トランプ関税でもiPhoneは米国製にならない?アップルが動けない理由
リード
トランプ米大統領の対中国本土「貿易戦争」とも呼ばれる高い関税政策は、アップルにiPhone生産を米国へ移させる狙いがあるとされています。しかし、145%もの関税がかかる現在でも、iPhoneが米国製になる可能性は低いと専門家は見ています。本記事では、この国際ニュースの背景とアップルの事情を日本語でわかりやすく整理します。
トランプ政権の狙いと145%関税
トランプ政権は、中国本土から輸入される製品に対して関税を段階的に引き上げてきました。アップルについては、この関税の圧力によって、初めてiPhoneを米国内で製造させることができると繰り返し示唆してきました。
現在、中国本土で生産された製品に対する米国の関税は145%に達しています。iPhoneの多くが中国本土で組み立てられていることを考えると、この数字はアップルにとって大きな負担です。
アップルが築いた中国本土のサプライチェーン
それでもアップルが簡単には動けない最大の理由が、サプライチェーンです。アップルは1990年代から中国本土で生産体制を構築してきました。部品メーカー、組み立て工場、物流網など、iPhoneを支える複雑なネットワークが長年かけて作られています。
このネットワークを米国内に再構築するには、数年という時間と、数十億ドル規模の投資が必要になるとみられています。工場を建てるだけでなく、人材の確保や周辺企業の集積など、すべてを一から整える必要があるためです。
もし米国生産に切り替えたら、iPhoneはいくらになる?
投資会社ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏は、iPhoneの米国生産について「事実上の非現実案」だと指摘します。現在、中国本土やインドで生産されるiPhoneの価格はおよそ1000ドルとされていますが、これを米国で製造すると3000ドルを超える水準まで跳ね上がると試算しています。
価格が3倍になれば、アップルの主力製品であるiPhoneの販売に深刻な打撃となりかねません。アイブス氏は「価格があまりに大きく動き、想像しがたいレベルになる」として、米国生産への全面移行には強い疑問を投げかけています。
タイムラインは最短でも2028年
仮にアップルが将来、段階的に生産の一部を米国に移すことを検討するとしても、すぐには実現しないという見方が支配的です。アイブス氏は、米国内での本格的な生産が可能になるのは、最も早く見積もっても2028年以降だとみています。
これは、設備投資や人材育成に時間がかかるだけでなく、既存の中国本土やインドの拠点から急に生産を切り替えることが現実的ではないためです。グローバル企業のサプライチェーンは、一度構築されると簡単には動かせないという典型的なケースと言えます。
株価が示す市場の警戒感
アップルは、トランプ政権による対中国本土関税への具体的な対応策について、これまで公には多くを語ってきませんでした。5月1日に予定されていた決算発表の電話会見では、この問題が主要なテーマになるとみられていました。
関税引き上げが始まった4月2日以降、アップルの株価は約15%下落し、時価総額にして5000億ドルが失われたとされています。関税がiPhoneのコスト構造や販売戦略に与える影響を、市場が敏感に織り込みつつあることがうかがえます。
日本の読者にとってのポイント
iPhoneの生産拠点がどこにあるかは、一見すると遠い国際ニュースの話題に見えるかもしれません。しかし、もし価格が3倍になれば、世界の消費者にとってスマートフォンは「高嶺の花」となり、日本の利用者にも直接影響が及びます。
また、特定の国や地域に集中したサプライチェーンをどう分散させるかは、多くの企業に共通する課題です。トランプ政権の関税政策とアップルの対応を追うことは、米中関係だけでなく、グローバル経済のリスクや自分たちの生活コストを考える手がかりにもなります。
今後、アップルがどこまで生産の多様化を進めるのか、そしてトランプ政権が関税をどの程度まで維持・強化していくのか。2025年の今、この動きは国際ニュースとして注視しておきたいテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
Why Trump's trade war can't lure Apple to make iPhones in America
cgtn.com








