国際ニュース:中国の対外貿易、2025年1〜3月期は1.3%増 ASEANとの結びつきがけん引
中国税関総署の最新統計で、2025年1〜3月期(第1四半期)の対外貿易額が前年同期比1.3%増の10.3兆元となり、特にASEAN向け取引が伸びたことが分かりました。本記事では、この数字が示す中国経済とアジア貿易のいまを、簡潔に整理します。
2025年1〜3月期、中国の対外貿易は1.3%増
中国の対外貿易(貨物ベース)は、人民元建てで前年同期比1.3%増の10.3兆元(約1.41兆ドル)となりました。統計を公表したのは、中国の税関行政を担う中国税関総署(General Administration of Customs, GAC)です。
このうち、輸出額は6.13兆元で、前年同期比6.9%増と比較的しっかりとした伸びを示しました。全体の貿易額のうち、およそ6割を輸出が占めている計算です。
一方で、全体の伸び率が1.3%にとどまっていることから、輸入の伸びはそれほど大きくなかった可能性もあります。輸出の好調さが、全体の数字を支えている構図だと言えそうです。
「空は落ちてこない」 輸出減速懸念へのメッセージ
世界経済の不透明感や地政学リスクなど、外部環境の逆風が強まる中で、中国の輸出動向には警戒感もあります。こうした見方に対し、中国税関総署の幹部は同日の記者会見で、「中国の輸出にとって『空が落ちてくる』ような事態にはならない」と述べ、過度な悲観をけん制しました。
発言の背景には、
- 中国の製造業基盤の厚さ
- グローバルなサプライチェーン(供給網)への深い組み込み
- 新興市場向け輸出の拡大
といった自信があると考えられます。輸出環境は厳しさを増しているものの、当局としては「構造的な競争力は維持されている」と強調したい意図がうかがえます。
ASEANが最大の貿易相手 ベトナムの存在感
今回の統計で注目されるのが、東南アジア諸国連合(ASEAN)との取引です。ASEANは第1四半期も中国の最大の貿易相手となり、対ASEAN貿易額は前年同期比7.1%増の1.71兆元に達しました。中国の対外貿易全体に占める割合は16.6%と、およそ6分の1を占めています。
ASEANの中では、ベトナムが中国にとって最大の貿易パートナーとなりました。製造業を中心に、中国とベトナムの間で部品や完成品をやり取りする生産ネットワークが広がっているとみられます。
中国とASEANの貿易が拡大している背景には、
- サプライチェーンの多元化(調達先・生産拠点の分散)
- ASEAN域内の経済成長や消費拡大
- 地域の経済連携や貿易ルールの整備
といった要因があると考えられます。アジア域内で「作って売る」流れが一層強まっていると言えるでしょう。
日本とアジア経済への含意
中国とASEANの結びつきが強まることは、日本にとっても無関係ではありません。日本企業の多くは、すでに中国とASEANの両方に生産拠点や販売網を持っており、その間を流れる部品やサービスの動きがビジネスの重要な基盤になっています。
今回の統計から読み取れるポイントとして、
- 中国・ASEAN間の物流や金融サービスなど、周辺分野での需要拡大
- アジア域内市場を前提とした製品設計や価格戦略の重要性
- 中国企業とASEAN企業の連携強化による競争環境の変化
などが挙げられます。日本企業にとっては、どこで連携し、どこで差別化するかを見極めることが、今後さらに重要になりそうです。
これから注目したい点
2025年1〜3月期の数字は、中国の輸出の底堅さと、ASEANとの経済関係の強さを示す一方で、世界経済の不確実性も意識させる内容でした。今後を見通すうえで、次のような点に注目する価値があります。
- 世界需要や金利動向など、外部環境の変化が中国の輸出に与える影響
- 中国とASEANの産業分業がどこまで進み、どの分野で補完関係が深まるか
- モノの貿易に加え、デジタル貿易やサービス貿易がどの程度伸びていくか
中国とASEANを軸にしたアジアの貿易地図は、今後数年でさらに姿を変えていく可能性があります。今回の第1四半期のデータは、その変化の方向性を読み解くための一つの手がかりと言えそうです。
Reference(s):
Graphics: China's foreign trade grows in Q1 on strong ties with ASEAN
cgtn.com








