中国本土の小売大手、米関税で打撃の輸出企業を国内販売で支援
米国による関税で海外需要が冷え込むなか、中国本土の小売大手が輸出企業の国内市場シフトを後押しする動きを強めています。政府の呼びかけに応じ、JD.comやFreshHippoなどが相次いで支援策を打ち出しました。
輸出不振を受け、中国本土の小売業が動く
中国本土の小売大手は、米国の関税による需要減で打撃を受けている輸出型企業を支援するため、国内販売への転換を促す取り組みを進めています。商務省の呼びかけを受け、主要な小売企業が迅速に動き始めました。
中国商務省の何勇倩報道官は木曜日、米国の関税により海外需要が弱まっている輸出企業を支えるため、政府が業界団体や大手小売企業と会合を開き、支援策を協議したと説明しました。狙いは、輸出用に生産された商品をスムーズに国内の流通チャネルに乗せることです。
政府と業界団体が示したグリーンチャネル構想
その翌日には、中国商業連合会など7つの全国レベルの業界団体が共同提案を発表し、スーパーマーケット、百貨店、ECプラットフォーム、卸売市場に対し、輸出企業向けの「グリーンチャネル」を設けるよう呼びかけました。
ここでいうグリーンチャネルとは、輸出企業の商品を優先的かつ集中的に扱うための専用ルートのことです。具体的には、輸出仕様の高品質な商品をまとめて並べる専用売り場の設置や、消費者にその魅力を伝える販促イベントの開催などが想定されています。
共同提案では、業界団体が輸出企業と小売企業をつなぐ研修会や商談会を組織し、国内消費者の嗜好や品質基準に合わせた商品づくりを支援する方針も示されました。輸出一辺倒だった企業にとって、国内市場のニーズを学ぶ場にもなりそうです。
JD.comとFreshHippo、オンライン大手の素早い対応
主要プレーヤーの動きも素早く、中国本土の大手ECプラットフォームであるJD.comは、今後1年で少なくとも2000億元(約273億ドル)分の輸出転内需向け商品を購入すると表明しました。これにより、サプライチェーン全体でのパートナーシップ強化を図るとしています。
FreshHippoも輸出企業向けの受け入れプロセスを簡素化すると発表しました。24時間体制の迅速なサポート窓口を設けるほか、輸出から国内販売へ切り替えた商品を集めた新セクションを、自社のモバイルアプリ内に開設します。
さらにFreshHippoは、自社のデジタル技術を生かし、オンラインとオフラインをまたいでトレンド性の高い商品を輸出企業と共同開発していくとしています。JD.comも含め、データと顧客接点を持つ小売大手が、商品企画の段階から輸出企業を支援する流れが強まりつつあります。
オフライン小売も相次ぎ支援策
ネットだけでなく、実店舗を構える小売企業も迅速に動いています。Yonghui Superstoresは4月7日、輸出企業の余剰在庫解消を支援するとの公開書簡を発表しました。条件を満たす商品については、簡略化した承認プロセスを通じて15日以内に店頭に並べると約束しています。
4月9日にはCR Vanguardも同様の「ファストトラック」プログラムを開始し、高級志向の店舗から地域密着型のコミュニティストアまで、さまざまな業態で輸出企業の商品にカスタマイズされた棚割りを提供すると打ち出しました。
Lianhua Supermarketはさらに踏み込み、輸出企業の商品については入店料の減額や、店舗でのプロモーション機会を優先的に提供するなど、追加のインセンティブも用意しています。
こうした動きは早くも反響を呼んでいます。Yonghuiには数日のうちにサプライチェーン企業から200件を超える提携問い合わせが寄せられ、70社以上が意向表明書を提出。すでに100社を超える企業と仕入れ交渉が進んでいるとされています。
国内市場へのシフトで輸出企業は何が変わるか
今回の一連の取り組みは、単なる在庫処分の場を提供するだけではありません。輸出企業にとっては、これまで主戦場だった海外市場に加え、成長を続ける中国本土の消費市場に本格的にアクセスするきっかけともなります。
一方で、国内市場に参入するには、パッケージ表示、味やサイズ、価格帯など、国内の消費者の好みに合わせて商品を調整する必要があります。業界団体による研修やマッチング、FreshHippoやYonghuiによる商品開発支援は、こうした課題を乗り越えるうえで重要な役割を果たしそうです。
- 余剰在庫の消化だけでなく、新たな販売チャネルの獲得
- 国内でのブランド認知向上とファンづくり
- 小売大手のマーケティング力やデジタル基盤の活用
広がる連携、問われる持続性
政策による後押しと業界全体の参加により、輸出企業を支える動きはさらに広がっています。四川省を拠点とするスーパーマーケットチェーンのHongqi Chainの関係者は、外国貿易に携わる企業の商品を歓迎しており、自社の販売ネットワークへの取り込み方法を積極的に模索しているとしています。
今後の焦点は、こうした取り組みが一時的な救済策にとどまるのか、それとも輸出と内需の境界を薄める構造的な変化につながるのかという点です。米国の関税措置が続くなかで、中国本土の輸出企業がどの程度まで国内市場への依存度を高めるのかは、世界のサプライチェーンや国際貿易の行方を考えるうえでも注目すべきポイントといえます。
日本を含むアジア各国の企業にとっても、特定市場への依存リスクや、国内需要をどう掘り起こすかという課題は共通しています。中国本土の小売大手と輸出企業による今回の動きは、外部環境が厳しくなる中でビジネスモデルをどう転換していくのか、その一つのヒントを示しているように見えます。
Reference(s):
China's retail giants step up to support exporters hit by U.S. tariffs
cgtn.com








