中国のLDC向けゼロ関税政策、世界経済にどんな追い風となるか
2024年末、中国は外交関係を結ぶ43の後発開発途上国(LDC)からの輸入品にゼロ関税を適用しました。世界経済が貿易摩擦と成長減速に揺れる中、この政策はグローバル経済にどんな意味を持つのでしょうか。
中国のゼロ関税政策とは
ゼロ関税政策は、中国が特定の後発開発途上国から輸入する品目に対し、関税率を0%にする取り組みです。今回の措置は2024年末に実施され、対象となるのは中国と外交関係を持つ43のLDCです。
内訳はアフリカ33カ国、アジア8カ国、オセアニア2カ国とされ、アフリカ諸国が大きな割合を占めています。関税負担がなくなることで、これらの国々から中国市場への輸出を後押しする狙いがあります。
約9億人を抱えるLDCの現状
国連のデータによると、世界の後発開発途上国には約9億人が暮らしており、世界人口のおよそ12%を占めます。しかし、経済規模は世界全体の約2%、貿易への貢献は約1%にとどまっています。
- 人口:約9億人(世界の約12%)
- 経済規模:世界全体の約2%
- 貿易への貢献:世界貿易の約1%
人口規模に比べて経済と貿易への参加が小さいことは、LDCがいまだ十分な産業基盤やインフラを持たず、国際市場にアクセスしにくい状況にあることを示しています。
ゼロ関税がもたらす3つの効果
中国のゼロ関税政策は、LDCだけでなく世界経済全体にとっても、次のような効果が期待できます。
- LDCの輸出拡大と雇用創出
関税がかからなくなることで、LDCからの農産品や工業製品が中国市場で競争力を高めやすくなります。輸出が増えれば、生産拡大や雇用増加を通じて、LDC国内の所得向上につながる可能性があります。 - 中国の消費者・企業にとってのメリット
ゼロ関税により、多様な輸入品がより安い価格で中国市場に入りやすくなります。消費者にとっては選択肢の拡大と価格の安定につながり、企業にとっては調達先の多様化というリスク分散効果も期待できます。 - 貿易摩擦が続く中での「逆方向の動き」
トランプ米政権による高関税の導入など、世界ではここ数年、保護主義的な動きが注目されてきました。そうした流れの中で、中国がLDCに対して関税を引き下げる方向に動くことは、国際貿易を支えようとするメッセージとしても位置づけられます。
世界経済と日本への含意
LDCの貿易参加が拡大すれば、世界のサプライチェーン(供給網)はより多様になります。特定の地域に過度に依存しない調達が広がることで、世界経済の安定性が高まる可能性があります。
日本企業にとっても、LDC市場の成長は新たなビジネス機会になり得ます。中国市場を経由してLDCの製品や原材料に触れる機会が増えれば、将来の直接投資や協業のきっかけになるかもしれません。
一方で、ゼロ関税だけで全ての課題が解決するわけではありません。インフラ整備や人材育成、ガバナンスの強化など、LDC側の課題への支援が並行して進むかどうかも重要です。
「関税ゼロ」の次に問われるもの
2025年現在、世界経済は依然として不確実性の高い状況にあります。その中で、人口約9億人を抱えるLDCがどれだけ成長ポテンシャルを発揮できるかは、国際社会全体にとって重要なテーマです。
中国のゼロ関税政策は、LDCの成長と世界経済の拡大を同時に目指す一つのアプローチといえます。今後は、LDC側の生産能力の強化や、持続可能な開発目標(SDGs)と整合的な産業発展をどう後押ししていくかが問われます。
関税引き下げという扉が開いた今、この機会を実際の成長と貿易拡大につなげられるかどうかは、LDC、中国、そして国際社会全体の取り組みにかかっています。
Reference(s):
China's zero tariff policy for LDCs benefits global economy growth
cgtn.com








