを整理すると、次のようにまとめられます。
- 中国資本市場の中長期的な成長力を信頼している
- 足元のA株市場には割安さがあり、投資価値があると判断している
- ETFを通じて幅広い銘柄に投資し、市場全体の安定を図る
このように、単なる資金投入というよりも、市場に対する安心感と方向性を示すメッセージ性が強い動きだといえます。
なぜナショナルチームの買いが効くのか
中央汇金のような公的色の強い資金は、しばしばナショナルチームと呼ばれ、中国株式市場の急落局面で下支え役を担ってきました。今回のETF買い入れも、その文脈に位置付けることができます。
記事では、その効果として次の3点が挙げられています。
- 明確なシグナルでパニックを抑える
中央汇金が自らの資金でETFの保有を増やすと表明すること自体が、当局は市場の先行きを悲観していないというシグナルになります。それにより、投資家の過度な不安やパニック売りが和らぎ、取引がより冷静な判断に基づいて行われやすくなります。 - 市場の流動性を補い、取引を活発にする
大口の公的資金が市場に入ることで、売買の相手方が確保され、流動性の低下が緩和されます。結果として出来高が増え、価格発見と呼ばれる、需給による価格決定のプロセスがスムーズに働きやすくなります。 - インデックス投資でリスクを分散し、他の機関投資家を呼び込む
ETFは株価指数に連動するため、個別銘柄ではなく市場全体に分散投資できます。中央汇金がETFを通じてポートフォリオを最適化しつつボラティリティ、つまり価格変動のリスクを抑えることで、他の機関投資家も同様の動きに追随し、市場安定化のシナジーが生まれやすくなります。
過去の事例:2008年と2018年に何が起きたか
中央汇金はこれまでも、市場が大きく動揺した局面で株式やETFの買い入れを行ってきました。記事では、象徴的な二つの局面が紹介されています。
一つ目は、2008年の世界金融危機のときです。中央汇金は、主要な商業銀行である中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行の株式を市場で自ら買い増すと発表しました。その翌日、上海市場の代表的な株価指数である上証総合指数(SSE Composite Index)は9.46パーセント急騰しました。
二つ目は、2018年の中国と米国の貿易摩擦が激しくなった時期です。当時、A株市場は大きく乱高下していましたが、中央汇金や他のナショナルチームの資金が優良株とされるブルーチップの買いに動き、あわせて中央銀行が金利と預金準備率を引き下げました。その結果、上証総合指数は10月中旬に2500ポイントを割り込んだ水準から、11月中旬には2700ポイント台まで持ち直しました。
もちろん、毎回同じような結果が保証されているわけではありません。しかしこうした過去の例は、公的資金の買い入れが短期的な反発や下げ止まりのきっかけを作り、市場の安定に向けた土台を築く役割を果たしてきたことを示しています。
今回の動きから読み取れる中国資本市場のメッセージ
では、2025年現在の局面で、中央汇金のETF買い入れはどのようなメッセージを市場に送っているのでしょうか。
- 当局は株価水準そのものだけでなく、市場の安定した運営を重視している
- A株市場のバリュエーション、つまり株価水準を割安と見ている可能性がある
- 市場の信頼感を回復させるため、システム全体を支える措置を段階的に講じている
短期的には、こうした動きが投資家心理を落ち着かせ、相場の下振れリスクを和らげる効果が期待できます。一方で、中長期的な株価の方向性を決めるのは、最終的には企業の収益力や経済の成長力であることも変わりません。
個人投資家への示唆:短期の安心感と長期の冷静さ
日本を含む海外から中国株式市場を見ている投資家にとって、中央汇金の動きは次のような示唆を与えてくれます。
- ナショナルチームの動きがある局面では、過度な悲観に陥る必要はない
- ただし、短期的な反発だけを狙った取引には依然として高いリスクが伴う
- 長期的には、中国経済や上場企業の基礎的な体力であるファンダメンタルズを見極める視点が不可欠である
市場安定化のための政策的な一手と、投資家一人ひとりのリスク管理は、どちらか一方ではなく両輪として意識する必要があります。
SNSで共有したい論点
今回の中央汇金によるETF買い入れは、中国株式市場の動きだけでなく、市場と公的資金の関係を考えるうえでも示唆に富んでいます。SNSで議論するときには、例えば次のような問いを投げかけてみるのもよいでしょう。
- 中央汇金のETF買い入れは、どこまで市場の実態を反映した動きと言えるのか
- 市場安定化と民間主導の価格形成とのバランスはどのように取るべきか
- 2008年や2018年の経験は、2025年の市場でもどこまで通用するのか
中国株式市場や国際金融のニュースを日本語でフォローしたい読者にとって、今回の動きは今後の相場を考えるうえで一つの重要な手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








