中国が米国の関税措置を批判 WTOルール順守と多国間主義を強調
米国の新たな関税措置をめぐり、中国が世界貿易の安定を揺るがしかねないと強い懸念を示しました。2025年現在、WTOルールと多国間主義をどう守るかが改めて問われています。
何が起きたのか
中国の王文涛商務相は、世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長とのオンライン会談で、米国が最近導入したとされる「相互関税」について厳しく批判しました。
王商務相は、米国の関税措置は世界貿易の安定を脅かし、国際経済秩序を乱すもので、一方的な「いじめ」にあたると指摘しました。また、このような措置は特に発展途上国、とりわけ最も貧しい国々である後発開発途上国に過度の負担を強い、人道危機さえ引き起こしかねないと警告しました。
WTOルールと多国間貿易体制への影響
王商務相は、米国の相互関税はWTOの核心的な原則に反するだけでなく、国際貿易秩序を損ない、多国間貿易体制の土台を侵食していると強調しました。
そのうえで、中国は自国の正当な権益を守るため、そして世界の公平と正義を守るために、断固とした行動を取っていると述べました。
王商務相の発言からは、次のような問題意識が読み取れます。
- WTOルールに基づかない一方的な関税措置が広がれば、ルールに基づく国際貿易の枠組みそのものが揺らぐこと
- 発展途上国や後発開発途上国が、先進国間の貿易摩擦の「巻き添え」となりやすいこと
- 保護主義や経済的な圧力を通じた対外政策が常態化すれば、長期的な信頼関係の構築が難しくなること
対話と多国間主義を求める呼びかけ
王商務相は、WTO加盟国のあいだで貿易摩擦や認識の違いが生じること自体は避けられないものの、それらはWTOルールに従い、対話と相互尊重によって解決すべきだと強調しました。
また、各国が一方主義や保護主義、強制的な貿易慣行に対抗し、開放的な協力と多国間主義を守るために団結するよう呼びかけました。こうしたメッセージは、単に米中の二国間関係にとどまらず、WTO全体の将来像に関わる問題提起でもあります。
WTO事務局長の懸念と最恵国待遇原則
オコンジョイウェアラ事務局長は、米国と中国のあいだで高まる貿易緊張が、世界の貿易と経済成長に大きな課題をもたらしていると指摘しました。そのうえで、開かれたルールに基づく多国間貿易体制を守ることの重要性を強調しました。
事務局長は、各国の貿易紛争はWTOの枠組みの中で、建設的な対話を通じて解決されるべきだと述べ、WTOが持つ紛争解決メカニズムの活用を促しました。また、米国とのあいだでどのような合意が結ばれる場合でも、WTOの最恵国待遇(MFN)原則を順守する必要があると強調しました。
日本の読者にとっての意味
こうした動きは、日本を含む多くの国と地域にとっても無関係ではありません。世界の主要経済が関税や制裁を繰り返せば、サプライチェーンや輸出入コストを通じて、企業活動や生活者の負担に跳ね返る可能性があるためです。
2025年現在、世界貿易を巡る緊張が高まるなかで、中国がWTOルールの順守と多国間主義の維持を前面に押し出していることは、国際社会に対する一つのシグナルと言えます。一方で、米国を含む各国がどこまでWTOのルールに立ち返り、対話と協調を優先できるかは、今後の大きな焦点となります。
ニュースを追う私たちにとって重要なのは、個々の国の立場に賛成するかどうかだけでなく、どのようなルールと仕組みのもとで世界の貿易が運営されるべきなのかを考え続けることです。今回の中国の発言とWTO事務局長のメッセージは、その問いをあらためて突き付けています。
Reference(s):
China condemns U.S. tariffs, reaffirms commitment to uphold WTO rules
cgtn.com








